境界の打ち水、
風が死んだ下町の昼下がり
狭い裏路地を通りすぎる
黒い日傘を差した女

夜に咲く花が匂う、
鉢植えの月下美人が
錆びた郵便受けの真下に
只ひとつ置かれていた

よう ....
――罪じゃないわ!

想いのごとく美しく
クローン再生された
たぶん私は、
受肉したあなた自身なの

曖昧な、あなたから
分離したアニマが私なの
私はかつてあなただったけど
今はち ....
数多(あまた)の田は
既に水が張られ
夜ともなれば蛙が鳴き、
やがて狂おしいほどの肌の火照り、

野鯉を釣った後の
烈しい血の騒ぎも抑えがたく
儀式は、六月のうちに
さも義人を装って
 ....
清しく、邪な風に
華奢な下肢をさっと隠した
裾広がりの白地に
ピンクの薔薇の咲くスカート

立襟のブラウスに
光る栗色の髪を
ながく垂らし
ただ、甘く春に散る
花の匂いを漂わせて
 ....
青い髪のターヤと、今もふたり虹の入り江で暮らす

ロック歌手であった過去の名声を捨て、女となった私にとって、砂に覆われたこの素晴らしい死の世界では、レゴリス――月の砂――は敵であり、また味方でもあ ....
 一

真夏の昼下がり。
海へと向かう埠頭をめざして
ただ、闇雲に走るのは
未知のウイルスに侵された
一匹の狂犬。

ザー、ザーと耳の奥で
鳴りつづける不気味な雑音。
熱を帯びた鼻 ....
 メデジン・カルテル(麻薬密輸組織)の殺害されたボスであったパブロ・エスコバルの弟ロベルト・エスコバル(コロンビア人)は、罷免された大統領アルベルト・フジモリと、彼の元情報部顧問ブラディミロ・モンテシ ....  天空がようやく白みはじめた夜の終わりに、緩やかな砂丘を白いターバンを巻いた少年がただひとり美しい装飾の柩を背中にのせたアジア象をつれて歩いている。沢山の花たちで飾られた柩の正体はけして定かではないが .... 血と、ローズダストの色彩が濃く染みた粗い石英の粒子。そしてジルコンを含んだ研かれた花崗岩の階段がつめたい光沢をともなって果てしなくオリンポスの山の頂から薄紫の色に滲んだ淡い雲の間にのびている。エーゲの .... 誰の手にも負えない
お前たち自身の肌寒さが
漏れ吐く息の、
ごくまぢかに訪れて

今日もくたくたの
ダンボールと引換えに
アレやコレやすべてを燃やし、
煙りながら一日が終わる

  ....
愛。それは多分に、
漠然とした表象の言葉で
ありのままの語彙ではない
――と誰かが云い

するとたちまち花は萎れた

漆黒の森に谺する
狼の吼える声におびえ
かよわき詩人らは外界を忌 ....
     一

 細かな枝をつたう微かな震え
 桧皮色の樹皮を湿らせ
 梢を這う、自動律たる水の脈動 )))
 沁みゆく荒地の渇きへ
  一滴、
 地球システムを孕んだ涙のかたち

 ....
 むかし僕は天使だった。
 せなかにつくりものの羽をつけ、そでのすこしよごれた白い服を着ていつも母ちゃんのそばにいた。
 かがみにうつった母ちゃんの顔はまるでペンキを塗ったように白く、やけにまじめ ....
聴こえるかい? プーチン、

 /////(ノイズ)。

私は詩人たちの口をとおして
今も尚、歴史を変えることが出来る・・・・

ウラジーミルは一九二四年一月二十一日に死んだ、
旧い日 ....
昨日、往きすぎた駅――

マイホームは地図に載ってない。 )))

疲れ果てた大勢の人たちが、
十二月の憂鬱なプラットホームで
蜜柑の載った赤外線炬燵と
逃げ場のない積みあげた日々の
 ....
 ――起床、起床! 

スチームを切られた鋼鉄の部屋の恐ろしい朝、
一夜の温みをようやく蓄えたアクリル毛布を剥ぎ取られ
既に凍り始めた虫襖(むしあお)色のジャージを脱ぐと
柔い生肌のかよわさ ....
即興で書いた
デタラメな絵みたいに
世界を、粉々に壊して欲しい
――悪魔と死神。
そして彼らよりも、
さらに残虐非道かつ悪辣な僕・・・・

ふいに質量を奪われて
儚く、空に飛んでゆくビ ....
――夢だ、
霧氷に覆われたトパーズを砕き
経血に染まる白鳥の羽を散らして
辛気くさい柄の絨毯に零した
グラスの割れる夜の激しい物音。

イミテーションパールの首輪を、
女は掻き毟るように ....
慎二、おまえは
ド近眼で彼女もいない。
牛乳瓶の底みたいな
強烈に度のはいったレンズが映す、
ちいさな瞳の瞬くそれは
カビンさとジコチュウ――

