海が薄暗がりのなか
世界を満たす溶液のように
広がり
わたしは
裸で泳いでいく

貴女の不在を知りながら

貴女の声の余韻に包まれ
宛もなくただひたすらに
切断された記憶の奥へ
 ....
特別今夜は
楽しい想い出にと
広げたテーブルクロスを
断ち切るように
冷たい電話

「好きなこ、できた」と
「ゴマかすのは嫌だ」と
正直な声の響くスマホを置く

あああ、この手から ....
はじめて書いた文字は
まどかの「ま」だった
うれしかった
母がほめてくれたから

不思議の国のアリスを読んでもらって
気に入った言葉を
画用紙に集めて色を塗った

コタツに入 ....
私が詩を嫌いな理由

私は詩が嫌いだ
内的理由はさんざん書いた
外的理由は万能だから

原発推進派の吉本隆明氏が明確に詩のベクトルを
表向き芸術に向けたのは
学生紛争で利用されたと理解 ....
在るもの在るもの
ゆっくりと静止し佇む
夕暮れ時、
宇宙の巨大な静かさ
降って来る降って来る
私は海に帰っていく
歴史という名の迷妄から
少しずつ霧晴れいく
意識の軌跡を携えて
私は海に戻っていく
潮の香満ちるあの浜に
きっときっと帰っていく
仕事帰りの296。
あがりが早すぎてまだ空いていた。
この国道がチバの真ん中。
16号なんて思っている奴はチバを知らない。
窓を開けて叫んでやった
笑って生きやがれコノヤロウ
ここはチバだ ....
いとしいといわない
愛しさ
さみしいといわない
寂しさ

祖母と行く畦道
ふゆたんぽぽを摘みながら

手は
手とつながれる

枯れ野には
命の気配がして

墓所には
命だ ....
独り在ることに触れいく冷気かな

気は動き沈黙のうちに充ちるもの

陶然と我独り在り静かなり
透明な雨が降り
冬の夜を静かに濡らし
私は宇宙の孤独に座る

発泡酒のプルタブを引くと、パシュッ、っと小気味良い音がする。
慌てるように口に含むとそれは、命の流れのように食堂を通り、胃へと収納される。
濡れた髪をガス屋に貰った安く薄いタオルで拭く。
 ....
 

群れを離れたコヨーテなら
後足の
仕留め損ねた獲物に嚙まれ
血を流し続ける傷など舐めるな

私はお前の獲物ではない
まして谷底の
河原の土に掘られた巣穴に
敷かれた生暖かい毛 ....
現の日常の表層が
呆気なく転覆される
その瞬間、
異界の地に
熱風吹き荒れ
在るものすべて
銀の粒子となり
交わり躍り離反する
(広がる広がる光の海!
降って来る降って来る死者の群れ ....
線路はどこまでつづくのか
トンネルの向こうに
白い世界が見えるが ちかづいてくると
どうやら画布だ トンネルの出口は大きな世界地図で塞がれている
列車は べつだんなんのアナウンスもなく 地図に ....
西陽が腹にあたって
あたたかだ
ぬくもりだ
猫たちも
丸くなり円くなり
手をのばして
その陽射しをひとつ
棘の無い冬をひとつ
あのひとの笑みをひとつ
すべてひとつずつだけだ
取りす ....
短文はむずい。

一歩間違うとくどくなるし、
上手く流すと受け狙いだし、
短文も書く必要ないと言えば、

それまでだし。

LINEとか恋文とかとも違うし、
エッセイほど長くないし、 ....
冬のあいだ降りしきる雪に閉ざされた最果ての地マンタに住む人々は、春の日を心待ちにしている。そして世界の終わりへとつづく分厚い氷壁前の広場では、毎年二月の初めにエロスを迎える祭り、オナ・フェラペリアが行 .... 俺のいのちが
下水を通って
どぶ川にダイブした

