打ち水をした
石畳をぬけると
居ずまいを整えた
宿の女将さんが
品よく出迎えてくれて
よくいらして下さいましたと
冷えた麦茶をさしだされ
夏陽に火照る体には
愛情注がれたような一滴まで ....
郷夢をみては
思いだします
あの千本の面差しよ

花灯りのちょうどいいころ
賑わいましたあの時を
思うだけで
還らぬ人がきて
帰りたいと思うのです

三日見ぬ間の桜でも
せめて
 ....
〜ふるさと〜


春の野に
陽はうらうらと
ささやかながら
何もかもが美しく

牛の声に
目覚めた少年が
松林に抱かれながら
走りました
小さな車両は
都会への夢をのせ
の ....
三万年という
長い永い
道の歴史に

至大の古に

累およぼして

端厳な尊容の像より
悲泣の声が
きこえるようで

人界に
何を望み
伝えたいのだろうか

せいぜい生 ....
ふるさとに
おきゃんの香する
おもかげありて



おとさんが

「めんこい花だ」

といいました



きこえた声は

「いちばんを
心をこめて
うたいましたし
 ....
ひと目をひく
早乙女たちに
風が少しの春と
神の訪れを
知らせてくれて
おりました

群落の息の緒は
へその緒になり
ゆかしい おぼこが
踊りにひねもす
季節風

ぽっかぽっ ....
飯舘牛との
名にしを負い
寵愛を一心に
うけ育ち

達者でいてな
たくさんの仔を
こしらえてさと

苦楽を共にした
ふるさとに
見送られ

朝月夜には
麓にひろがる
果 ....
父旅立つ三日前
桜便りにまだ早い頃

桜みたいと
いう父に

大きな枝
届けてくれた人あり
啓翁桜…

病室と想う温度に
蕾ひらかれ

弥生そらから
香りたつのは

花 ....
アダージオ

アンダンテより
遅いのに
ラルゴより
速いという


あらわになった
濡れた首筋

板の上に
身をはべらせて

うつる鏡に
姿をみては

音の波に
 ....
古色まぶしい
郷愁の地に

歴史と風雨を
たえぬいて

今もなお
多くの涙が
あるのでしょう

子どもらは
幾つに
なりましたでしょうか

孤独に歩み
すすめたことも
 ....
ひとりの女が 
ひとりで参道をあるき
ひとりで何を祈ったのだろう
あの雨のなか

紅いろの
垂れ梅は
傘もいらない
跳ねる雫石は
わたしの小指にとまる

素朴な路地の乾きとともに ....
傘をひろげましたら
夕べの余韻が
小指におちる滴に
とうていました

親をなくす
という意味を

青いろの空は
オリーブの葉を揺らし
春の息吹を
祝福しているようで
交代のしら ....
ジーマミ豆腐
海ぶどう
島麺エンサイ
胡麻浸し
青パパイヤと
シークワサー
沖縄の風
炊き込み御飯で
アーサー汁さ
しまぁー会席
近海寄せの
美味養老
万年先でも
辺野古海風 ....
春野里
想いて旅立つ
あなたの命に
菜の花と
桜を散らして

ひとりで
寂しくないように
途中まで
一緒にいきましょう
あなたを想う
たくさんと
途中まで
一緒にいきましょう ....
叫び詩をよみながら
ああ一線がきたのだなと鼓動がはやくなっていくのがわかった

わが息子は遊びにきた友人とおやつをつまみながら何やら楽しそうなのに

沈黙の地では
「しばらくここには来ない ....
彼、あるいは彼女の話題になるとき
身体の一番奥深く大切な場所が
大声で泣きはじめる

彼あるいは彼女に泣き苦しむ子どもらに触れるとき
身体の一番端から順に火の玉棒で殴られつづける
 ....
背中からの腕に風を吹かせて
肘を2?おろしながら胸骨を3?あげる
指先に顎をのせたら
そのまた先に眉を這わせ
首を移動しながら軸はぶれず
グランプリエは人生のよう
納得できる快感 ....
艶かしい指先で情愛を確かめる人がいる
悪戯な指先で逢瀬に流れる人がいる
刃物にした指先で誰かの痛みを喜ぶ人がいる
血流滲む指先で過ちを諭す人がいる
その指先でリストカットをする人がいる
 ....
なんだかすでに
きているらしい
このあたりに

