すべてのおすすめ
わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない
わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
....
バスは満員
電車も満員
ひとびとは水底に四角くならんで
青くひかる
ぶつかり合わない程度に
ゆれあい
いつか
自由になれるんだろうか
乗り物を降りると
豆腐屋が通りを ....
ポプラ通りの真ん中らへん
すべすべの感覚で
まぶたを閉じれば
少年を見つけられる
少年は息を止め
そっと手を伸ばし
とんぼの羽根をゆびさきでつまむ
瞬間を点でとらえたのだ
でも虫か ....
今夜は魚の塩焼
ちょうど良く焼き上がって
美味そうだ
食べようと箸を近づけたそのとき
そんなはずあるまい
魚と目が合った
どうかしたのと向かいの母が尋ねるので
なんでもないよと ....
霧吹きのような雨はふかみどり
胸の奥まで吸い込んで
わたしは森になる
しばらくすれば
じゅうぶんに水を含み
耳を傾ける
彼らは
永遠を指し示すこと ....