休日の昼下がり散歩道
いつも見てた筈なのに
見えてなかった景色達

空き地の小さな畑や
柱の影に隠れた古看板

見える物は 見る者の
速度で変わるのだろう

速く動けば彼方の物を
 ....
一日の仕事を終えて
暗い家路をたどる
もう一息という坂道で
電信柱の影から人が
すうっと抜け出てきた
ような気がした

だけどそれは唯の
光の加減だった

一瞬あなただと思った
 ....
自然は説明を嫌う
僕の前には答えばかり
広げて見せてくれる

季節の移り変わりや
突然の雨もそう
しわの増えた自分の
手のひらでさえも

答えばかりの答案から
問いを考えるのが人さ ....
ことばは目に見えない
たとえ文字となって
見えていたとしても
ことばは目に見えない

ことばは私を包む衣服
私はときどきパジャマ姿で
デパートに出かけたり
悪気の無い人を相手に
鎧を ....
わたしが動かなくても
雲は西へと流れてゆく

わたしが動かなくても
みつばちは花を求め
8の字に旋回する

わたしが動かなくても
大地はわたしを乗せて
星の周りを回り続ける

わ ....
ミシシッピーの船着き場よりも

遠くへ


出せなかった手紙の宛先よりも

遠くへ


イチローの安打よりも

遠くへ


国境線の結び目よりも

遠くへ


 ....
言葉は骨のようだ
格好は大変しっかりしているが
肉付きはぼやけている
というよりも、空虚だ

言葉を尽くせば何かを
伝えられると限らない
あたかも鳥の骨をいくら
寄せ集めても、鳥は
 ....
この風は
マンハッタンに林立するビルディングの
谷間をくぐり抜けてきたのか

この風は
インド洋に浮かぶマグロ漁船の
舳先を掠めてきたのか

この風は
セーヌ川の岸辺に集う
恋人た ....
愛はいろいろなものに
形を変える

ある時はチョコレート
ある時はクッキー
ある時は掌のぬくもり
ある時は手紙だったり
ある時 いつかの水曜日
あの日がぜんぶ―――

だった
 ....
太陽が沈みゆく頃
丘の上を列車が走るよ
車窓は連なる光の隊列

キラキラと一筋に流れ
まるで夕暮れジッパー

閉じ合わせてゆくのは
夕照りの橙と大地の黒

きっとあの車掌さんは
 ....
「無人島に持ってゆく本を、一冊だけ」
 誰がいつ考えついたのだか分からない、自意識の穴に生温い風を注ぎ足す如雨露みたいなクエスチョンが世の中にはあるから、寝ぼけまなこの作家はいびきを呑み込んで「字引 ....
窓から外を眺める時
まなこの力加減で
窓の外の光景が
くっきり見えたり

反射して映った自分が
薄ぼんやり見えたり

ガラス面のくぐもりが
気にかかって見えたり

時々だけど そ ....
いやなこと あった
だから いやなこと
書いた 紙に そしたら
いやなこと 書いてたの
見つけた 昔の
いやなこと 思い出した
けれども もう それは
すごくいやなことじゃ なかった
 ....
 グリニッジくるんで
 あなたの目の前ぱっと差し出したら
 子午線まわりで3・2・1
 返事は「オケイ」

 あたしきっと頬バハマサンセット
 わりとクールな気取り入ってたけど
 なんだ ....
 重心を失った雨が、バラバラに散乱している。
 あまりにも長く家を離れていたので、今や自分の家が湖の畔にあったのか、山の裾野にあったのかも、忘れてしまった。なのに俺は、無性にそこへ帰りたくなって、当 ....
 夢の中で女に会う。古ぼけたカフェ。窓には青空と田園。流行りのマキシ丈のスカート。腰から足元にかけて伸びるドレープの薄い影。肩よりも長い髪。チャコールグレーの瞳は、湖の底に沈められた文字盤の無い時計の ....  かたことの闇が砂鉄のように水平線の向こうに吸い取られ、僕は少し自由になって町を歩いて回る。通りにはシボレー、マーチ、プレリュード。すなわち現代の馬たちが、それぞれの厩舎に寝そべっている。機械も動物と .... 落下傘が下りてきそうな空のもと
稲はことごとく 倒れていた

