ましろい花瓶に
水を汲む
生けるものに迷って
水を打ちあけた
羽衣のようなカーテンが
風にゆられている
こがねの光さす庭で
背の低い花がわらっていた
天使の影をみたくて
窓べりに腰かけて朝をまつ
鳥の囀りと 衣擦れが
うるさくて天使は来られない
震えるからだをかためても
鳥は鳴く
こらえきれず風も漏れはじめた
....
ふらりと月が立ち昇る
しっとり濡れたベンチに
横たわり
息をひそめる
今 遠くで
かたちを成しはじめた月
もっと高くへ昇れよ
つめたい窪みに
春の海を注ぐように
骨の隙間 ....
果物屋は空調がきいている
バナナの薫り
痛んだ苺のにおい
小さな路面電車
通りすぎる車窓のひとつに
あなたの暗い顔
今、どう暮らしているの
スーツを着ていたわ
仕事かしら
....
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