理由がなんであれ
泣きたいときって
あるじゃない

管理職だから
泣けないのかよ

トイレの鏡の中
唇だけ不格好にキュッとひいた
情けない笑顔の俺は
無理の塊り

栄養ドリンク ....
八月のフェイクな午後
焼けたボディを持て余す車たちの間を
盗っ人のような急ぎ足の俺。
金で調達した相手との
たった2時間の悪戯の為に
ホテルのエレベーターに滑り込む

アスファルトの上に ....
四半世紀働いて
やっと気がつく阿呆がいる
聞こえのいい肩書きを貰ったから
退職の朝までは
それにすがる

龍の刺繍が入った
ヤクザなハンチングを見つけて
買いたい俺
 ....
とりあえず
腹いっぱいに喰って
泥のように寝てみろ
いろいろ考えるのは
その次にしちまえ

じゃないと、
死んでしまうぞ
俺たちを囲む
思考の鎖に
絡まってしま ....
俺はね、
飯を喰うために働くんだ
働くために飯を喰うんじゃない

あんた達も、
忘れっぽいから
出かける前に声に出しておくがいい

飯を喰うために働くんだ
働くために飯を ....
嘘で固めた
メールを送って
背徳の恋に
終わりが来た

正午すぎのスタバで
偶然はち合わせた昨日
日差しの下で
初めて見た相手の表情に
嬉しく、哀しんだ
ふたり

そして ....
ちょっとした街の
ちょっとしたビルの壁に
「スーツはできる男の鎧」
冴えないコピーが貼りつく

ちょっと無理をすれば
ちょっと良さげなスーツが
手に入る歳になって
俺達はやっと気がつく ....
妙に湿度が高い9月の夜
女のように鏡に向かい
毛抜きで眉を整えている

雑音混じりのエフエム
レイ・チャールズをカバーした
女の唄声は錆色にけだるい

重たそうに塗られた睫毛と
熟れ ....
昨日と同じように
夜の匂いが近づく
錆の匂いに震える

夢に怯えた
どこかの子が泣くよ

夢を追えない
労働者が泣くよ

霧の真似をして
肌を濡らす雨が
お前た ....
今日もやっぱり
棒のように働いて
いらついて
帰りの電車で放心してた

でも、ちょっとだけ
気持ちが丸かった

うだるような夏空から
降りてきたあなたが
そばに居る日

僕はま ....
私鉄のターミナルは
午後六時の雑踏
地下一階の売店の横
恥ずかしそうに
コインロッカーがある

耳の上に白髪が混じる会社員が
膝まづいて足元のロッカーに
黒光りする鞄を大事そう ....
三日続いた熱帯夜
夏の始まりの、花火。
高速バスの窓越しに
ぼうっと見つめてる

もう一度の 恋の始まり
嘘の予感と知ってても
夜空に輪郭を追ってしまう

汗に濡れた髪が
 ....
老いてゆく 親の後ろを
ゆっくりと歩く
苛つく気持ちを 抑えながら
托鉢に廻る修行僧のように
無を求めつつ。

道徳とか
世間体とかは
置き去りにしないと
己がが潰れ ....
小さな不安を抱えながら
店のドアを押して
賑わう声の海に潜りこんだ
かつての女子大生が
今夜は受付
やあ。あら。
やっぱりそれだけ

オトナになったとか
歳をとったとか
 ....
仕事を言い訳にして
僕は独りの時間を
楽しんでいた
嘘じゃなかったけれど
本当でもなかった

だから
...靴ずれが痛いの、って
君の呟きなんて
気にも留めてなかった  ....
子供の頃から、
僕の掌
逃げたくなった時
両方の瞼において
ぎゅっと 
カラダを嘘のバリアで隠してきました

オトナすぎる今、
僕の掌
キミの頬において
ささやく声をBGMに
そ ....
色褪せた革の上着を
ベッドに放り投げたら
背中に手を廻して
ドアを閉める
聖夜の街の冷気と
階下で呟く老人の声を消す為に。