世間知らずの見た
遠まわしの空腹みたい ....
白い柔肌にそっと触れるや否や
とつぜん狂った発条みたいな
青白い器官が左右の外耳道から飛びだして
先ずは目玉をふたつ、
声もなくポロンと落とし
詩人である若い女の頭部はみごと分解した

 ....
――外国産と思しき、
ずいぶんと安っぽっちい杉板の木枠に
金槌で小ちゃな無数の鋲を打ち込み、
皺なく「ぴぃーん」と
白い亜麻布を張った
自分で拵えた七百号の白いキャンバスへ
左官が使うみた ....
ゼリー状の七色のトポスが死んだ日。――
愛しいカルメラを焦がした甘い匂いまでが
いつか知らないうちに喪に服しちまったみたいで
それは廃れた漁師町の瓦礫の打ち寄せられた海辺にも似て
今宵も古びた ....
「俺様がどれほど鮮やかな色で
みごと第一連を美しく染めたとしても
賛美の対象はあくまで作者だろが。
ふん、馬鹿らしくてやってられるかい!

こうして群青は捨て台詞をのこし
肩で風をきると、 ....
勢いベンツのSクラスで
裏通りのちっぽけなパーキングへ
恥も外聞もなく突っ込んだ
そこに無人契約機「むしん君」がある

「むしん君」は大切なトモダチだ、
たった今も20万円を引き出した
 ....
真下に拡がる海原は
厳しく削られた岩の入江を包み、
とうに半世紀を過ぎた
今しも汽笛の鳴る港へと
煌めく漣(さざなみ)を寄せて

夏の賑わいが恋人達とともに
古い桟橋を大きく揺らして訪れ ....
滲んだ肌に香水が匂う、
視覚からこぼれた淡い影たちが
発せられない声とともに
音もなく、永遠へとむかう
冷たい未来の交じった
柔らかな過去の感触がまだある

つい今しがたも、
昨日も、 ....
  (青い地球、その――
  アーサー・C・クラーク、
  君の書いた「幼年期の終り」だが
  ヤベー、、の書いちまったな。
  元ネタはCIAか? NSAか? あん?
  ――いや。たぶん ....
そりゃあ、権威を罵るやつが まさか
舞台ウラでは権威にペコペコしてたなんて
あー 嫌だ、嫌だ、たまらねぇ。
 (もう終わりだナ、早く忘れちゃおう

 酒美味し祭鱧佳し夕べかな

 ――ゴ ....
彼の名前は「へー、むぅ・・・・」というレベル。
世間一般的には幾分フェームではあるが、
知る人は希少であるばかりか
ピカソやダリと比べると殆ど知られていないし
彼の作品に感動を覚える人は(全く ....
ハイウエイを 白い光が流れる、眩しさに

つい、さっきまで 激しく踊った サルサの夜の
緋色のドレスの女が 助手席から身を乗り出し
果てしなく 毒舌を放つ、「終」への招き
エレガントな仕草で ....
atsuchan69(384)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜に咲く花 ☆自由詩14+*08/7/18 0:30
インセストタブー自由詩5+*08/7/6 4:21
夏越の祓 ★自由詩11*08/6/22 20:27
マリー自由詩15*08/5/18 1:14
ターヤ ☆自由詩7*08/4/29 20:58
はじまりの四月、成就された八月。 ☆自由詩8*08/4/5 7:44
事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道自由詩10*08/3/20 1:20
虚偽と忘却のエピソード[group]散文(批評 ...8*08/3/10 16:22
線文字Aの女 ★自由詩11*08/2/9 23:08
銀河 ★自由詩8*08/2/8 14:47
愛なき殺戮自由詩5*08/1/31 22:09
炭素循環 ☆自由詩12*08/1/25 19:49
この世界を離れて ★散文(批評 ...7*07/12/27 2:32
シベリアン・スウィートハーツ自由詩5*07/12/20 21:15
二番線ペーソス自由詩7*07/12/4 0:59
海の彼方、 ☆自由詩5*07/11/30 21:04
地獄の詩人自由詩7*07/11/25 19:10
青く煙立つ祭壇自由詩4*07/11/20 19:00
オタクの慎二未詩・独白4+*07/11/12 0:18
黒の墓標 (18禁) ★[group]自由詩5*07/11/1 17:11
Days in the canvas自由詩7*07/10/17 0:39
イタリアン・インテリジェンス自由詩4+*07/10/4 1:14
言葉たちの反乱[group]自由詩10*07/9/18 23:14
大切なトモダチ未詩・独白5+*07/9/5 22:10
名もなき夏の島にて ★自由詩15*07/8/27 22:08
夜の軋み ★自由詩11*07/8/19 14:10
灼熱の盆帰り自由詩5*07/8/9 18:31
スノビズムの夜自由詩4*07/7/29 20:33
イブ・クラインと私未詩・独白5*07/7/12 1:28
狗尾草自由詩6*07/7/10 1:08

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