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本の隙間から
光が溢れている

行間のひとつひとつが
とても眩しくて
僕らは本の影の部分を
読んでいるに過ぎない

見失った灰色の街で
出会ったばかりのきみから
きみの本を借りた
 ....
空の上で
少女たちが
花をちぎっています
あなたが窓辺で
ぼんやりと
見つめている雪が
それです

春になれば
空の上で
花は咲きません

すき、きらい、すき、が、
言えなく ....
さみしさのようにあり続け
やさしさのように消えてしまう
鳥はいつも
そんな隙間に巣をつくる

おだやかな空のもと
揺れる木陰の向こうには
静止したままの朝
さえずりはまだ
誰に気づか ....
しずかな曲線を描いて
落ちていく
最後の一日が
地平線のあたりで

手を握り合う
もう二度と
離れてしまわないように

やがて朝がくる
信じるよりもあきらかに
疑うよりもたやす ....
路上の水溜まりに
人が落ちていく
見上げると
空を魚が泳いでいる
見えていなかった
世界の本質が
突然そのように
あらわれることもあった
今私は魚の餌になっている
愛する人が何も ....
手を繋ぐと
聞こえる音が
聞こえなくなりそう

明日のように曖昧な
昨日の出来事のように
今はまだ
起こるべくして
始まるべくして
ただ静かに
呼吸をしている

空が遠い
あ ....
雑踏のオーケストラが
鳴り止んだ夜の街で
耳をすませば
バイオリンの泣く音
チェロの慰める声
そのふたつ届く
どこか遠くで
自分のふりをして
誰かの代わりに
誰かが生きている
今日 ....
僕のふりをしていた木が
いつのまにかいない
僕のふりをすることに
疲れたのか
あるいは木のふりをすることに
僕が疲れたのか
新しい図書館の椅子に座ると
声が聞こえる
ここにいたのだ
美しい国が
海岸線を漂う
せつない季節があった
溢れ出す
何度も調整された成分が
朝日でも夕日でもない
光にただ照らされ
そのたびに
つないだ手を
何度も握りしめた
がっくりと
落とした肩を拾う
何かの実のように
赤く色づいて
種を持っている
やがて発芽する
青くてたくましい
力を持っている
肩は落とした数だけ
冬を語っている
肩は拾った数だけ ....
階段をのぼる足音の
海をさかのぼる
波音が今
わたしの深い
大陸棚に
ぶつかる音がして
なにも見つからない

ちいさく
広がるだけの星が
こぼれる秋
虫の声が燃えている

理 ....
ただ
空だけが去っていくよりも
窓から見える電車の行方が
気がかりだった

アフターサービスは万全です
断言した店員が
明日にはまた別などこかで
同じような物語を語り続け ....
鳥の泣き声が
朝を告げて
あなたはあの空へと
羽ばたいていった

残された羽根は
栞ではなく
さよならを告げるための
置き手紙になった
砂に埋めた記憶が
呼吸を止めて
海水の表面張力が
零れそうになる

あなたは
なくしたものばかり
瞳にうつしたがる
日が沈む音がして
二人は無口になった

語り尽くされた
愛の抜け殻の中を
夏の匂いが吹き抜ける

あなたの心の声も
花火の音に掻き消されて
何も聞こえなかった
ボケットに
愛をつめこんで
電車は走る

窓の外には
形を変えた愛が
こんなにも多く

ざぶざぶと
波に洗われ
そして
さらわれてゆく

あなたが
待っている
駅までつづ ....
うっかり昼寝している間に
半開きの窓から
しちがつの祭りが逃げていった
あわてて町中を探すと
黒山の人だかりがあり
かきわけて中に入ると
側溝に落ちたしちがつの祭りが
救出されているとこ ....
片恋のボタンはずして息をする

