すべてのおすすめ
開かれる
空の瞬き青々と
白雲棚引き
行方は知らず
哀しみ溢れて
秋風の吹く
風呂上りに
歌舞伎フェイスパック
ほてる顔にぴたっと貼る
冷たいシート
目と口をそっと出す
鏡に現れたのは
赤い熊取の入った顔
この顔で表を歩けたら
「暫らく」と声をかけ
ポーズ ....
何処かの公衆トイレの壁にされた
落書きみたいに
俺の体の中から卑猥な文字が消えないんだ
でも
男だって女だって誰だって
それは自然だろ
それにしても
女は化粧するし
丈 ....
涙のかわいた後には単純に目糞が残りますね
私の場合ですけど
他の人はどうなんだろうか
涙は感情の高ぶりが一つの体液になって目から流れ落ちて頬を伝うしだいです
そこには悲しみばかりじゃない
....
どうしても
無欲には
なれない
なれる訳がない
それどころか
この心も体も欲望が満載で
特に体は
時には自制がきかない
選ばれた一握りの人間にはなれなかった
俺は
満載 ....
イオンタウンはいつでも涼しい
冷えた野菜の匂い
乾いた人混みの匂い
駐車場には警備員さんが
汗流し車両整理に精を出している
まるで神さまみたい
むかし、ふたりで
買い物してた ....
なんでだろうね。
世の中には、ワンピースの分だけ幸せが増える人と、
ワンピースの数だけ絶望する私のような女と
別れるのは。
その境目は
一体、なんなんだろうか。
悪魔の囁きをきく事がある
て
言うよりか
私の正体そのものが実は悪魔で
普段は人間の囁きに耳を傾けながら
生活していると言うべきなのかも
しれない
当然
私の中では
たえず悪魔と ....
知り合いに実に可哀想な男がいた。
俺と同様に洋食のコックだった。東京の下町のレストランで見習いから始めて、そこに十年近く働いた。
なんとか一人前の職人になった頃、父親に呼ばれ郷里の町で父親の資 ....
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた
りーん
ちりーん
光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
八月。うだる様な暑さだった。
エアコンも扇風機もなかった家の中の暗闇で寝かされていた。
父親と母親の間に挟まれて川の字になって。
眠るまでは真ん中の一本線だった筈なのに何だか人間が絡み合う気配に ....
妄想だけで生きていける。
キスはどんな味がするのかな?
私から女の匂いは立ち上がる?
狂わしたいな、私の本能であの人の理性を。
私は機械の音が苦手で
沈黙の底に響き渡るあの僅かな電子音が特にだめだが
今年はエアコンを取り付けられてしまった
不定期に鳴るブーンと言う音、室外機からの続くブルブル音についでに振動
あまり ....
時は昭和三十三年のプロ野球
日本シリーズ
巨人に三連敗で
絶体絶命の西鉄ライオンズ
エース稲尾和久は残りの四試合全てに登板
チームを逆転優勝に導き
翌日の新聞には
「神様・仏様・稲尾様」 ....
疲れても疲れても、上乗せされる日々に
欲しても欲しても、満たされない願望に
憤りを感じる。
重荷だ。毎日の全てが。
谷底だ。マンションの階段を掃除していた日々。
信じられないくらい可愛い子ど ....
人と人とが交わし合う
ひかりに意味はなく
ただただやさしいいろどりとして
いたる所にひかりが飛び散る
人の生の波そのものである
ひかりはきしみ合いながら
漠然と昼と夜を受けて
疲れた ....
落ち着かないんだ
四六時中空気のある所にいないと
落ち着かないんだ
公衆トイレで用をたしていても
ついつい詩が思い浮かんで
落ち着かないんだ
彼女とメイクラブしてたのに
急に詩か ....
ソーダ水の
薄い、みず色に光る泡を
優しく、かき混ぜ、溶けるように
わたしの過ぎた惑いを
散らしていった
初夏の早朝に舞い降りる
冷気のビロードで
肌がひんやりする感触が
心地よい ....
どんなに練習しても
練習の成果は得られなかった
鉄棒の逆上がり
何度も挑戦したけれど
出来なかった
だけど
そんな子供はクラスに何人かいた
何人かの一人に私も含まれていた
夕日 ....
六月の夜の街で 通りすぎるはずの弾き語りに足をとめて
どうするべきか戸惑いつつ 疎らな聴衆の背後に加わり耳を傾けた
酔っていたせいかもしれない
気持ちのいい風が吹いていたからかもしれない ....
女 男 女 女 男
私の父親と母親の間には五人の子供がいた
一番上の姉と一番下の私とは十歳離れていた
長女が二十歳を過ぎた頃私は小学校の五年生だったと思う
実家は農家で 母親は農婦父親は農 ....
夏のTシャツは、青リンゴの匂いがした
西日の照りつける中、光に透けた脇の下の
肌とコットンのスペース
伝う汗は、覗き見た生活のように
ゆっくり下へと{ルビ降=くだ}っていた
それは空想で、上 ....
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした
それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた
あれはやっぱり声だった ....
雷が静かな死を私に受け取れと鳴く。
あっちを向いて吐き出す息は熱いが。
涼しく風を感じたり、透き通る夜更けを見たり。
青空は四角い。雲の切れ間にはつまらない透明。
聞こえ出したエン ....
病室が
まあるくしかくく転がって
赤子と死者が廻ります
消えない汚れは
ないけれど
拭えど
壁は白いから
窓を描きます
朝には消えてしまうけど
指に天体を絡めたら
柔しい繭 ....
恐竜の時代に生まれて
恐竜にはなれなかった
人間の時代に生まれて
ヒトに選ばれて産まれたんだが
次の時代は
巨大な隕石になって
この地球に衝突したい
そして次の時代は
地中 ....
墓場に集まった猫達が
ズージャ語で聞かせてくれる
フォークロア
酒場に集まった犬達は
薄いビールを呑み込んで
叙情的なぬるい息を
メランコリックに吐き散らす
魂をなくした千鳥足ど ....
遠い故郷の潮騒の音は望郷のかなた。
神無月の夜の寝苦しさと汗のにおいは、真夏のあこがれの産みの苦しみ。
カモメは港に群れていたが、今では残像さえない。
六十歳の定年に仕事はお払い箱にされた
定年延長再雇用は却下されて
容赦なく投げ出された訳さ
家の借金はあるし
嫁さんは体と心がどっちも弱くて
結婚当初から
俺にずっと養われてたから
....
満開の桜の下に集う人々は
静脈のように透き通っている
花曇りの午後に風が吹いて
柔らかい水のような眠りを誘う
穏やかに笑う彼らの腕時計は
それぞれの時刻で停止している
目的も意味もそっ ....
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