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夏のはじまりは
いつも雨

何処からともなくきこえてくる
海のうた

(セイレーン)

還る場所をさがすように旅をする
あの波の繰り返しのように響いてくる
記憶のような満ちひきに名 ....
あなたはまるで
矢を放つ前の弓のように

身体をしならせ
水平線を見つめている

遥か遠くの波間では
違う色の青を背負った海鳥が
白くひるがえりながらたわむれている

大きく息を吸 ....
どうしょうもなく渇いてしまえば
身軽になるものだというように
からから笑いながら波打ち際の
空き缶の口元を叩く
浜辺の砂

  ※

昨日までわたくしは海の中におりました
かつては地 ....
 不器用であることは
 罪ではありません



林檎の皮をどれだけ長くむけるだろうかと
無邪気にはしゃいでいた頃に

途切れてしまった命はいくつ
あの赤い肌をすべっていったこ ....
喜びのかたわらに悲しみはあって

そしてときどき
僕は盲目になる

あなたの細いゆびさき
ピアノをはじく繊細なおと
それはきっと記憶のなかでのこと
あなたの器用なゆびさき
ヴァイオリ ....
あなたの揺れる水面が
まるで涙のように見えたので
やさしくなだめたくなりました

あなたは水際にたたずむ
一羽の渡り鳥のようでしたから
どこかへ行ってしまいそうで不安でした

あなたが ....
下を向いて歩いていたら
五月がおちていた

かたちというほどのかたちもなく
いろというほどのいろもない
けれどなんとなくそれが
五月だということは感じられた

そのままにしておくのもあ ....
幾多の苦難を
一つ一つ思い出に変えながら
今日も夜空には過去が浮かび
月影は淋しさをなぞるように
きれいな円を描いている

たとえば
「さよなら」の四文字を
どの星にあてはめれ ....
ああ 今日は
なんて美しい音色だ
風はすこしばかり強すぎるけれど
これは春なのだから仕方ない
それよりそこかしこで
草も木もみんな楽器みたいに
お互いをこすりあわせている

風が吹 ....
(真っ白な雪が見たかった)

真っ白な雪をかきわけて
地面の温もりを感じたかった

こんなにも寒いのに
雪の一つも降らないなんて

(真っ白な雪が見たかった)

すべ ....
何処でもない場所は
何処にもない場所ではなくて
そこには一輪の花が咲いています

それはとても美しく咲いていて
なかなか近づくこともできなくて

あるとき鳥が一羽やってきて言いました ....
あの海になろう
あの森になろう

さかなたちのいる
けものたちのいる
いのちのある
かつて私を生み出した

波をうねらせ
梢をゆらす

力強く
両手をひろげ
すべてを抱 ....
星の言葉 降る降る
空の端から

投げかけられた 放物線
かすめていったひとかけら
こぼれて描いた その軌跡

ほんの少しを呼吸して
小さな夢を叶えるために
届くといいな 流 ....
疲れたようにうずくまる
動物園のダチョウは堅い地面に佇んで
見渡すことのできない世界で
それでも何かを見つめている

鉄の柵は頑丈で
あっちとこっちを隔てているけれど
本当に隔離され ....
ときどき僕は、まだ羊水の中で
少し離れた場所から聞こえる声に
そっと耳を澄ませている気がする

それはまるで子守り唄のようで
鼓膜を揺らすほどでもない
優しさを持っている


と ....
地上へ向かう木の葉が見せる
一瞬の華やかさ


揺らぎ


心の根幹は
頑丈にできているけれど
心の枝先は
いつも何かにあおられている

言葉が
木の葉のように舞い落 ....
夕方の空には、今日が眠っている
そんな気がする

夜に溶けようとする入り口で
わがままな僕はうずくまる

何かを忘れている
そんな気がする

ひとりひとり
今日話したいろい ....
背景のない明日が
夕暮れを透かして見えそうな頃

閉ざされてゆく今日が
夕闇にかすんでゆく

そんな当たり前のことに
淋しさや儚さを感じるこの心
あるいは美しさを見つけようとす ....
各駅列車がゴウンとかガタンとか
あんまりうるさい音で行くので
旅の記録も記憶も
まるで陽炎のように歪んでしまいそうです

最近では冷房がしっかり効いていて
天井の扇風機はすっかり黙って ....
ほんのささいな言葉でも
心がこもっていればいい

ほんのかすかな響きでも
僕を覚ましてくれればいい

ほんのささいな優しさの
心のこもった言葉があって

ほんのかすかな響 ....
ふらり立ち寄ったデパートで
行くあてもないのにエレベーターに乗ってみた
中にはエレベーター・ガールがいて
きまり文句で言ってくる

「上へまいりますか?下へまいりますか?」
「特にきめていないのです」 ....
石瀬琳々さんのベンジャミンさんおすすめリスト(21)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「夏のはじまり」- ベンジャ ...自由詩12*09-5-24
「風が生まれるとき」- ベンジャ ...自由詩6*08-7-30
「砂の記憶」- ベンジャ ...自由詩11*08-7-25
「林檎」- ベンジャ ...自由詩7*08-7-21
「喜びのかたわらに悲しみはあって」- ベンジャ ...自由詩708-6-21
「あなたの水面が揺れている」- ベンジャ ...自由詩10*08-6-20
「ひろった五月」- ベンジャ ...自由詩11*08-5-20
「月影」_(青年詩片)- ベンジャ ...自由詩10*07-4-13
たとえば歌をうたうように- ベンジャ ...自由詩12*07-3-14
雪のない冬- ベンジャ ...自由詩7*07-3-12
「何処でもない場所」_(青年詩片)- ベンジャ ...自由詩5*07-3-4
「憧憬」- ベンジャ ...自由詩7*07-2-12
「星の言葉」- ベンジャ ...自由詩9*06-12-29
翼を持って生まれてきた- ベンジャ ...自由詩4*06-10-3
ときどき僕は、まだ羊水の中で- ベンジャ ...自由詩8*06-10-1
「揺らぎ」- ベンジャ ...自由詩10*06-9-20
「夕方の空には、今日が眠っている」- ベンジャ ...自由詩9*06-9-5
まるで難しいパズルのように- ベンジャ ...自由詩11*06-8-20
暑中見舞_(旅先より)- ベンジャ ...自由詩8*06-8-18
「そして言葉が支えてくれる」- ベンジャ ...自由詩10*06-7-2
「エレベーター・ガール」- ベンジャ ...自由詩7*06-6-12

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