耐える
北野つづみ

ぽきりと
折れてしまいたい
木よ そう思わないか
冷たい 雨と風にさらされて

いつになれば
春は訪れるのだろう
折れて
倒れて
地に伏せば
今とは違う風景が見えるかもしれない
そうは思わないか 木よ

冬のあいだにも
ずいぶん枝を落としたが
さらにまた
強い雨と風が
おまえから多くを奪おうとする

折れるな と
たとえそれが
誰かの意思だとしても

折れてしまいたい
心の奥でひっそりと
そう呟いては いけないか


二〇〇六年五月十日


自由詩 耐える Copyright 北野つづみ 2006-08-07 21:10:48
notebook Home 戻る