坂道を二人乗りして夏が行く

できたての朝は真夏のゼリーかな

水族館ガラスに映るあなた見てる

砂浜の足跡がまた波に消え

潮騒の残響に潜む君の声
わさびが
目にしみた
とばかり
思っていたら
あなたは
ほんとうに
泣いていたのだった
このあいだのこと
ごめん
とあやまると
わさびが
目にしみただけよ
と言うあなたが
目 ....
ときどき妻が
キッチンの引き出しの中をのぞいて
笑っているのはなぜだろう
中をのぞこうとして近づくと
あわてて閉めて私を追い払う
みんな眠ってから
トイレに行くふりして
開けようとした瞬 ....
雨をふくんだ地面が
静かに沸騰して
おいしいものが
出来上がるそこを
夜明けを待たずに
ぬかるみながら歩く
無意味を信じて
無意味な逃避をして
正しいつもりになって
砦の先はるか遠く ....
ごみ捨て場に
ものさしが捨ててある
とても使いこなされた
古い単位のものさし
やはり捨てないことにしたよ
と父が来て
拾いながら横目で
お前のものさしはいいな
と言った
二人にはまだ ....
私たちは
雨の絵を描いたり
バケツに水をくんだり
シャワーから水を出してみたり
思いつく限りのことをしてみたけれど
先生はそうじゃないと言って
青空のはしっこをつかんで
そっとめくってみ ....
むー。
と、
音がして
電車がホームに入る
それは声ではなく
乗客の
希望と不安と
そして無関心が
いりまじった
心の音
今朝の
むー。
は、
1オクターブ
高かった
プロポーズの日
私たちは海老フライバーガーを注文した
三分ほどお時間がかかりますが
そうお店の人が言って
後ろの方では段ボールの中から
冷凍の海老フライパティが取り出されていた
トレイの上 ....
アダルトビデオから男優が逃げた
かわりに僕が入れられた
男優はそのままビデオショップに返却し
自由の身となったようだった
ビデオがレンタルされた
借りたのは彼女だった
僕は女優をビデオの中 ....
夜空の星をピンセットであつめていた
明日はあなたの大切な日だからもう寝なさい
お母さんがそう言うので
私は集めた星をポケットに入れて眠った
夢を見ていた
星にはひとつひとつ名前があり
それ ....
仕事を終えた私はふと思い出したように
あの日の帰り道を歩いていた
道はひとまわり広くなっていた
かどのタバコ屋はコンビニになっていた
美味しかったとんかつ屋は店を閉めており
人が住んでいる気 ....
梅雨の晩送られし日々の紙一重

夕立の山小屋のよな紙一重

麓から頂上までをなぞる指

折り紙を折る指に癖あらわれり

夏服を脱いで蜉蝣乱舞せり

青簾恋匂い立つ畳の間
ドアが開いていますよ

声がしたので一応
部屋中のドアを見てみたのだが
すべて閉まっていたので私は困惑した

あの
ドアは閉まってますが
いいえ
ドアが開いていますよ

部屋を出 ....
千波 一也さんの小川 葉さんおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
偽物の光と影を借りにゆく- 小川 葉自由詩508-2-8
かたおもい- 小川 葉自由詩508-1-11
鳥の隙間- 小川 葉自由詩808-1-2
大晦日- 小川 葉自由詩607-12-31
水溜まり- 小川 葉自由詩307-12-29
呼吸- 小川 葉自由詩507-12-12
雑踏- 小川 葉自由詩407-10-16
擬態- 小川 葉自由詩7*07-10-2
美しかった国- 小川 葉自由詩5*07-9-15
- 小川 葉自由詩307-9-12
あたらしいもの- 小川 葉自由詩607-8-28
やさしい意味- 小川 葉自由詩507-8-22
置き手紙- 小川 葉自由詩307-8-7
表面張力- 小川 葉自由詩507-8-6
花火- 小川 葉自由詩307-8-3
黄昏- 小川 葉自由詩607-7-28
しちがつの祭り- 小川 葉自由詩407-7-27
真夏のゼリー- 小川 葉俳句7*07-7-25
わさび- 小川 葉自由詩607-7-14
引き出し- 小川 葉自由詩14*07-7-5
キッチン- 小川 葉自由詩407-7-1
ものさし- 小川 葉自由詩1107-6-29
先生- 小川 葉自由詩607-6-24
むー。- 小川 葉自由詩6*07-6-21
海老フライバーガー- 小川 葉自由詩17*07-6-3
アダルトビデオ- 小川 葉自由詩9*07-5-30
ビッグバン- 小川 葉自由詩707-5-28
あの日の帰り道- 小川 葉自由詩507-5-27
青簾- 小川 葉俳句507-5-23
ドア- 小川 葉自由詩6*07-5-20

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