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関節のボルトが抜け落ちて
肢体がバラバラになってゆく
痙攣する肢体を何とかかき集め
もがき もがき 集めても
私は私の設計者ではなく
首に大腿骨を繋いでみようとしたり
肘に膝を接続しようと ....
此処には見えない風が吹いている
どうしてなのかぼくには解らない
失った物も失われた物も解らない
石が転がり
葉は失われた
ぼくにはそれしか解らない
落ち葉がトランプのように散らばり ....
それは奇跡だった
人として生まれ
幸せになるために生き続け
やがて光年の彼方に溶けて往き
また別世界に蘇生する
沢山の魂との出会いによって生かされ
命は荘厳される
旅立ちの帆が昇り
出発の銅鑼が鳴る
水杯きを傾けた朝
友と
一言を交わし
指を握り合った
私の行く先は誰も知らず
遠く
遠く
銅鑼の音だけが響いた
千里の彼方まで往くの ....
薄い膜に守られ
厚い筋肉に守られた血液が
身体の中心に存在している
肋骨に覆われ
100年の鼓動を約束する存在の原点なのだ
西洋のハートは心臓型をもろに示しているが
この国ではおにぎり ....
レントゲンに映る骨格の美しさ
CTスキャンの的確さ
MRIに描かれたデッサン
内視鏡のリアルな映画
どれもこれも
何とも言えず美しいのだ
ぼくが外見的に美しいとは言えないけれど
素粒 ....
なんだろう
これは
真ん丸なハゲが出来てしまったのだ
逃げる場所が無いからなのか
皮膚ガンなのか
日光のせいなのか
過労のせいなのか
あるいは夢の中でのことなのか
ぼくには ....
ぽろり
ぽろぽろ
涙が流れます
お母さん
ぼくは動脈と静脈を断ち切ってしまったはずなのに
涙がぽろりと流れてしまうのです
100%など誰に出来るのでしょうか
それを押し付ける人がい ....
思いが通らず
彷徨う旅の途中
これから入る螺旋のトンネルを前に
灰色な冷たい吐息をつく
やがて出口はあるのだろうけれど
眼を凝らしても先は見えない
異形の者に出逢ったら
どうしよう
....
てのひらの紅い花
恋とともに散りました
頬をかすめた桜花
友とともに散りました
胸に抱いた白い花
母が亡くなり散りました
空を仰いで流れる
涙を
そっと指でなぞり
想 ....
まつ毛の長い君の
潤んだ瞳の先に小指をあてて
銀盤の満月に照らされたのは
何時の事だっただろう
しなやかなブロンドの髪に指を絡ませ
水晶のような
口づけを交わした
あの夜
夢の欠片 ....
私は死に向かって
一直線に走っている
後悔などは何処にもない
せめて安楽な死を願うのだが
死という狭い門をくぐるのは至難の技かも知れない
痛みに弱いぼくは
レモンに告た
モルヒネ漬け ....
灰色の吐息がテーブルに満ちて
苦い珈琲が過去の想い出をたちのぼらせる
壊れた砂時計は絶えることなく
細かな砂を落とし
窓辺に佇んでいた
なかなか来ないオムライスを待ちながら
煙草を吸い ....
人は
ひとひらの
花のように舞い
着地するまでの
風を感じ
陽の光を浴びて
寂滅の歓びの中に埋もれてゆく
歓びも悲しみも
大したことではなく
ひとつひとつの現象がただ通り ....
静かな部屋で
茶をたて
一輪の椿を散らし
伽羅を聴く
刹那の想いと三千世界を閉じ込めるように
月を観なくなってどれくらいになるだろう
その光に照らされた満開の桜
あれからとうに十年は過ぎた
慈愛と悲哀を噛みしめて
水面を昇華させた日々
もうあの日は還らない
永遠の絆 ....
武蔵野のクヌギ林にわけ入り
落ち葉の絨毯を踏みしめる
聴こえるのは小鳥のさえずり
静かな一日が過ぎてゆく
木の幹に耳を当てても
冬に水の音は聞こえない
ぼくは帰る路を忘れて
時計の森 ....