秋口の日本を襲った
台風18号の爪あと
巨人が通り抜けた
足あとにも似ていた

家々や建物は何ひとつ
傷つく事はなく
 ....
雨粒がダンスする
黒い傘の谷間を
小さな黄色い雨合羽が
流れてゆく

五線譜を進む
お玉杓子のように
あちらこちらに
メロディは揺らいでも
目指すのはただひとつ
駅の屋根の下

 ....
バス停の上に
誰かが置き忘れた写真のような
最後の夏空が広がっていた

空の青は澄んだ水色
まるで海の子

雲はこねた白いパン生地のよう
見えない硝子板に等間隔で並べられ
底が平ら  ....
 まだ冷え切った館内に、朝九時を告げるチャイムが
流れた。つづけざま、非常警報ベルが鳴動を開始した。
その音を合図にフロアにいる者たちはみな申し合わせ
たように、作業帽を手に取って立ち上がった。 ....
 白いアパートメントが、町の大通りとはいえない、
中くらいな通りに面して建っている。5階建ての上に
は、無人駅のような空があって、雲はあまりなくって
陽射しが眩しくて、時刻は午後の2時を少し過ぎ ....
三寒四温の季節に、冷たい雨の降る日です。

工場の事務員たちが忙しく出入りする、玄関の脇に、古い傘立てありました。
あちらこちら向いて、差された傘の茎がまばらに伸びて、まるで萎れた花壇のよう。
 ....
図書館前は池になっていて池の中に鯉が住んでいる。

何年も公共施設の一部として生きてきた鯉たちは、
人の気配を感じると、一斉に池のふちに近づいてきて
ぱくぱくと口をあける。
陸の子供は何かあ ....
金物屋のひさしは低く、店の奥行が薄暗き影を曳いている。
看板に金物屋と称してはいるが、店には鍋、ボウルやらと一緒くたに
タオルにモップ、ティッシュ、それにエプロンといった日用品が
一通り並べられ ....
春の夕暮れが町を訪れていた。
 
枝豆色の自転車でクロールして町を流せば
視界に映るものは全て、よく知っているようで
何も知らなかったような
だまし絵のような道のりだった。

裏路地を駅 ....
「あたしはいつか溶けてなくなっちゃうの」とチュパチャップスは言った。
「俺だっていつか齧り尽くされてなくなっちゃうんだぜ」とキットカットも言った。
「そっか、あんたも」チュパチャップスは同情したよ ....
 9月
 
 
 かなしみがいくつかの言葉をかりて
 生活の足元にまでやってきた
 そいつらの化けの皮をはぐことはやめて
 砂のように 乾いてゆくのを
 見つめていたい
 
 ただ今 ....
 始発列車の車窓から見上げる空に
 いくつもの星が瞬いている
 町も野原もまだ眠りについていて
 星明かりはひどく饒舌で ―― あぁでも
 下らない言葉ならあんなに知っていたのに
 俺が繋げ ....
■1


 少女は握る手鏡に
 映した顔を
 正面から
 斜めから
 上目使い
 下目使い
 順ぐりに眺めまわしたあとで
 呟きました

「こんなの あたしの顔じゃない
 ....
佐倉 潮(65)
タイトル カテゴリ Point 日付
立ち止まる自由詩211/2/16 0:24
影と記憶自由詩211/2/13 22:43
答案自由詩311/2/9 0:00
言葉(Ⅱ)自由詩011/2/5 19:29
わたしが動かなくても自由詩311/1/24 0:11
遠くへ自由詩311/1/20 0:26
言葉自由詩411/1/16 1:53
風の記憶自由詩711/1/14 0:31
愛の正体自由詩411/1/6 0:39
夕暮れジッパー自由詩711/1/2 0:00
無人島に、一冊だけ自由詩310/12/21 7:51
窓と自由自由詩210/12/5 15:08
いやの詩自由詩410/12/1 1:24
少女飛行機自由詩5+10/11/27 23:40
HOME自由詩210/11/17 1:37
夢(仮題)自由詩110/11/14 23:27
闇(仮題)自由詩210/11/13 1:06
カメラチック・ワーズ #7 - 稲自由詩110/11/7 23:39
カメラチック・ワーズ # - 即興曲自由詩210/11/5 8:14
カメラチック・ワーズ # - 最後の夏空自由詩210/11/3 22:55
カメラチック・ワーズ #6 - 訓練自由詩210/10/30 0:58
カメラチック・ワーズ #5 - アパートメント自由詩210/10/26 2:32
カメラチック・ワーズ #4 - 花壇自由詩010/10/24 22:40
カメラチック・ワーズ #3 - 図書館前自由詩110/10/24 0:00
カメラチック・ワーズ #2 - ひさしの下自由詩110/10/23 16:28
カメラチック・ワーズ #1 - 休息自由詩110/10/23 13:39
真夏の菓実自由詩110/10/20 21:52
9月、10月自由詩210/10/20 1:57
オリオンの凧自由詩110/10/19 0:53
鏡、三題自由詩310/10/18 0:20

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