すべてのおすすめ
さかなのひれが走り
海はのどかに青い石をのみこむ
くじらのせなかに白い
かげがえんえんと生えている
むろん海だけじゃ
生きていけないから
あたたかなほうようをおこなうのは
水平線 ....
私は今日、父になった。
娘が産まれた時
妻は命を懸けて母になり
命を懸けていない私は
父を、演じ始めた。
....
空中
鋭角に埋め込まれた触手
頭の細胞を探って
答を探す
惑星
断片
スピード
空中の固体を理解する
前方
速度が通過する
惑星
断片
提示
提示されたる ....
ひとつの脳で考え
ひとつの肌で感じ
ひとつの舌で味わい
ひとつの風景を見る
それが人生だと思っていたが
どうやら人生というものは
ふたつの脳で考え
ふたつの肌で感じ
ふたつの舌 ....
{引用=(*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に ....
一周まわって今時の
君の着る服が、
私の前髪をきれいに揃えようとする
君のきるシャッター音が
あまりにデジタルなので
私は前髪を揃えようと思うのだ
私の肺の穴あなから
ミツバ ....
どうやら春は来るらしい・・あたりまえのように、
さり気ない顔して、来るらしい
休みたいのに休めない人間の性を見つめる
欲と愚かさ・・・
朽ちかけている躰を横たえて
この世の境界線を越えて ....
小さな神様は二人いて、一度現れて
そして影となり、二度と現れなくなった
とてもむかしから飼っている犬がいる
夜は犬小屋で静かにしている
死んだような影を落として
鳴 ....
瞑想する 内面の
冬枯れした 感覚
糸はみな 途切れ
気力の輻射は 尽きた
心底の 廃墟を
刃毀れした 憎しみが
夜風となり 撫で
破風のうえには 妖星が流れた
女の 厭世詩を ....
掻きむしりたいほどのこの感情は
時間が忘れさせてくれることもなく
この心の底でいつまでもくすぶる
手のひらの痒みが消えないのと同じで
痒みを忘れることはあっても
またいつかやって来る
....
高速バスの窓辺から 風景は切り刻まれ
囲まれたインターの隙間や綻びを見つけてバスは逃げ切り
トンネルで安眠を貪り 気がつけば
高架下には貼り付けられた灰色の街と
名札のついた背伸びしたがる顔の ....
私の部屋から消しゴムが消えた
自分で買い続けた漫画や画集本より
知らない人から送られてくる詩集本が増えた頃に
机の周りは書き散らかした紙で黒文字だらけ
背表紙の文句に踊らされた本棚
その ....
今日は何色でもない
なんでもない日でした。
朝日が昇って
みんなが活動を始めて
貴方とお別れをして
今日が貴方の日になりました。
永遠のお別れと言うやつですね。
わたしと貴方の距 ....
左側の
下から二本目には
幼い過ちが
絡みついている
右側の
上から四本目には
小狡い鳥が
棲みついている
左側の
上から三本目に
温かい実を
結びつけてくれた人
....
水面の雲がながれるように
素足で湖の上を歩きたい
つめたく 人をさす ひとさしゆびのことは 忘れてしまいたい
わたしは くつしたをぬいで はっとする
わたしの あしのひとさしゆびは ....
僕はその頂きを極めて、その後で
それについて語っているわけじゃないよ
今はまだ、そこを目指してトボトボ、トボトボ、休憩したり景色を見たりしながらゆっくりゆっくり進んでいる段 ....
変わらないものなんてあるのかな
不意の呟きの真意が分からなくて
曖昧に微笑んでみせた水曜日の夜
降り始めた雨に不安になったのか
ざわめくように木々が揺れていた
変わらないものなんてあ ....
音楽は子供組が舐める風邪シロップみたいなものなんだって
遠い昔にいた偉い人がそう言ったんだって
いつかのあなたがぶっきらぼうに教えてくれた
わたしは中古の楽器を担ぐあなたについてまわ ....
「アイスコーヒーにシロップいれるとき、なんか綺麗だよね」
「……ごめん、わかんない。っていうか、その、」
「あ、マスミちゃん、シロップなんかつかわないか」
「うん」
「オトナだねぇ」
「 ....
1 2 3 4 5 6