晴れ着すがたの楚々とした女が、子犬を連れて小股で
歩いてくる。
子犬に合わせるから、小股になるのか、晴れ着の裾に
引っ張られるから、小股になってしまうのか。
犬はいつにもなく、飼 ....
勇猛果敢なハヤブサのように
時おり飛来して
瞬時に
才気煥発な詩を置いていく人がいる
乏しい力の僕は
そうはいかないから
凡百のモンシロ蝶のように
....
児童公園に入っていくと、女の子がブランコに腰掛けていて、
「コイで」
と言った。
「ボートとか、自転車じゃないんだから、オシて、って言うんだよ」
そうは言ったが、コグとも言う気がして ....
海から陸地へ踏み込んだ
小さな町の橋のたもとに
蟹が一匹蹲っている
蟹が蹲っている
こんな陰気な場所に
遁れてきた蟹に
哀れを感じて
指をやる ....
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