誰かを愛するために牛乳を買った
あなたを愛するために卵を買った
砂糖が一匙分も無かった
もう買い足す元気が無かった

ソファに寝そべって映画を観ていた
開始10分で涙が出てきた
牛乳をマ ....
本名も知らない男に胸を揉まれてる間
スタバの新作フラペチーノのことを考えていた

チョコレート味の氷に
粉々のクッキーがまぶしてあって
ホイップクリームがたっぷり絞ってある
とても美味しそ ....
注がれて、熱くなって、割れちゃった
苦い液体をよくわからないまま漏らしている

シャリシャリ割れながら天井を見回したわたし
あなたはふわりと電気を消した
ください、と言えなくて
くれませんか、と聞いてしまった

人々の影は長く伸びているが
わたしに重なるものはひとつもない
今晩はメンチカツとかぼちゃの煮物

腎臓の弱いあなたのために
塩分に気をつかって調理した
いつかのメンチカツとかぼちゃの煮物

思いっきり味の濃い
今晩のメンチカツとかぼちゃの煮物

 ....
綺麗にしてたつもりなのに
悲しみの中に蜘蛛が湧いた

わたしは掃除機をかけた
ただ、黙って、掃除機をかけた
利用者がうんちを漏らした
トイレに誘導して、ズボンをおろすと
お尻にもデイパンツにもみっちりうんちが付着している

デイパンツを千切って丸めてゴミ袋へ
ズボンを脱がせて新しい着替えを履かせる ....
とうもろこしをもぎると、
骨が折れるような音がして
透明な血がじゅわっと溢れて手首を伝った

舐めとるのに夢中になっていると
入道雲が発達してきた

わたしにはまだ涙が残されている
流 ....
置き去りにされた筆は
黴びて、いいにおいを放ち

窓の隙間から吹き込んでくる青空は
甘く舌に転がりこんでくる
永遠を誓うように

誓われた永遠はキャンパスの上で
苦しみにのたうち回り
 ....
あ、

歌が聴こえる

ほら、よく聴いてごらん

なんだかとても寂しげな歌だねえ

あなたには歌ってほしくないなあ

もしもあなたがこの歌を歌うときは

僕は何をしているんだろ ....
照明の脆い洋食屋

「鮪のスペアリブと海老のステーキを……あとジントニックを」
「かしこまりました」

それで、わたしは待ちました

待っている間、色々なことを考えました
仕事を辞めて ....
【虹色の白鳥】

遠い海に、虹色の白鳥がいるという
羽はとろけるようにやわらかく
飛ぶようにはつくられていない

青い夜を泳ぎつづけて
ああ、まるでひとりぽっち
そういう思いに羽が沈み ....
からっぽです

それはそうと
からっぽなのです

いいえ、からっぽなのです

からっぽなんだってば

それ以上言うこともないでしよ
からっぽなんだから

寂しいよう
じきに夏ですね

わたしの表現は
誰にも奪えませんが

暑さにかまけて
じきに夏ですねなんて言ってみる

新陳代謝で生まれ変わるわたし
青空のもとで血肉を燃やす
風の隣で鼻を利かせ ....
縮れた葉っぱに青虫が転げて
砂利の中に風格ある化石もどき

静かな空におじいさんのくしゃみ
ドクダミの鼻にキッス

川の流れのようなワンピースを着て
牛糞香る路地をのんびり散歩

無 ....
母は美しい
だから母の死体はきっと美しい

閉ざされた瞼にわたしは
小さなダイアモンドを飾りたい
「石なのに、この世で一番綺麗」
耳にツンとくる冷たい声が蘇る……

母の死因はきっと病 ....
魂の相性が気持ちいいの
やわらかな摩擦がいい……

言葉と心を
大切に汚し、ゴミにするの

海の中の、どこかには
息ができる場所があるって
夢に見るほど、憧れてたのに
あなたにすべて ....
ええ 夢です
わたしなど夢です

あなたの目にも耳にも鼻にも残らない
夢です



いちばん隅の机の上で
ちぎり絵をふたりでしました
桃のようなほっぺを寄せあっていました

ぼ ....
【公園】
躁鬱な白熱灯が
葉桜のささやきになだめられて
たわわに実った涙を
鳥が、祈るように啄んで
焦げ落ちた空へと死んでいった


【狭い路地】
ヨモギ色のトタンの一軒家
も ....
水ぶくれに縫い針を刺した
ねずみ色の朝 そうだ、サラダでも食べよう

人参を千切りにする
かなり細く綺麗にできた
玉ねぎの生食は胸焼けするから
レンジでチンして、水にさらして
レタスをち ....
パジャマに血が滲んでいる朝は
なぜか少し早く目覚める
眉をしかめシーツを確認する
空は綺麗だ



