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まどろみながら
僕が見失っていたのは帰る場所だった
それとも
もしかしたら行き先だったかもしれない
目に見えるものの手触りを確かめて
それをどう思えばいいのかを確かめていた
孤独な色だ ....
あるメロディーを聴いた
けたたましい騒音の中から
あるメロディーを聴いた
さかまく日々の雑音の中から
街に集まった人びとは
メロディーに合わせて歌を歌った
どんなに綺麗 ....
はじまりは一本の大きな幹でした
その幹がどんなに大きくたって
みんなみんなその場所にいたから
誰かが声を発すれば
その声は確実な伝言ゲームで
紛うことなく誰かのもとに届けられました
や ....
ビルの
濡れたところと乾いたところ
海岸通りによく目立つ
あの一枚岩のビルが
晴れ間の舞台に立ち
静かな雑音と共生しはじめたばかりの今
まるで定規で測ったような岩壁のところどころが
濡れ ....
レイン
あのとき足音にかき消され
君の言葉が聞こえなかった
雨が降る
自由が再び吸い込まれていく
星が湿度を復元する
束の間の動作
長旅を終え
地面に歪んでは消える ....
今日も君はハイヒールを履いて
チラシを踏んづけて転びそうになって
ガニ股で踏ん張って
舌打ちをしたらやけに悲しくなって
走る必要なんかなかったのに走って
街から外へ出てきた
外に出ても ....
ただ、空ばかりが暗い
照明ばかりが明るい
そこだけ白くて
他は黒い
朝、目を覚ますたびに泣いた、と君は言った
僕はその言葉を重んじてうなずいた
....