行き先は決めずに乗ってしまったから運転席の上に表示
されている地名の読み方もわからない、しまったカバン
を停留所に忘れた、気がしただけで手にはしっかりとヒ
モが握られていて、忘れた、気がしたのは ....
たそがれを
使って
フリスビーをしよう
向こう岸までとばせたら
わたしのかち
ってことにして

たそがれを
まるめて
叩いてのばして
ハサミを駆使して切ってたら
なんだか
さみ ....
とおく とおく
はじまりのそらのふちに
宇宙船が
ひとつ

畳張りの
宇宙船の大広間に
ちゃぶ台が
ひとつ

とん、と
置かれた湯のみには
栄養補助用流動食B1-023(覚えて ....
恋人を飼ってる
虫かごで飼ってる

無理やり押し込んでしまったからか
すこし
下を向いて落ち込んでいる
体育座りをして

時々かごから出して
部屋の中を飛ばせていると
何度も
 ....
こういう雨の前後は
空気が圧縮されて
動くたび
身体全体がひっかかる

ほどなく
降りだした雨を確認したのは
袖の色が
変わっていたから

それは
傘の意味を問うように
自 ....
特に娯楽の
多いわけではない
田舎の夜を
バイクが十数台
直線さえ少なかろう

遅れて五分
めんどくさそうに
追いかけるパトカーから流れる
棒読みの警告
「止まりなさい」

サ ....
パワーウインドウをおろして
ぱたぱたと灰をまいている
花咲かじいさんは
浅黒い腕しかみえない

パワーウインドウをあげて
その場を去っていった
あとをにごしたものを
私はじっとみつめて ....
国道

どこかで一本
曲がる場所を間違えたのか
デジャヴを含んだ知らない路地に
迷い込んだ先を抜けて
開けた国道はついさっき
生まれたばかりのようだった

横断歩道はまだか細く
蒸 ....
おはよう

おはようと声をかけて
跳ね返ってきたものを
体で受け止めてたしかめる
世界がそこにあることを

あるいは声をかけられて
体内を通って帰っていく
軌跡に手を振り
さよなら ....
ドラゴンのくせに

 ドラゴンのくせに
 空も飛べないなんて

十年前に言われた台詞が
時々浮かんでは沈んでいく

 ドラゴンのくせに
 火も吹けないなんて

今更思い出したとこ ....
駅を降りた時から
熟れた紙の匂いがしていた
一歩踏み出した時から
文字がバラけて押し寄せてきた
(ここは本の街です)

このあたり一帯が
巨大な書庫になっていて
その事実だけで
 ....
陽の落ちない雪原から
藍色に染まる海へ
耳鳴りがする空で
欠けた月を背にして

駅前のロータリーを
病院の花壇を
時折一軒家も
光の束で埋め尽くし

世界各地の子供たちに
期待と ....
電車が繋がれて繋がれてゆく
ゆく人のチェーン
テトテのあいだにも

何をしたかったんだっけね

と、とまるとぶ、
ぶつかられる場所で叫んだ
ほんとうは叫んでいない
叫んではいないけど ....
あなたは余命四十年と二ヶ月です。

突然そう言われても
私の頭の中は
まだ結構先あるんだな
でいっぱいだった

ぼんやり、
麻酔が効いたままで
よろめきながら帰り道
側溝におちそう ....
窓の外を風が揺らして
役目を終えた葉が落ち
かさ、かさりと
聞こえない音を思うとき
お疲れ様でしたと囁くこと


天敵のヘビに襲われ
生きるために切られた尾が
ぴく、ぴくりと
私は ....
私は声をきいている

決して名乗らない
声をきいている

しずかに寄り添う
声をきいている

海に行く日はきまって
不純物のたまった体を
丸ごと洗ってしまいたい時

呼吸器まで ....
唸りをあげる牛蛙に
鈴虫が息を潜めて
全休符を待っている

扇子を握りしめると
じわり
汗が手にかえってきて

適当に舗装された
あぜ道の輪郭がゆれて
溶け始めている

瞬間、 ....
昨日私はロシアにいた
いたことだけはわかっている

隣のおじさんは虫を戦わせるのが好きだった
時々モザイクがかけられていたが
あれは不快害虫だったのだろう
ゴマダラカミキリが
上目使 ....
なんにもなかった
さいしょからなかった
すべてさいしょから
なんにもなかったんだよって
それだけいえたら
まんぞくだっただろうか

7/21 11:02:01 テンメツ、テンメツ、

 ....
もうこんな時間だ、
そろそろ心中しなきゃ、ね?