…寝坊したある日
足摺岬方向にある中学校へ
ほらいくぞと
お隣さんの馬を走らせたそうだ
ありがとう、帰れ
そう言われた馬は同じ道 ....
涙はがまんをしませんでした
「子ども達を徴兵させる…」
―――子ども達が軍事訓練をする姿など
考えたくもございません
この子達は何もしらない
ご飯をたくさん食べて
明るく優しい子になってほ ....
花舞う春空のしたで
あの土手にねころんで
言ってだそうな
「とおちゃんが
だるまを買ってくれたから」

卒業だっぺ
青春の一番いい時をさ
絶望と生きぬくつらさで
こんなん長ぐ
よぐ ....
蕾ざわめく薔薇たちが
春の使者になりたいというので
わたしは柳になってみた
見上げた月輪はみだれ
無実はひと波のなかへ
地球がひとのためにあるとでもいうような傲慢など
しなやかな柳なら
 ....
あの空の美しさは
水辺を走る少年なのです
太陽からの贈り物を
ぴちゃっと反射させて小さな粒となり
輝きをふやして
恩返しをしています

あの海の美しさは
汚れなき少女なのです ゆうくり ....
あの子たちは 花をみたことがあるのだろうか 一瞬で心笑むさまざまなあの色を 甘い香りを 大木に咲く小さなものを 水を含む肉厚の葉を… 蜂や風が粉をはこぶということを… 美しい景色を し ら ず に  .... 鳥になりとうございます どこに国境がありましょう 魚になりとうございます おなじ水面をしっています 山になりとうございます 花になりとうございます ひととしての命ですので
黒木アン(55)
タイトル カテゴリ Point 日付
大堀相馬焼(福島県浪江町)〜その瞳をみていたら〜より自由詩3*15/3/14 23:53
夜の森サクラ(福島富岡町)〜その瞳をみていたら〜より自由詩3*15/3/12 8:21
ふるさと〜その瞳をみていたら〜より自由詩215/3/11 9:09
福島のあけぼの〜その瞳をみていたら〜より自由詩1*15/3/10 8:06
大川小学校(石巻市)〜その瞳をみていたら〜より自由詩8*15/3/9 20:03
安波祭(福島県浪江町)〜その瞳をみていたら〜より自由詩2*15/3/8 22:46
飯館牛〜その瞳をみていたら〜より自由詩2*15/3/7 7:15
桜の友へ自由詩4*15/3/6 8:49
アダージオ自由詩4*15/3/6 7:41
連詩〜とよよん様と〜「被災地を知らない私たち」自由詩8*15/3/3 22:56
参道のひと自由詩2*15/3/3 7:43
春雨の涙自由詩315/3/2 13:19
沖縄会席自由詩1*15/2/28 7:27
Thank you自由詩415/2/28 0:11
原発詩と…自由詩315/2/24 23:43
彼でもなく彼女でもなく自由詩215/2/23 23:29
グランプリエ自由詩1*15/2/23 9:12
揺れるゆびさき自由詩3*15/2/22 12:35
命日はまだ先なのに自由詩115/2/21 12:32
徴兵自由詩3*15/2/21 11:35
双葉町ダルマ市〜その瞳をみていたら〜より自由詩2*15/2/18 20:51
柳のようにしなやかに自由詩215/2/14 11:21
辺野古城自由詩3*15/2/13 9:16
花のない場所自由詩315/2/9 15:54
視線自由詩415/2/8 15:11

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