鶯が
桜に色を
わたしています
今日は雨
あなたは
静かに
そういいます
書きかけの手紙
まだ、
ポストへ
出せずにいます
花びらは
雨を乗せて ....
10・19
ある日星が落ちてきて
空は見渡す限り暗闇になった
わたしは世界に散らばった星を
拾い集める旅に出た
モンゴルの高原には
羽の折れた白鳥座が落ちていたが
少年が食べ物を ....
あんたがあたしに言うたこと
お母ちゃんに聞かしたら
そんなん二度と言うたらあかんて言われた
結局どういう意味やったんか分からへんけど
あんたはあたしを侮辱したんやな
それはなんとの ....
あなたに似ている
と。言われたくありませんでした
わたしはわたしに過ぎず
あなたのクローンではないのだから
あなたがいなければ
生を授かることはありませんでした
それだけは否定でき ....
たぐり寄せた糸を
めちゃくちゃに結んで
ほどけなくしたつもりだったけど
あまりにもあっけなかったね
ハサミでぷつんと切られてしまった
縁があったらまた逢いましょう
空虚だ
君は
....
信号の点滅を見るたびに
心のどこかで
何かが点滅している
すぐ後ろに危険が立っているのか
目の前にチャンスが来てくれたのか
私にはわからない
この点滅が消えないこと ....
わたしに 水をあげさせて!
例え それが 他の誰かの鉢植えでも
例え それが 有毒植物でも
例え それが 花の咲かない植物でも
例え それが 水をあげると枯れてしまう植 ....
花薫じる風
春の果肉は発する
ぬくみの芳香は
顔を撫でる
揺れる山肌の草色
白いかげろうは延び
青い遊戯は列をなす
この涅槃の奥底まで
ワルツの舞いは膨らみ
太陽にほ ....
品川駅のスターバックスコーヒーからは
高輪口と港南口を結ぶ中央コンコースを
本当にたくさんの人たちが
サーモンピンクとライムグリーンに色分けされて
指定された方向に運ばれていくのが見下ろせて
....
適当な事言って
軽はずみな事しやがる
そろそろ常軌を逸してきたようだ
もう誰が味方なのか分からない
奴らはばれないようにトラップを仕掛けるらしい
俺はチューニングの合っていない ....
足元にあるほこりを摘んで
ふぅっと空まで吹き飛ばした
空には大きな雲が浮かんでいて
あっという間に溶けて混ざった
背中を伸ばし
両手を伸ばし
僕は
空を飛んだ。
名前は意味だ
狼を雌鶏に変えた鷲の嘴は
焼かれて煌く
聞いてくれ!と
散歩道で騒いだくせに
すっと黙るのは
卑怯者の群衆
{引用=
森が育むのは
夜という物体
....
窓にはまった網戸を見ていた
それからちゃぶ台の上のスプーン
同じ方向に三本並べられていた
これママの、これパパの、これぼくの
暑かったと思う
そのことで汗もかいていたと思う
数年経って
....
鬼の島に住む鬼は
毎日生活を送っている
朝起きると少し不機嫌で
中には朝から元気な鬼もいるが
多くの鬼は低血圧で
みんな朝ごはんはほどほどにしか食べない
ある鬼は会社に出か ....
{引用=くりかえされる、すべてのいのちと
いとおしきわたしの二人称たちに}
わたしがあなたを産んだそのとき
それとまったく同時に
あなたがわたしを産んだのです
この、配線だらけの街の ....
イーサーになりたいと君が言った
そんなものはないと俺が言った
星、星、と君が言うから空を見れば海だった
水と煙に呼吸があるなら
与えられて/合わさって
灰水の洩れる絶望が
生まれる時の絶望 ....
真っ赤なドレスに
10センチ以上あるヒール
鎖骨まで垂らした巻き髪
夜のネオンが煌めく街に
誰にも気付かれない様に
そっと部屋を抜け出す
ワイングラスに ....
嫁の腹が日に日に膨らんでゆく。
検診に行くたびに倍の生命力で大きくなってゆく。
嫁は四六時中続く気持ち悪さを懸命に我慢している。
風邪を引いてもなるべく薬を飲みたくないという。
嫌いなニンジン ....
何人目かのオンナが踊っていた
純粋だった景色も
捨てられた新聞紙のように
風に吹かれ、転げてゆく夜の雑踏
街は痛みも
嘲笑で、もて遊ぶ
ナマあたたかい酒を知り、
....
花束を車内いっぱい敷き詰めて水没してゆく春の陽とひと
野の花や少年少女の髪揺れる風泥棒が口笛吹けば
集まればいつしかはなれてしまう春むかしどうきゅうせいと来た海
....
?.
木曜日に最後の晩餐をして
金曜日に くちづけられて
磔にされて 血を流して 死んで
三日後に もう一度生まれる
手のひらには穴が開いたままで ....
見えない、けれど
雨が降る
相対的な
雨が降る
桜が夜の
川でライトアップ
水いろ
灰いろ
ピンクいろ
銀河のようにも
珊瑚のようにも
....
魚になって泳いでみたら
ちいさなあの子がすくってくれた
あんまり優しくするもんだから
優しくガラスにキスをした。
小鳥になってちゅんちゅんしたら
おっきなあの手で優しく抱いた
あんまり ....
いま
{ルビ仄=ほの}明かりの部屋がとても寒くて
ぼくは
コカ・コーラの気が抜けてゆく潮騒の中で
花が開いていくのをじっと見ている
足が冷たく
息の僅かな白さの中に
ちいさな子供だった頃 ....
僕は
まさに僕のような人間が、犯罪者になるんだろうと思った。
だけど僕は恵まれていて幸せで
犯罪者になることはなかった。
だから
僕は犯罪者に憎まれているんだろう、と思った。
そんなあ ....
イクラ丼が食べたい
キヨシマツモトは突然に言う
案の定僕のポケットには
北へ向かうチケットが二枚ある
キヨシマツモトでは本日も医薬品が大安売りで
僕はまったくの文系だけれど
キヨシマツモト ....
あんなに痩せっぽちだった友だちが今はひとりぼっちになってた
スリッパを並べると自分にもお客さんがあるみたいで嬉しい
ウォーリーを探せ、と言われてウォーリーしか探さないような子でした ....
昨日の夜は部屋も静かな寝息をたてて
星だってずっと遠くに見えるか見えないかくらいだったみたい
眠る前のめまい
足の先から順々に音を失くしてく
無色に染まる
たいせつ
カーテンのうすみど ....
水を、欲している
のどの ずっと奥のほうで
さかなが泳いでいる
季節が融けはじめていることに
気づいたときには もう
わたしのなかの海は 浄化され
沈殿していた過去があふれ出て ....
幼い頃からいつも一緒でした
わたしとあなたは
いつしか
あなたの右の指に花が咲くようになり
わたしの左の頬に花が咲くようになり
わたしたちは
その花を愛でたり食べたりするよ ....
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