職場の横に小さな遊歩道があった。
古びた銭湯の横には、湿った薪がおいてある。
コンクリートからは草がはみ出していて、腰掛にもならないパンダが一頭、色の褪せたペンキをうらむように佇んでいた。
....
霧雨の夜に、歩道橋の上で見た淀む街は幻のようだった。
息絶えた夜の、ぬめっとした幼い声が聞こえてくる。
修学旅行の記念写真。 片腕の小さな幼馴染。
3tトラックが走る過ぎる風の振動で ....
山に囲まれた盆地で、水を集めて田を耕す友人は、
帰り際に、果物をくれた。
中学時代、いやもっと幼いころ。小学校に通う頃か。
唯一の国道113号線が、地吹雪で渋滞を起こした。
雪 ....
東京駅から電車に乗った僕は、電車に乗っている間、ずっと寝ていた。
暖房のよく効いた車内。各駅に止まるたびに開かれるドア。冷たい空気。
終点の駅でホームに降りる。まだまだ、北に向かわなければいけ ....
正午、部屋は光に満ちる。
時計の針がセットされた時間に辿り着く。
耳障りな音がする。
木造の匂いが嫌だ
と、公園のベンチで眠るわけではない。
布団で寝たら、起きれないのだ。
明 ....
ビルの谷。
湿気のない風が、舗装された庭に吹く。
紅葉する桜、空に昇る息が鳴る。
タバコを手にしたサラリーマンに混じって、
ゴミ袋を持った老人が歩く。
靴下が汚れている。
靴も汚れ ....
青信号になる。人の波が横断する。
上場企業のアナウンスがされる。数字は行ったり来たり。
工事現場の警備員が赤いスティックを振る。交通安全と家内安全。
ベルトコンベアー式に一日が流されていく。
....
役立たずの時間。
全世界共通の言葉はない。
肌に触れた言葉はない。
聞け!というが、
言葉は記号だ。
描かれたものは景色だ。
小さな本屋の窓を拭く。
片手間に淹れ ....
その場に、
軽やかな羽があって、
水に、
必要な、
生きるために必要な栄養があっても。
僕は動かない。
ましてや、毒蛇の授業参観であっても、
僕は動かない。
地上23階のビルの入り口には、受付嬢が2人いる。大理石の床にはいつも、雨よけシートが敷かれている。エレベーターホールに向かう途中、受付嬢と挨拶を交わす。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
....
その、
扉が開けば、
動き出す、風の群れ。
その、
光が曲がれば、
ゆがみだす、
大量破壊兵器。
音、
手拍子、
飛散された電子。
収縮する偶然。
....
ストライプのジャケットを着た老紳士。
蝶ネクタイを締める。
東京駅、通路。大
「むかしは」と語りだす老婆。
ジーンズ。Tシャツ。似合わない。
羞恥と
情緒が
真夏日、午後5時の夕 ....
流れていく言葉は、物語になる。
消えては生まれ、、淀みを含みながら、
先祖代々の昔話は、公衆電話にも聞こえてくる。
メロディを失った中学生は、
国語の教科書で音楽を学ぶ。
公衆電話か ....
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