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「こたつは麻薬や」

あなたは そう呟いて
こたつから抜け出した
まるで逃げだすように

不覚にも長い昼寝に陥り
試験勉強を邪魔された──
あなたの言い様
こたつに悪気はないのに ....
冬は 
つま先からやってくる

朝の換気のあと
畳を踏みしめると

つま先に
じわっと
寒さが滲む

つっかけを履いて
ゴミ出しに出れば

つま先に
冬を感じる

お布 ....
昨年の冬 
ついにグランドフィナーレを迎えた

一年半訪れず
そして再びの来訪に驚き
慌てふためき病院にまで行く

「そういうこともありますよ」

お医者様の言葉に安堵した
確 ....
今夜も その笑顔に癒されている
カウンターで
コースターを弄りながら話す

目の前のグラスは
緑の照明にぼやけて滲んでいる

近すぎる席に感じるのは
貴方が大柄だからでしょうか
 ....
夢は記憶の足跡とも聞く

舟に揺られ、震えて叫んでいた

夕暮れよ 
あなたは気まぐれで
私を弄んだまま、夜ヘ送った

夜よ 
あなたは私をその底に沈め
耳を塞ぎ、目を覆わせた ....
今日は結婚記念日

親友の誕生日と一日違い
いつも、どっちか分からなくなる

親友の誕生日を思い出してから
結婚記念日を思い出す

おそらく 夫の方は完全に忘れている

試しに ....
「もう、寝てしまうん?」

酔った頭の横で 
やさしく囁く声がする

──その声が好きなんだな

突っ伏したまま
好い心地で聞いている

時折ぐるぐる回るので
それを止める為 ....
食べても食べても減りません
いつかは無くなるのは
わかっていますけれど


みかんの季節です
待ち焦がれた季節がやってきました

大きなバケツに山盛り
有田みかん 四百円 
「 ....
仕事をしくじった

あれだけ丁寧にやっていたのに
しくじった
心苦しさが胸を重くする

このオモリを抱えるのは
なかなか無いことなので
自分を観察することにした



当日  ....
窓の外には
まだ黄緑のイチョウ
西日に照らされて キラキラ光る

その光を受け
陰影をまとい輝く
窓辺に並べられた白い陶器たち

ほとんど目が見えなくても
こんな繊細な作品を生み ....
久しぶりの神戸
妹と二人で往く

生田神社は朝から多くの参拝者
ほっそり引き締まった狛犬を眺め
お詣りしてから坂を上る

異人館通りを右に曲がって
ハンター坂を横切り
賑わう北野 ....
生まれて初めて見た
こんなにも沢山のチマチョゴリ

京都で暮らしていた頃
頼まれ仕事で
結婚式場へお弁当を届けにゆく

式場は由緒ある場所
黄緑の木々が繁る、厳かな静けさの中
黒光り ....
新聞という情報ツールに
改めて、心底感心させられる

新聞配達をしていた十代の頃
それは重くて辛い紙束
それはただの新聞紙

日曜日の午後、夫の髪を染める
風呂場へ行く夫を見送り
足 ....
白くて水をたっぷり含んだような手

節の見えない長めの指

綺麗な淡色のマニキュア

カウンターに置かれたそれは
何か美しい生き物のように魅惑的で

コツコツ ....
最近 目方が増えた気がする

八月の検診以来
体重計には乗っていない

でも 増えているのは確か
このデニムを履くとわかる

おそらく 新米のせい
二杯食べてしまう 新米のせい
 ....
最初から知ってた

きっと私のどこかが感づいてた

あなたが私のことを好きでないこと

好きになろうとしてくれたのかもしれないけれど

あなたは一人で夢を見てた

私の笑顔が素 ....
薔薇色の日々を与えてくれて
貴方には心からの感謝を

どうしようにも
憧れすぎて
私は貴方になりたかった

貴方が知りたくて
ボードレールを読んだ
それがきっかけで詩を書き始めた
 ....
まるで夏のよう

この休日は気温も湿度も高い

今日の装いは真夏に着ていたワンピース

エプロン付けて台所に向かう

今夜は唐揚げ

衣をつけた鶏肉を油に入れていく

シュ ....
今年に入って
私は私を疑うようになった
特に仕事においては常に疑っている

会計では、患者様二人ごとに金庫の中を総計算
取引先に出す伝票は、四度、五度、確かめる
それでも、まだ足りない気が ....
今朝 
植物たちに水遣り中 
衝撃が走る

