すべてのおすすめ
うすあかりの気配がする
長いトンネルの出口
機関車の先方に見え隠れするものが---
それは・・・
夜明けの白い漁り火なのだろうか
落日の赤いかがり火なのだろうか
真夜中の青い鬼 ....
綿雲を飲み込みながら
ジャンボ機が鮫のように
虚空の海を我が物顔で
生まれ故郷にむかって泳いでゆく
逍遥中の私は
その遠退く鮫を追いかけた ....
うるわしい神話は
とっくに忘れてしまいましたが
花言葉はノスタルジァと名づけたいくらいです
コバルトブルーの空に映える
プロムナードはつつじのいろどり
でもなぜか 逍遥の疲れで いつの間にや ....
一夜の緞帳が巻き上げられ
みどりのひかりが一日の開幕を告げる
しののめ
旧知のひとや今は亡き血族が
透明 ....
アベニューにみどりのかげが溢れだし
タンポポも路肩で微笑みはじめた
というのに
精の分身に水晶の輝きが見られない
神の化身に清流のせせらぎも
....
デビルのマジックが余りにも
お見事なのか
ジュピターの黙示が余りにも
透徹なのか
口から吐く言葉となるものが淀んでいる
....
街路灯が薄目をひらき
パチンコ屋のネオンがウインクし始める
沈潜ひとしおの黄昏はひととき
玩具の壁時計が噎せるセコンドは
歯車の音をなぜか故意にひびかせる
....
死んだのは
色物への泥酔した意識なのか
白物への酔いざめした我執なのか
透徹の限りないかなしみ
いのちのデリケートなシルエット
★
いとおし ....
疎くなった耳もとへ
北風の夜遊びを密告してくる
小窓のサッシがカタコトと
使いふるした電気スタンドも
首をかしげてのぞいてくる ....
中天がはがされて かぜがそよぎ
ひかりがささやくなか
菜の花の祝祭であでやかさを奏でる
休耕田の一郭
透徹した「気」の感触
混濁した「血」の ....
「時空」がさがを育むから
いとおしくなるのだろうか
真昼の有機物も真夜中の無機物も
クロノスょ 黙殺しないでおくれ
カイロスょ 軽蔑しないでおくれ
尊い重力で遂に腎虚の身となった ....
いのちの微妙なシルエット
死んだのは色物への泥酔した執着か
それとも白物への酔い醒めた意識なのか
透徹の限りないかなしみ
いとおしい片影の消滅 ....
鬼籍のオヤジが生前自慢していた
「オレは覚え易い千九百年生まれだ」と
息子のセガレも自慢げに喋っていた
「オレの齢も昭和の年号と一緒だ」と
だが平成になって
セガレの口癖は不通となった
ま ....
花はピンクに咲いている
木々はプリズムに映えている
だがゆめはいつしかおらと浮気する
木漏れ日がまぶしい
空の変身がうらやましい
だがゆめはいつしかおらと離婚する
街の四つ角で信号 ....
白いひかりが
かわいた歩道を暖め始めるころ
その一角で二人の保育園児が
子連れでなければ
独身にさえ見える長い髪のママたちと
....
おたがい 歳の差は縮められないのだから
甘えるのもいい
うらやましがるのもいい
おたがい えにしはカルマなのだから
あきらめるのもいい
くやむの ....
ひなびた風景写真そっくりな郊外は
春分の昼下がり
ウラノスが四次元を統率してる故か
杖を引きずる猫背のかげも
かげを飲み干す埃っぽい雑木林も
....
既設のパビリオンは
そのひとをもえあがらせたが
暖めることはできなかった(過去)
新設のモニュメントは
そのひとを暖めようとしているが
....
わたしの 青い春はぼろぎれに
続いて 赤い夏は生ごみに
更に 白い秋は空き瓶に
そして 遂に
黒い冬は 紙屑になろうとし ....
西日本の南岸に沿って
多血質の低気圧が北東へ徐行中
だから太平洋側は雨になるでしょう
と気象台は云っている
私道のみぞを舐めまわしたり
....
はるは蝶とささやきあい
なつには蝉とうたいあい
あきはむしとなぐさめあい
ふゆにはみみずと遊びあい
風とは笑顔でダンスしあい
光とはすなおに握手しあい
雨とは ....
青くなった春のまぼろしを
赤くなった夏のかげろうを
白くなった秋のおもいでを
黒くなった冬のトルソーを
はつはるの霊気をはらんだ
....
雑木林は沈黙しているが 唖ではない
いつでも木々が 旧友のように
語りかけてくれる
雲は浮かんでいるが 不動ではない
いつでもミルキーウェイのかぜと
同行している
生は死への旅立ち ....
置いてきぼりをくった事も判らずに
自我の尻尾を振りながら
manualを金科玉条としていた昔
なのに今や うつろな自分と
まぼろしの他人とが鬼ごっこしている
....
ふゆのひかりがくすぶるなか
はいいろのかげをひきずりながら
うすきみわるくちかづいてくる
ひびだらけのそぞう
くぼんだみぎめのおくには
しんじょうもがん ....
氷壁からは北風の怒号
密林からは原木の咆哮
荒地からは枯葉の乱舞
吐息は此岸ののりとに変わり
のりとは彼岸の呪いとなって
真っ黒になった耳かざりを震わす
そしてタナトス ....
九十六歳で亡くなったオヤジが
十六年間丹精こめた裏庭
それが息子の不精と不器用で
荒れ放題・・・
春の新しい芽吹きはもぎとられ
夏のまぶしいひかりは ....
子犬のように足元にからみつく
北国からのつむじ風と
たわむれる枯葉たちょ
ほんとうはおびえているのか
それともすねているのか
水々し ....
鳥たちは木の実を食べながら
種を運ぶ
ゆめの若木が根付くようにと
蝶たちは花粉の足で飛びまわる
望みの花が目覚めるようにと
未見の年があける朝
....
いまは「喋りたくない」から
「喋りたくない」というだけなんだ
だが いつか喋りたいときが来よう
暖か味もないふゆの雲にむかって
愛想もないふゆのひかりにむかって
相槌もないふゆの ....
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