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と思ったのは、鳥の羽だった
くるりとやわらかに丸まった羽毛が
風で、路上に転がって

ここで何が起きたのか知らない
鳥の姿も、形も無い
アスファルトには点々と
わずかな血痕が残され ....
ほろほろと
風もないのに落ちてくる
きいろいなみだの
しずく

たおれた青草には霜
子どもはハアッと息を吐き
(みて、しろいよ)
目を丸くする

掃いても掃いても尽きることはない
 ....
おはよう と言うよりも先に
十二歳になったよ と
報告をする朝
きみはまだ翼の下
生まれてきて良かった? の問いに
素直に微笑む
きみのまだ知らない
悲しみと苦しみ 
平坦な道のりを願 ....
とりだって
なきながら とんでいる
なきながら はばたいている
ごらん あのほねを
アルミパイプとおなじに
からっぽ
くちびるをあててふいたら
さぞかし さみしいおとがするだろう
ても ....
歩くのに慣れて
つまずかなくなった
娘は
平地でもつまずいて転ぶ
ひざっこぞうに
青あざをつくって帰ってくる
そのたびに
下を見て歩かないから と叱る

歩き始めたばかりの頃は
も ....
女の子が手をふる
「てっちゃんの、おかあさーん」
私はあの子の名前 
知らないのに

顔と名前を覚えるのが苦手で
人に会うと、どきまぎしてしまう
間違ったらどうしましょう
それはまるで ....
赤ん坊の髪は
ふんわりと柔らかだが
つんと真上に立っている
ささやかに主張している

見る人は優しく微笑むだろう
五月のオーチャードグラスを
誰も刈ろうとは思わない
日曜日の朝には
ふたりで散歩に出かけた

草花を摘んだり
空を見上げたりした

原っぱには
一本の砂利道が続いていて
その道をふたりは
ただ、まっすぐに歩いた
ときどき
トノサマ ....
すべてを解り合える

そんなことを考えるなんてどうかしていた

けれど、たぶん

それが終点であり、始点でもある

私たちは循環するバスに乗っている

片手に

希望という鞄を ....
風が

砂の上に言葉を残していく

見えない指先が作り出す

美しい波

足跡を残すこと が

躊躇われる日に

その言葉の意味を知りえたなら

どんなに救われるだろう
 ....
ななかまどの実は優しい
目覚めるにはまだ早いの、と
種を包んで眠らせる

外は雪、小鳥たちには信号
わたしはここよ
赤く光って合図する

ついばまれる実
やがて種は
生まれた場所を ....
生まれてはじめての雪に
子どもは小さな手を伸ばす
白い雪花をつかもうとする

指を開いても花はどこにもない
黒々とした丸い目が
さらに丸くなる

降る雪を
つかんではひらき、ひらいて ....
机上に
紙を一枚立てたいのなら
紙を折ったり、丸めたりするといい
薄い紙ならなおのこと
いくども折ったり、丸めたりする

内側に書かれた文字が
外から見えなくなっても
強さを優先するな ....
今日という日が終わり
太陽は地に落ちて
暗い 夜が始まる
冷たくなった空に
白い月が懸かっても
昼の明るさには
敵わない

赤ん坊は泣きながら眠りにつく
母親は優しくあやしてやる
 ....
秋が深まれば
孤独の色も深くなる
憎しみに火をつけても
重たい胸のつかえを
溶かしたくなる


2006.10.17
生暖かな風が吹き抜けてゆく
ようやく緑の穂をつけた
オーチャード・グラスが
ざわざわとざわめく

雨が降る

雲はまだ薄く
北の空には光が残っている
ふいに、蕗の葉が大きく翻って
 ....
ぽきりと
折れてしまいたい
木よ そう思わないか
冷たい 雨と風にさらされて

いつになれば
春は訪れるのだろう
折れて
倒れて
地に伏せば
今とは違う風景が見えるかもしれない
 ....
イチリンソウが 咲いた
一輪で 咲いた
手折ればすぐしおれる
春の日の夢

一輪で咲くことを
神に 赦された
一輪で悲しむことを
神に 赦された

染まらない
その 白の痛みに
 ....
こぼれ落ちる吐息を
止めることができない
形を与えることがまるで
罪だとでもいうように
あなたは口をつぐむ
それでも

川は流れる
高い場所から低い場所へ
風は吹き抜ける
地球をや ....
春の雨だ
激しい弾丸だ
貫かれて
雪はかすかに呻く

輝きは失われ
疲れて
蝋のように溶けてゆく身体
止める術はない

木々は目を覚ましている
鳥たちも気づいている
この叩きつ ....
六月の雨のように優しい歌を女は
歌いたい と思った

穏やかな雨は
静かに大地を潤し
木々に柔らかな緑の葉を育てる
埃を払い
全てを清め
紫陽花の青を鮮やかにする

八月の情熱を胸 ....
日差しが
雪を溶かしてゆく

ごめんね、冬。
あなたがゆくのを
哀しんでいられない

ネコヤナギの枝の先の銀色
樹液がそこまで
流れはじめたように

私の中の血液も流れはじめた
 ....
音もなく降る雪
泣いているのかもしれない
白い
空の向こうで

殺された小さな手と
殺した大きな手
どちらもあなたに似せて造られた手
耐え難く
愛しい

泣いているのかもしれない ....
千波 一也さんの北野つづみさんおすすめリスト(23)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
確かめもしないで- 北野つづ ...自由詩5*08-2-9
創書日和「指」_銀杏- 北野つづ ...自由詩4*07-11-19
十二歳- 北野つづ ...自由詩12*07-11-15
とり- 北野つづ ...自由詩7*07-10-30
つまずく- 北野つづ ...自由詩3*07-9-8
草花- 北野つづ ...自由詩2*07-9-8
五月は優しい- 北野つづ ...自由詩1*07-8-19
陽だまり- 北野つづ ...自由詩2*07-8-10
理解- 北野つづ ...自由詩7+*07-7-23
創書日和「風」_風紋- 北野つづ ...自由詩8*07-5-19
ななかまどの実は- 北野つづ ...自由詩10*07-5-8
創書日和「雪」_初雪- 北野つづ ...自由詩9*07-1-13
創書日和「紙」_紙- 北野つづ ...自由詩5*06-12-22
新しい朝- 北野つづ ...自由詩6*06-12-8
- 北野つづ ...自由詩3*06-10-20
雨を待つ- 北野つづ ...自由詩8*06-9-9
耐える- 北野つづ ...自由詩7*06-8-7
一輪草- 北野つづ ...自由詩4*06-6-5
呼吸- 北野つづ ...自由詩1*06-5-11
Lent(レント)- 北野つづ ...自由詩3*06-4-18
優しい歌を- 北野つづ ...自由詩4*06-4-7
ごめんね、冬- 北野つづ ...自由詩3*06-3-30
泣いているのかもしれない- 北野つづ ...自由詩7*06-3-7

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