私のサボテンが
土の上に倒れていた

唖然としていたら

「サボテンがコテン」

チラと見た夫が言う

西宮から一緒に越してき ....
夜のベランダ
洗濯物を干していたら
一匹のコオロギが鳴き出した

リリリ リリリ
耳澄まし聞き惚れる

まるで私を誘うよう
少し移動するたびに鳴く

─暗闇で見間違えね
─私は若 ....
遠くで

洗濯機が動く音を聞きながら

二度寝を楽しむ

夜明け前

目のよくない夫は

迎えにきてくれた友達と釣りへ

ほんのすこし 

ホッとする

この気持ち ....
秋風が記憶を連れてくる

夢の中の貴方を手離し難く
朝の寝床から起きあがれなくなる

福島駅で別れてから
毎秋そう

別れを告げたのは私だけれど
きっと神様が私を
貴方から遠ざけた ....
小学生の頃、土曜日、たまたまついていたテレビから、心を鷲掴みにされる歌が流れてきた。

それはエンディング曲で、その時は何の番組かは分からなかった。
放送局はNHKだった。

翌週の同じ時間 ....
ああ いい気持ち

日の高いうちから
スーパーで買った鰹を炙り
新潟の純米吟醸を冷で飲む

今日はよくやった
早朝から頑張った

夫の用事で
行ったことのない羽曳野市へ

 ....
道路工事で

職場前の道は渋滞

ブラインド越し見える作業員の人たち

若い人が一人もいない

砂塵と高湿度の靄の中

上下するヘルメット

ドア一枚隔てたこちら側は

 ....
妹の娘は
私に似ている

彼女が産んだ赤ん坊
男前ではないけれど
愛嬌のある顔
知り合いの可愛いおっちゃんに
似ている

彼は私を一生懸命見つめてくる
私が何者か分析している

 ....
なんだろうなぁ
この感情は

分析すると

遠慮
気後れ
申し訳ない
いたたまれない
もっと役に立ちたい
もっと会いたい

帰り道はいつも

なぜか

幸せな気持ち ....
妹とふたり
霧雨のシンフォニーホール

舞台の上はふたり
セピア色の照明に浮かび上がる

息を吸うたび
音が全身に満たされる

長く透き通る高音の波が
眉間を通過し
思わず目 ....
新米を炊いた
土鍋で炊いた

二人暮らしなので
小さな二合炊き

二十分蒸らして
蓋を開ければ
しあわせの香り溢るる

神棚に供えて
日々の糧に感謝

「こんな美味しい米 ....
ひだかたけしさんの花野誉さんおすすめリスト(63)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬の麻薬- 花野誉自由詩6*25-11-22
つま先の冬- 花野誉自由詩12*25-11-20
グランドフィナーレのあと- 花野誉自由詩7*25-11-19
ひととき- 花野誉自由詩5*25-11-17
夢の足跡- 花野誉自由詩17*25-11-15
気づかない記念日- 花野誉自由詩12*25-11-13
絆される夜- 花野誉自由詩9*25-11-10
みかん地獄- 花野誉自由詩15*25-11-9
しくじり日記- 花野誉自由詩16*25-11-5
西日の水晶- 花野誉自由詩925-11-4
北野坂の白昼夢- 花野誉自由詩6*25-11-3
チマチョゴリの咲く庭- 花野誉自由詩11*25-10-28
足元の新聞- 花野誉自由詩12*25-10-27
あわいの手- 花野誉自由詩12*25-10-24
心太- 花野誉自由詩8*25-10-23
最初から知ってた- 花野誉自由詩10*25-10-20
永遠の美しい男(ひと)- 花野誉自由詩11*25-10-19
夏の出戻り- 花野誉自由詩12*25-10-13
日々、私を疑う- 花野誉自由詩20*25-10-11
サボテンがコテン- 花野誉自由詩17*25-10-5
コオロギの誘い- 花野誉自由詩10*25-10-2
安心を預けて- 花野誉自由詩16*25-9-28
秋影- 花野誉自由詩14*25-9-22
再び出逢う人形劇三国志─土曜の午後の記憶- 花野誉散文(批評 ...7*25-9-21
汗と酒- 花野誉自由詩12*25-9-18
砂塵のむこう- 花野誉自由詩12*25-9-15
気が合いそうな予感- 花野誉自由詩15*25-9-13
子心- 花野誉自由詩16*25-9-11
響き- 花野誉自由詩14*25-9-6
光るごはん- 花野誉自由詩17*25-9-1

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