もともと軽いそれは
プカプカ
河口まで流れていった

突然無数の
鈍色のナイフに囲まれた
ボラの稚魚の群れだ

俺のいのちは
 ....
遠い
在るものすべて
遠い


言葉は浮遊し声さざめき
(意味と響きは解離して)
通り過ぎる人、人、人

わたしは母語を失って
記憶の像にうっとり沈み


遠い 

在る ....
死にたい訳ではないけれども
毎朝大袈裟に 浮遊をさらに包む

人生が少しずつ速く伸びて
その場所へ齢と糧とささやかな幼い心を
献上でもするように 同じ手順で繰り返す

 ....
新月が穴のように開いている
月が巡ってくることをいのる
いにしえの民のこころもちで
月の定めた晦日の夜に凍えて
聖なる薪としてくべた雑記帳

お気に入りの日記帳が炎と化すあの感じ ....
人生はネバーエンディングストーリー
地球は公転と自転を永遠に繰り返すわけじゃないのに

誰も知らない哲学がどこかの惑星で
発掘されるわけでもないのだけれど

僕たちは問い続ける自分に問いか ....
全ての喪失は流れいき
乾き切った胸底に
氷食地形の
研磨された岩石の如く
哀しみの蒼い窪みだけ
鋭く冷たく穿たれる

(愛は
私の中にある
思いを伝達しようとする
すべての努力を
 ....
3日に初詣に行った
熊本城の側の加藤神社

空が百本の百群の矢を放ったような
そして 優しい太陽の光をくぐってつつ抜ける
止まらない刹那が続いていくような
懐かしい空だった
 ....
久しぶりに近くの森林公園へ家族みんなで出かけた
元競馬場であった公園は楕円形で木々に囲まれ
その中は芝生が一面に覆っている

車椅子を出し細い女性を乗せ
二才の息子を負ぶって歩き始めた ....
かかかか
ころん

すてきな音の色 セイジの着物
蝶のように風のように 羽織って

走ってくる

かかかか
ころん

忘れないよ メモリーイブ
 ....
白鳥の舞い踊る岸雪は降り

神走る跡を追い追い御神渡り(おみわたり)

若菜落ち暗渠に響く人の声
  

ファイヤーバードが心のどっかにとまって
翼を丸めてうずくまってしまう
僕たちはそれぞれの命を生きているのか

解き放てファイヤーバード
心の中のファイヤーバード

やがて僕ら ....
一月一日、お正月。軒さきを小さな人がとほつた。

岬の根元にある町の上に、夏の海のやうな空がひろがつてゐる。

中学校の音楽室で、若い先生がバッハのオルガン曲をひいてゐる。
春には結婚す ....
けれども雲はいつも太陽を仰いでいる
暗雲だから項垂れて地を見下ろしているとは思うな
幸福を見つけた者が全てを置き去りにするように
地のことなど顧みはしない
どれだけ雨が降ろうが雪が積もろうが
 ....
ペペロさんのおすすめリスト(231)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
欲動(改訂)- ひだかた ...自由詩519-1-20
●お料理教師の失恋●- 足立らど ...自由詩119-1-20
誰に弓を習ったの?- mizunomadoka自由詩1519-1-20
私が詩を嫌いな理由- 足立らど ...自由詩119-1-19
推移3- ひだかた ...自由詩519-1-19
帰っていく- ひだかた ...自由詩5*19-1-18
チバダマシイ・・・。- よーかん自由詩1*19-1-18
小さな散歩- そらの珊 ...自由詩2019-1-18
独り在る- ひだかた ...俳句5*19-1-17
推移2- ひだかた ...自由詩619-1-16
なんなんだろうな- ゆるこ自由詩419-1-16
憧憬- Lucy自由詩13*19-1-15
異界の地に- ひだかた ...自由詩919-1-15
シティ- るるりら自由詩4*19-1-15
ひとつひとつ- 帆場蔵人自由詩4*19-1-13
●_そこらへんのもので適当にこしらえてみて、短文書人とは何か ...- 足立らど ...自由詩119-1-12
ミルクの祭典- atsuchan69自由詩2*19-1-12
海風- ゴデル自由詩4*19-1-9
遠い- ひだかた ...自由詩1219-1-9
屑しながら- 朝焼彩茜 ...自由詩719-1-9
新月- るるりら自由詩6*19-1-9
うた2019- 梅昆布茶自由詩1219-1-8
燃やす- ひだかた ...自由詩5*19-1-6
十四年ぶりの熊本城- 朝焼彩茜 ...自由詩419-1-6
森林公園- 羽根自由詩15*19-1-6
かかかか_ころん- 朝焼彩茜 ...自由詩4*19-1-3
神走る- ひだかた ...俳句319-1-2
Fuoco_Intrappolato/閉じ込められた火との約 ...- AB(な ...自由詩319-1-2
一月一日のバッハ(再掲)- 石村自由詩18*19-1-2
幸も不幸も- ただのみ ...自由詩12*19-1-2

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8