わたしを好きと言う
その唇が
おどけにも見えるし真面目にも見える
アイスコーヒ ....
詩は勝てない

自分の意見を言葉にできる人に
詩は決して勝てない

気づいたことをちゃんと調理せず(素材そのものの味とか言って)
なんとなく寂しいだとか嬉しいだとか
そういう気持ちのソー ....
死にゆく蛍がかじった、かもがやの隙間の細い風
すっかり軽くなった腹を抱え
夜霧の中をしっとり歩いている
大きな風に
人の声が洗われて、草木の本当の
美しさを見る日を待ちわびていた

 ....
うつろな白い金魚が
一瞬こちらを見た

わたしはもうずっと、この命を誰かにもっていってほしかったから
誘われるまま飛び込んだ

ザボン
それから息を吐き切ってブクブク……

9%のチ ....
メガネのフレーム内しか
見えないわたしだから

メガネのフレーム内から
できることを探す日々……

好きな芸人が窃盗で捕まった

みんなから愛されている歌手
わたしは嫌い
自分で詩 ....
霧のつぶが
ここらに留まっている

セイダカアワダチソウが
しっ
と立ち尽くしている


秋は秋でさみしいから
オルガンを弾く
幼き
亡き王女に寄せたこころを
いつまでも

 ....
磨いても磨いても光らない

いったい
いつ輝いていたのか

目にいたいほど
肌をえぐるように
光をうばうほど
輝いていたのかしら

ああ
冷たい茂みのなかで ほほえむように息絶えた

光をともす雨つぶのなかに 今朝はうまれた

冷たい茂みのなかで ほほえむように息絶えた

わたしは傘を差し 家を出る

はじまりがおわりに ....
暗く清い女の子だった

こんなに、水のように柔らかい裸足では
どこへも逃げだせないだろうと思っていた

彼女は星の連なりを蹴飛ばし
夜の幕を裂いて、去った
綺麗な笑顔の残像は流れ星のよう ....
殻を食べた


葵の茎
たおって

ヨーロッパまで
旅する

先生の
鉛筆

去年の手帳に
素敵なものを閉じこんだんだ

六角形が
はじまり

先生

先生の ....
印あかり(94)
タイトル カテゴリ Point 日付
ミルクセーキ自由詩620/5/17 14:59
スタバの新作フラペチーノ自由詩8*19/12/8 14:12
珈琲カップ自由詩9*19/10/10 10:07
臆病者自由詩519/10/5 22:18
メンチカツとかぼちゃの煮物自由詩1019/9/30 23:53
悲しみの中に自由詩12*19/8/24 22:28
障害者支援施設に勤めて自由詩11+*19/8/23 12:13
とうもろこし自由詩819/8/10 10:08
置き去りにされた筆の言葉自由詩1119/7/28 12:49
自由詩9*19/7/21 19:49
今日という日は面白いのか自由詩7*19/6/27 18:28
虹色の白鳥自由詩16*19/6/7 19:58
からっぽ自由詩8*19/6/2 7:14
じきに夏ですね自由詩10*19/5/29 12:41
楽しいね 楽しいや自由詩10*19/5/22 18:02
母の死体は美しい自由詩10*19/5/19 16:31
子宮の中からおはようを言うわ自由詩6*19/5/9 9:22
夢でした自由詩10*19/4/26 15:22
夜の散歩自由詩919/4/21 9:10
_自由詩8*19/4/8 8:11
自由詩919/3/29 0:31
詩は勝てない自由詩7*19/3/23 7:29
虐待自由詩11*19/3/12 9:54
春休み 月曜日 ドン・キホーテ自由詩3*19/3/11 22:54
メガネ自由詩419/3/6 10:37
オルガンの景観自由詩14*18/10/29 19:00
_自由詩418/10/18 23:06
繰りかえし自由詩1318/7/4 20:02
喉もと自由詩718/4/29 18:04
知恵おくれ自由詩518/2/2 16:52

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 
0.09sec.