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駅のホームには真夏が居座っていて

人々は影を求めて黄色い線のさらに内側に行儀良く並んでいる


「貨物列車が通過します」



たくさんのコンテナを載せた電車は

風を引き連れ ....
大きく膨らんだお腹に手を当てると

ぐるんと窮屈そうに動いてくれた

明日生まれるよ

君は明日生まれるよ


後ろからそっと抱きしめると

安心そうに身を委ねてくれた

明 ....
{引用=一昨日の夜のこと}
薄緑の籠に

シャツや下着が

溜まってきたので

洗濯機にそれらを

雑多に放り込み

湯船に張った

冷めかけたお湯に

ホースを通したと ....
もう少しだけ待って欲しかった
きっともっとうまく笑えるはずだったのに

まだ恋が芽を出す途中
強制的に打ち切られてさ
なすすべもなく ほら さよなら

曖昧で でもそれ以上踏み込めなくて ....
赤信号を歩いていく人の背中を見ていた
急いでいる訳でもないその人につられて
ひとり、またひとりと流される

流行の最先端を行く
誇らしげに胸を張って
アスファルトに張り付いたガムを
幾人 ....
寒い日に「寒いね」って当たり前のこと
温かくて柔らかい吐息の色でわかっているよ

降り積もった朝の霜を踏んで
砂利道の上のキャッチボール

口遊んだいつもの歌も
溜め込みすぎて漏れ出した ....
夕方過ぎの薄闇の中

自転車に跨った

塾帰りの少年少女

信号機は止まれのままだ

いずれ青に変わる時が来るのだから

ゆっくり大人になればいい


僕はと言えば車の中
 ....
ケーキ屋のサンタクロースは眠れずに 家族と過ごす26日

酒を飲み不平不満をぶちまけて それでも明日はやってくるのだ

「仕事と家庭のどちらが大事なの?」 やや食い気味に「君だ」と答え

 ....
部屋の電気は消してしまって

まっくらで物静かな夜

十一月はひたひたと

毛布の重みと共にやってきた


手は繋いだままで

寝息の輪唱を続けた

手のひらの温かさだけ
 ....
鰹と昆布出汁のお味噌汁には
豆腐とあさつきを浮かべただけ

甘めの卵焼きをクルクルと
上手に巻いている菜箸兄弟

グリルの中では塩鮭の皮が
薄く煙と音を立てている

起こしにやってく ....
うどんの出汁をとった

ご飯の炊ける匂いが嫌になったから

ツルツルと食べられるものが良かった


掛け布団を洗った

柔軟剤の匂いが嫌になったから

今夜は少し寝苦しい夜だな
 ....
蛇口をひねると水が出た

コップから溢れても水は出続けた

いつからかそれが当たり前になり

有り難みも薄まってしまった


母を頼ると愛をくれた

母は無償の愛を与え続けてくれ ....
寝苦しい夜に絡まる指の紐

冷や麦茶 汗も滴るいい温度

輪唱で徐々に深まる両寝息

網戸風が鳴らすカーテンの風鈴
飛行機雲

空を裁つ間に

霞みゆく 

澄み渡る青は

とめどなく


渦巻貝

海を嚥下し

淀みゆく

溢れ来る波は

とめどなく


夕列 ....
夜のうちにパンケーキの生地を作る
明日の朝焼くだけで食べられるように
小麦粉 たまご 牛乳 砂糖を掻き混ぜて

いつからパンケーキと呼ぶようになったのか
昔はホットケーキだったはずなんだけど ....
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