あの眠れなかった夜が嘘のように
六畳の王国へ
怪獣も後悔も連れて行っておくれ
残念な日々はやがてぼくの骨になっていく
木漏れ日はおおきなあくびをさそって
点々と地図を成していく
....
妄想から引っ張り出した庭に椅子を並べて
母屋でくすねたたばこを吸う
大事な人が減っていく未来に
振り上げた拳が帰ってこないように煙で包む
アルバムをめくるのは
悲しみに見つけた一本の線を ....
夕方の細い夜に逃げ出した心が帰らない
大したことはおこらない
丸い窓を持ち上げて
少し空気を入れ替えるような当たり前のこと
感慨深く、目を閉じているわけでもない
警戒が服を着たわ ....
エアコンをつけてまどろんでいる
ねむくもないような、とてもまぶたが重たいような
外から、何か求める幼い声がする
めんどうならすべて切ってしまえばいいのに
耳にだけ意識を持ってい ....
あと少し
この真ん中をくり抜いてでもすがりたいと思った接地面
ただ視覚だけの存在になろうとも見ていたかった三角形
物質に寄りすぎて踏みにじった心に
もうろうとした痛みで振り返る
鏡張りの ....
それは夜空に間に合うために広がっていく感情たち
受け止めてきた数々の摩擦を銀紙の画板に敷き詰めるように
あちこちで火花をおこしながら流れていく
想いたいことはたくさんあるくせに
掴めたのは ....
肉付きの薄い足はぺたぺたと
鏡張りの感情を踏みつけている
言ってはいけないことばが多すぎるから
覚えたての星座の名前を忘れていく
ユートピアの玄関口で
警備員に渡したのは虹色の砂
これ ....
もやもやの空気の中をいく宇宙船からミサイルがこぼれた
てきとうなお椀にいれて水を注ぐ
机の上に置いて、こわいものをもてあそぶ
たとえばこのひっかかりに指を差して
底から上手に抜 ....
日暮れが命を光らせる
うすい羽の滑空を
ぺらぺらぺらぺら遅らせる
何度もここで羽化をする
通り過ぎた残響を
鼻を湿らし数えてる
長い時間はプレパラートで
あたたかいのはたぶん届い ....
近所の定食屋がなくなっていた
火曜日に定休日で水曜日につぶれていた
またひとつ思い出のストックを増やして
カウンター席からの、
大きめなテレビがあった風景をかりかりと刻み始める
いつ ....
室外機のそばの窓に 白い紙から切り取った星を貼って
自分が手を伸ばせる範囲を決めている
ホームから離れた電車はたぶん季節を引き裂いて走って
夜という夜を願い事だらけにしながら傾いた
....
えんぴつが折れるまで憧れを書き続けていた
まっくろい手のひらに重さはほとんどなくて
誰かがのせてくれた飴玉の部分だけひりひりしているようだ
信号がかわるたびに思い出を切り売りしているみたい
待 ....
大きなサイロの下に身を潜めて
電柱に止まるカラスそっくりの雲を撃ち落とし続ける
大胆な予想はいつもはずれて
てきとうな優しさに骨が溶けそうだ
もしもロボットになれたら
光とか匂いに包まれ ....
あふれていくものをせき止めるすべはなく
細い腕がグラスを傾かせるたびに、
毒のカプセルを口の中で遊ばせる作業を
どろどろする部屋の、青い窓から見ている
絆創膏では隠し切れないものが、君の影 ....
この路線はもう天国へ連れていってくれないのだろうけど
わりとひらけた停留所で緑色の傘が落ちているのを見た
空き缶一つ見当たらない不自然な砦で
小銭の音が響いているだけ
七年ぶりにハチ公のた ....
窓の下には鉄の部隊が並んでいて
わたしは今日も外に出られない
大きな口をがらんとあけた
あのパラシュートみたいなものに飲み込まれる
そうすればわたし、麻を縫わなくてすむのかしら
見世物小 ....
戦闘機の下では冷たい雲が群がって
回廊を泳ぐひとたちの吐息を隠している
均等に焦げた銃身の中でパンを焼く準備をしている
濃い目のシロップでお願い
ふんぞり返って偉そうな
....
支柱に古いラクガキがある
それはぼくのこころとつながった血管
さみしそうに腕を振ればきっとかえってくるような
横文字のおおきな団地をぬけて
ライターのガスがもつまでの短時間
塞いでいた耳 ....
またそういうこと言うもんだから
誰かがいろんな勘違いを始める
もともと夜行性なもんだから
朝が待ち遠しいのを知っている
端が凍った水たまり
ガスマスク着用が義務付けられた極彩色の ....
今日も飛び交う正論の中
まくらを盾に這って出る
ぎざぎざのネイルを施したおまえの搦手に
理論武装した猿がいく
信号の先の看板を見落としたのは
天使について考えていたわけではない
おまえ ....
かかとを鳴らして歩きたい
早くしないと夜が来ちゃうよ
ピアノの前でうつむいた
包帯まみれの正直者も
ハサミになって帰っていくよ
暗いところの過ごし方を
人より詳しく ....
振り返ってみるとそこまででもない道に
たくさんの足音が降っている
身を切るような寂しさは僕を離さないように
痩せた木に大きな目印をずっとつけてまわる
ねぼけながら真ん中のイスに深く腰掛 ....
濃い目の紅茶をひとくち舐めて
すすけた砂漠でくるくるとステップを踏む
気をつけて
地雷に触ると危ないよ
金ぴかのさそりに心を噛まれたら
白かった地図がなんとなく退屈になっている
....
洗濯機はまだ回っている
時折カラカラとおかしな音がするのはきっと
いつもみたいにポケットに入っていたピックだろう
薄汚い壁に手をついて歩いている夢を見ていた
冷蔵庫は唸りを上げて冷やす ....
ここをもう少し南に歩くと大きな柿の木が見えてくる
手入れなんてされていなくてばさばさの大きな木が見えてくる
まだかけ算が苦手な時に、そこの汚い倉庫みたいな家には
ガラクタばっかり集めているお ....
ソファのない部屋にいる
立体をこじ開けて時間を差し込んだ戦車が通る
石蹴りに夢中で影を置いてきてしまった
からんころんと遮断機の警報が鳴って
舌の長い子供たちが低いビルに手 ....
観覧車があるところを飛び渡っていると
大気圏を越すような速さになっていった
ある惑星の文明の話を聞いて
自分の描く空は記号だらけになった
届かなくて引っ掻いた
金色の生え際に月が似合うよ ....
ハーモニカが吹けなければピアノも弾けない
タンバリンをやらせればうるさくて
縦笛は持ってくるのを忘れてしまった
町を歩けば石を投げられて
医者からは匙を投げられて
友人だと思っていたもの ....
西日が窓枠の影を作っておおげさに見えてくるころ
ひっそりした教室で息を止めていた
均等に並べられた机の一つに腰掛けて
線の薄い魔物と向かい合っている
吹奏楽部のチューニングがだんだん大 ....
ときどきとんでもないエラーをおこす
ちょっとの故障は外野に任せて
ひみつの処理がしたいときはマスクをかぶらせる
ねえ、指を立ててカーブでお願い、って言ったのに
マウンドから放たれたのはただの悪 ....
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