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戴いた去年の賀状を
眺めながら
一枚 書くたび
次々に
押し寄せてくる
記憶の波に
浸るのではなく
溺れるでもなく
むしろ
耐えている
再生多発する 複数の痛みに

懐かしさな ....
それは奇跡だった
人として生まれ
幸せになるために生き続け
やがて光年の彼方に溶けて往き
また別世界に蘇生する
沢山の魂との出会いによって生かされ
命は荘厳される
虹を靴べらにして太陽を履く
雲に覆われた雨上がりの空から
長い長い小鳥の声が聞こえる
空を黄土色に染めたと思ったら
一度だけ雷鳴を響かせて
通り過ぎた冬の雨

なんて足の速い雷神様だと感心しながら
窓を開けてベランダに出てみる

後姿を見ようと身を乗り出したら
忘れ衣の ....
あれは、さみしいひと
佇んでた 遠目からじゃ見えない
薄青い菖蒲が頼りなさげに風で揺れてる
通り過ぎて交じり合わないひとたち
全ては、約束事で絡み合って
ゆれていく
可愛い大地がさような ....
暮らしにB29は要らなかった
致死量を間違えて
坂で死んで居る
そんな男が居る山路に
大きな港を作ることは不可能だった
B29は都市しか爆撃しない
ジョージルーカスとか
ヘンリールーカス ....
気球に乗ってきたデジタル・ドラッグを早めの朝食にして、
あなたは、小魚は、食べないの、
とウサギが言う、とても、とても、低い声で、
私は、低血圧、腕の細かい毛を、ぷちぷち抜く度に、
心の軸がぶ ....
私は風を追いかける

都会や山村
海浜や渓谷

そこに吹く風を浴び
誰かに届けようと思う

あなたにもあるでしょう

なつかしいことや
うつくしいことが

私にもあるのです
 ....
はだけたカーテンと窓硝子の向こう
隣家の庭木の枝先が刺さった風の震えの向こう
霞んでいる白い家の目印のような煙突の向こう
冬の樹々が黒々と海へ続く 黙々と――
その向こう
薄く濃く重なり合う ....
夢の中では生きられない時が来ると
理解していた

現実につぶされそうになりながら
私は両手で囲って
頭の中の草原を守った

罵倒と泥の嵐の上に
私の女神が立っている

現実と戦う私 ....
涙が流れない

枯れてしまったのか
風が吹いても
零れ落ちない
滴ることのない雫

渇いた気持ち
渇いた心
色を付けたいほどの焦り

焦ってなどいない振りをする
そんな悦び
 ....
 ピアノの音色が白く輝いている。
 僕はその中を歩いている。
 この先に何が待っているのか。
 初冬の風が厳しく吹いている。

 孤独とは。
 僕はピアノの音色に包まれている。
 ほ ....
多分十七歳
イマノキモチ

弾けちゃって
初心者気分で
恐いものなくて
やりたいことやって
言いたいこと言って

晩御飯食べれなくなるくらい買い食いしてみる
明日歩けなくなるくらい ....
まとまらない
まとめたくない

心 自由に泳がせて

瞼の裏の水辺に浮かぶ
貝殻は過去のぬけがら


まとめる気がない
今日という一日を
どんな糸もすり抜けていく ....
夜で 少女で なんにもなかったとき
さびしくて 本のなかでよく眠った
本のなかも さびしかったが
外よりはすこし せまくて良かった

おきるといつも跡がついていた
夜に折り目をつけ ....
情熱の赤い薔薇より

悲し気なくちなしの花の方が

さまになるわ

燃える太陽よりも

白い月の方が

さまになるわ

喜びよりも

悲しみが

希望よりも

絶望 ....
ジムで軽く汗を流した後でも
僕は特別な人にはならない

僕の専門はロックだが
知性に裏打ちされた感性で生きてゆきたいと
思っている

ジョーきみに言いたいんだ
書を捨てて街に出よう
 ....
木の葉がこぼれる
秋を夢見て
熱にうなされる

羽が舞うような
六月の風は
萌える緑が鼻につく

戯けたこと並べてみては
現実からの逃避を繰り返し
砂の城で余暇を持て余し

後 ....
コンビニのドアが開き
ひらひら舞い出たモンシロチョウ
誰も見てはいない

光は雨みたいに激しく額を打ち鳴らし
影はつま先から滾々と湧き出している

こんな日だ
わけもなく後ろから刺され ....
ちっちゃなちっちゃな苛立ちが
筍みたいに
地表に
尖った芽を出したかと思うと
みるみる
大きく育ちはじめて
考えないようにしようと思っても
忘れようとしてもてがつけられない勢いで
肥大 ....
夏の夜        星をかぞえる君の姿を
そばで見ていた

かぞえきることなど  できないと
わかっているのに   かぞえていた 

時どき流れ星が    地平線のかなたへ
おちていく ....
優しさに包まれると

他人にも 自分にも優しくなれる

他人を裁かず 自分も裁かない

そんな優しい連れがいるから

私は救われている 癒されている

優しさ 甘さに どっぷり浸か ....
わたしの愛しいお月さま
 借り物の光で身を装いながら
 あなたは女王のように天を渡って往く

わたしの愛しいお月さま
 ちょっと見わからないが肌は荒れ
 あっちもこっちも傷だらけ

わ ....
もう誰にも会いたくない

こんな顔見せたくない

独りこの傷が癒えるまで

この部屋で眠りたい

俺が悪いのか

繊細な心は両刃の剣

鈍感にはなれない

全てに反応するセ ....
波打ち際のおまえの姿を
なんと形容すれば良いだろう

哀れな末路
閉じた夢
干からびた声
孤独の極み

寄せる波に素足を任せると
わが身の所在なさが
あらわれてゆく

 ....
いきなり冷水を浴びせられ
置かれた境遇に気づく
昨日まで笑いあっていた人々が
一歩退く
仕方無い
自分はそちら側でなくて良かったと
誰もが胸を撫で下ろしている

私に向けられる
さり ....
青い空が覆う 

透明な海が歌う

熱帯の魚達が舞い 

足元さらわれて眩暈を感じる

焼け着く太陽が肌を焦がし

熱帯の山林が力を供給する

ハイビスカスが潮風に恋すれば
 ....
朝焼けに染まりながら、
熱いシャワーのあとで。
あなたと、
ミルクの海で絡まりあう感触。
少しつめたいシーツに、
バラが咲いていく。

どうか、
激しく優しく、
強く深く、
私のな ....
喉を失くした
もう言葉で潤えない
どんな綺麗で優しい言葉でも
空腹を満たすことは出来なくなった

おいでよ
もう誰も信じなくていい
どこからともなく聴こえてくる
もうひとりのわ ....
 昨日僕は坂道のてっぺんから街を見下ろしていた。
 今日はどうだ。
 坂道を転げ落ちて深い谷底から宙を見上げている。
 たかが一日で人の人生なんてどうにでもなるようだ。

 昨日僕の窓は ....
ミナト 螢さんの自由詩おすすめリスト(175)
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