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住む場所の変わりて水は甘くなりわれ懐かしむ塩素の匂い
きょうからは花野綴じられ立冬の訪れしこと足から沁みる
旅立った秋を追うことゆるされずこの世の生の切なさ想う
みあげれ ....
{ルビ夕星=ゆうずつ}の夕より深い夕が来て十一月の宙の産声
箱舟の群れが港を離れゆく未明という名の{ルビ時間=とき}の幕間
金と銀そしてこちらは銅の夢おさない日日のトラウマが問う
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想うのは初冬のこども暗くとも帰れずにいる駅のベンチに
秋服のままで真冬を越えた子がうつむき見てる花そして花
星が無いわけではなくて街赤く黄色く白く今日は見えない
{ルビ初 ....
潮風に抱擁されてポチはいま天に召されてゆきました
小母さんの嘆きがたとえ届いても返せぬポチの無念の眠り
ほんとうに一瞬のことでありました轢かれ引き摺られて五メートル
小母 ....
もう恋はしないと決めた哀しさを一人のものとして綴じる寂しさ
{ルビ夕星=ゆうずつ}を見ない日続く梅雨のなか届かぬ{ルビ手紙=ふみ}とそのあてのなさ
ジャズピアノ似合う私でないけれど ....
亡くなったひとを悪くは云うなというお子さまランチ食べ飽きている
父さんは私のこして行ったじゃない一人で先に行ったじゃない
生者との人付き合いができなくて切符ください百年後への
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空が知るアスファルトも知る自らもだけど足りないそれはパンです
遠い日もいまも変わらぬリボン無きみすぼらしさよこの人生の
いつだって観ている隣の人生の味は甘いかどんな甘さか
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