部屋に漂わせるのは
大陸の端で
中年女が紡ぐような ....
シースルーエレベーター
不揃いなビルの列
ぼやけて見えるのは
雨のせいだけじゃない

愛を惜しんだ者に
背中を追う資格はない
傷を怖れた者は
不平を口にしてはならない
 ....
恋を口にしないで
そんなもの
耳朶の後ろにだって
感じられるから
愛を口にしてよ
年老いた猫みたいに
囁き声でいいから
三日月色の指が
あなたの胸に降りて
深い息を宙に ....
薄明かりのシティステーション
恋に疲れた二人連れ
鞄ひとつの重さじゃないね
何故だが辛いプラットホーム
握りしめた片道切符
今度の旅はひとりきり
強がるはずのフェアウェルナイト
やっぱり ....
誰かが悪い訳じゃないが
行き違う人達の
手が
ささくれていただけの事。

俺が責められた訳じゃないが
少し哀しくて
すぼめた唇から
息を吐いたけど
口笛は鳴らない
歯並 ....
蝉の羽落ちてる
つまみあげれば
セルロイドの硬さ

蝉の羽落ちてる
ちょっと首を振って
焼け焦げた胴体を探す

蝉の羽落ちてる
無機質となったパーツは
時空の盤の針の ....
八月のクッション
暑さにばててやがる
生成りの皺の間に
俺の日常が見え隠れする

存在するだけで
息切れがするなんて

誰に予想できたのか

羨望の声を見限って
小さなヨ ....
梅雨の中休みの蒸し暑さは
腹立たしいほど
中途半端だね
私鉄の駅前で
でこぼこのアスファルトを
電動車椅子の君が
細い体を左右に揺らしながら
歩くように?進む

離れている ....
惨めな日
寒い日
歩いていられるのは
僕が
花を信じているから

僕の花
僕がこの世に 在る証

夢、なんて大それてる
未来、なんて嘘くさい
見栄をはりたくなる気 ....
僕は
コトバに打たれ
コトバに追われ
コトバに泣く

今日も
コトバの色暗く
コトバの音重く
コトバの肌ざらざらと。

時に僕は
コトバへ逃げ
コトバへ叫び ....
午後3時のバス停で
細身のスーツを着た
若い会社員が
苦しそうにしゃがみ込んでいます
卑怯者は
忙しそうな素振りをして
バスに逃げ込むことしかしない

暮らすとは
そん ....
家族と囲む食卓で
時計に追われる仕事場で
歓声のあがる居酒屋で
必死になって
ひとりを感じる短い時間を
探している
男が居ます

誰にも云えない
真実は
ひとりが  ....
久しぶりに触る鍵盤
升目のような 音の間に
重たい身を沈めよう

きっと
誰にでも
この譜面のように運命が
用意されているのだし、

それを辿って 生きれば
キモチ ....
洗面所の鏡の中で
つぅーっと 涙がひとつ
落ちました
なんの理由もないけれど

いいの
そんな日もあるの

携帯のメールを開けたら
どこかの会社から
オメデトウのメー ....
御笠川マコト(61)
タイトル カテゴリ Point 日付
泣けないときに自由詩114/9/7 22:10
八月のフェイクな午後自由詩114/8/19 8:21
阿保がいる自由詩114/6/13 23:18
苦しかったら自由詩314/6/1 22:33
朝の呪文自由詩814/5/26 19:39
恋をなくしたおじさんは自由詩014/5/23 23:49
哀しみのスーツ自由詩314/1/5 22:46
ソウル・ナイト2自由詩113/9/23 23:30
夜の匂い・錆の匂い自由詩213/9/2 23:42
迎え提灯に自由詩213/8/14 23:18
コインロッカー・ブルース自由詩313/8/1 23:13
もう一度の予感自由詩113/7/15 22:35
修行僧のように自由詩313/6/27 23:28
同窓会の夜に自由詩213/5/6 23:21
靴ずれが痛くて自由詩113/4/25 23:04
僕の掌自由詩513/4/4 23:55
聖夜はファドの中に漂う自由詩212/12/25 23:22
ありふれた帰途自由詩212/11/9 23:54
愛を口にしてよ自由詩212/10/29 23:18
メイビー「博多ろまん」自由詩112/10/25 23:54
ナミダ色の月自由詩112/10/23 22:57
蝉の羽自由詩112/8/28 22:56
八月のクッション自由詩012/8/2 22:33
七月の軌跡自由詩012/7/12 23:27
僕の花自由詩3+12/5/22 22:55
僕はコトバに泣く自由詩412/5/16 23:25
暮らすとはそんなことだろう自由詩312/5/10 23:46
誰にも云えない自由詩312/5/6 22:09
意固地なピアノマン自由詩412/5/4 23:32
バースデイ自由詩212/4/29 0:02

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