遠い国
吉田ぐんじょう


遠い国から
のろいに満ちた手紙が届いた
開くと燃えてしまったから
何と書いてあったかは知らない

遠い国から
いかりに満ちた電話がきた
電波状態が悪いらしく
途切れ途切れしか聞こえなくて
聞き返しているうちに
切れてしまった
だから電話線を抜いて寝た

遠い国から
憤慨した使者がやって来た
ドアーの向こうで何だか
喚いていたけれど
警察に電話したら捕まって
連れて行かれてしまった
わたしは警察に頭を下げて
ドアーにチェーンを掛けて
毛布をかぶった

わたしはまだ何処へも行きたく無くて
だから言えば良かった
遠い国へは未だ行けないと
だけどもう遅かった
遠い国からは二度と
何の連絡も来なかった





自由詩 遠い国 Copyright 吉田ぐんじょう 2006-10-04 17:16:17
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