あなたが言ったのは数時間前で
今のあなたはわたしの横で横たわっている
わたしだけを残して

目を瞑ると時々、トンネルの入り口に立ったよ ....
頭を振ると からん
と音がしたので
自販機で詩を買った

歩きながらは行儀が悪いし
近くに落ち着けるベンチもないので
その場でぱらぱらと読んで
隣の既読入れに投げ入れた 百円

立ち ....
陶器の便座に腰掛け見ている
このドアを
あけた向こうがお花畑だったら
どんなに素敵かと思う
そして
どんなに寂しいかと思う

誰もいない楽園は
誰もがいる俗世を
羨んでいないだろうか ....
今朝、ガラスの森で
色のない林檎に一目惚れした

強く握ると
割れてしまいそうで

やさしくそっと まわしてもいだ


足元の落ち葉を しゃら しゃり
確かめるように踏みながら
 ....
ミルクティーに羽虫が浮いて
弱々しく回転するあなたを
私は忌々しく思ったし
終わりを迎えたあなたに
ほんの小さな哀れみもうまれた

八割飲まずに諦めて
シンクに流しに行く 夜中

 ....
ディスプレイの黒は
後方の色を遮断した結果

本当の黒になりきれず
矛盾をかかえて装う


皮膜だけの黒


皮膜だけの黒は
全ての色を受け止めながら


解除


 ....
駅のホーム
行列二番目
ひとり歌う
投げるよう
詩唄う午後

   アナウンス

      振り向く人
      見ないフリ
      ささやき声
      線路の向う
 ....
吊革に捕まろうと
子供が両手を精一杯伸ばしても
ぎりぎりで届かない
近くて遠い
輪っかを見つめている

その子は多分何年後かには
何も考えずにそこへ辿り着く

何年待っても、何年願っ ....
私がまだちいさかったころ
薄く引かれたグレーの線が
何故かたまらなく好きだった

ぬりえは色を重ねることを先に終わらせ
最後にふちどりを残すほど
夢中で線を辿っていった


そういえ ....
Re:

空の箱を贈ります


Re:Re:

受け取っていただけるとうれしいです


Re:Re:Re:

面と向かって話すのは恥ずかしいので


Re:Re:Re: ....
交差点の一角が更地になっていて
かつてそこに何があったのか
ひたすら思い出せなかった

いつの間にか始まっていた工事は
何を壊したのか ーがが
がー を持ち去ったのか
ひとつもわからない ....
Seia(153)
タイトル カテゴリ Point 日付
ヘアサロン多すぎ自由詩214/9/29 14:08
たそがれフリスビー自由詩414/8/29 15:43
かべにみみあり自由詩114/7/22 0:28
虫かご自由詩314/7/2 12:05
消されたピアノ自由詩114/5/26 13:35
日めくり自由詩114/4/30 17:41
花咲かば自由詩214/3/25 4:03
国道自由詩314/2/24 1:18
おはよう自由詩014/2/24 1:17
ドラゴンのくせに自由詩114/2/24 1:16
本の街へ自由詩313/12/23 13:07
雪原から自由詩113/12/23 13:06
チェーン自由詩113/11/26 21:33
告知自由詩113/11/2 23:26
落葉日自由詩313/9/25 13:04
増幅自由詩013/8/25 21:24
スターマイン自由詩613/8/25 21:23
昨日私はロシアにいた自由詩113/7/29 18:10
テンメツ自由詩013/7/29 18:09
チャイム自由詩113/7/2 1:31
シャンパンの行方自由詩313/5/27 19:53
ドアトゥドア自由詩113/4/29 19:58
ガラスの森自由詩113/3/24 22:55
開花宣言自由詩213/3/24 22:54
陰陽魚自由詩213/2/26 22:39
アナウンス自由詩513/2/26 22:36
吊革自由詩513/1/27 21:02
けもの道自由詩313/1/27 21:00
空メールのやりとり自由詩613/1/24 3:22
リコリアス自由詩312/12/24 17:49

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