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氷の針が心臓に突き刺さって苦しいと思うとき 海から全ての海水が巻き上げられてぼくの口へ吸入器のように入れられるとき きっときみはひとつの歌を口ずさむ ひとつの祈りを口ずさむ、ひとつの海の駅名を口ずさむ .... 
   
 生きたまま花の化石になりたい
 という少女がいて
 街は、霞のようにかすかに
 かそけく 輝いているのだった
 ちちははの眠るやわらかな記憶の棺たち
 少女は母似の瞼をとじた .... 
 
昔、{ルビ通=かよ}っていた中学校の屋上に
天体観測の丸いドームがあった
 
天体望遠鏡を覗き込むと
こころの暗がりがみえた
 
こころはどの星だろうと
それから何十年も探 .... 
 溢れる海の{ルビ思想=おもい}を
 透いた生命の鼓動にのせて
 ぼくはきみに語りたい
 {ルビ灼=あつ}い 熱い視線の息吹に恋い焦がれ
 ひとり 沈んでいった人たちのことを
 ふるえる .... 
 
                                                                            
大切な人が死んだとき
勿論、ぼくは生 .... 
心臓に張巡らされた無数の血管のように
言いたいことがあるのに
それが言葉にならないって
きのう電話できみに話したね
 
勿論、お互いの苦悩や孤独のこととか
きみへの愛や関係性とかい .... 
そうして八月がやって来た
濡れた髪は山脈のゆるい傾斜をなぞるように戦ぎ
大地の荒々しい脈動を伝える両脚は
透徹した眼をもって立つことを求められていた
ぬるい渓流を走るわたしの血管
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