視線が崩れる前の一瞬に
全てが分かるのです

空白の時を経て
前触れのない再会

触れる視線
数秒の差で
崩れ漂う

この一瞬に
私は恋をしていたのです

懐かしい人ではなく ....
春風は夢
その誘いを断れるはずもなく
季節は巡るのです

望まれず咲く花
冷蔵庫の片隅で
遠くの春に応えながら
小さく咲くのです

はじめましてとか
さようならの代わりに
そっと ....
氷砂糖に雨が降る

静かに静かに雨が降る

溶けることに救いを求め
消えることに躊躇する

氷砂糖に雨が降る

静かに静かに雨が降る

甘い夢が濃くなって
白い結晶が視界を ....
その不在に色をつけるとしたら

幼くなった水色の光


色あせることはないけれど

四角い箱の中でぐるぐる回る


その光にことばを探し

静かに遠ざかった


その ....
その箱から音がする

空っぽだからといって捨てられず

そのまま放置しておいた



その箱は色を変え

かつての水色も消えかけて

ただの箱になったころ



その箱 ....
かわせない約束が
雨が降る度
降りかかる

流れるけれど
流れるけれど
降ってくる

そこにあるような気がするものを
自分の力で形にできず

変化とか
不変とか
消滅とか
 ....
確かなものは何もなく
存在という呼吸が
特別な空間を作り出す

薄明かりの中に
温かな記憶

つながることも
とぎれることも
意識とは関係なく
ただその場所を持っている


 ....
色が変わった

私の知っている水色が
少しずつ重なって
ことばのないまま
深くなる

いつも初対面のような
四角い空気にくるまれて
私の水色が消えかかる

色が変わった

夕 ....
幻の花に

水をあげるのを忘れてしまった

あまりにも長い間
自然に咲いていたから


そのままでいいと思ってしまった

花びらが一枚落ちた
そして
止められない流れ

 ....
光が反射して映る景色にまどろんでいる

夜になると顔を出す
ため息にも似た光
そのとき本当のことがこぼれかける

そんな夜は1年に1度
交わしていない約束のように訪れて
はなれたくない ....
白いりぼんが流されてゆく

美しく結ばれたままで

かわした約束が緩むとき

こわくてひっぱれなかったりぼんの先が

ゆらゆら水に揺られて流されてゆく

きれいなままで消えてゆく白 ....
扉を見つけてから5年
最初に見つけたのは空気
静寂にひきつけられて

扉の向こうに見つけたのは香りと存在
何度もつつまれて少しずつ確かめた

時間がたどり着いたのは確かな青
くるまれて ....
飛び散る幸せに

願いのつぶやきが微笑み

消えることへの潔さは

また来る春の安心感

桃色は震え

だまったままで

圧倒的多数の美しさに

立ちすくむ


切り ....
どうしようもなく大切にしてきたわけでないけれど

大人のポケットは暖かく

そこにしまわれていたのです

そう、

大勢の人と話をしながら

少しずつ自分を失いながら


久 ....
行方不明の水色の風が

春まだ遠い空気に紛れて

時々吹いてくる錯覚にとまどいます


行方不明の水色の風が

どこで吹くのか

それはまだ分からないのです


けれど
 ....
私のリアルって何だろう

隠れ家カフェ
見下ろす町並み
マンションに囲まれた空間に
古いアパート
通路を行ったり来たり
何往復もするおじいさん

狭くて短くて暗い通路を
独りっきり ....
どこに植えたのか
その場所だけは
今もはっきり覚えている

この広大な大地も
この荒れ果てた大地も

いつか菜の花畑になるのだろうと
いつかれんげ畑になるのだろうと

その光景はは ....
あたりまえのような空白に
止まったり動いたりする記憶

五つの夜のうち
一つはあなたが入り交じる

あたりまえのような静寂に
現れたり消えたりする感覚

五つの夜のうち
一つはあな ....
また一段と濃くなる静けさに
救いのかけらが混ざり込む

求めても求めても
得られないものの正体を
つかめずに

失っても失っても
なくならないものの正体に
呼び止められる

また ....
流動する記憶

見えないものの中で感じるいくつかのこと

痛みは遠い記憶に重なって静かに座り込む

知っているその感覚に仕方なく私も座り込む

うずく固まりは忘れかけている孤独の影を映 ....
私のレンズに刻まれた
小さな傷が見えるので
その光景からは目を逸らす

悲しみによって癒される
消えない傷がうずくので
その笑顔から目を逸らす

レンズの傷から見える世界の中で
まば ....
はらはらと
風に舞う本心が
ゆっくりと地上を目指す

ゆらゆらと
風に漂う本心が
ひっそりと地上を目指す

さらさらと
風に流れる本心と
一瞬だけ目が合った

忘れない

 ....
なくした瞬間
白い花が咲き乱れ
カウントダウンが始まった

咲いてしまった記憶の一つ一つが
美しく、瑞々しく、終わってゆく

一輪挿しに生けた花が
水を吸い続けられる間
それがタイム ....
水面に揺れていた
ゆるやかに身体は倒れ
一番優しかった記憶に包まれる

透き通る青色を見ていた
ゆるやかな振動が伝わり
水中に炎の原型が生まれる

水中回帰

眠りの中で眠りながら ....
気づくとまた独り

箱の中から私を見つめる

その箱はとても大切なものだけれど

そこに入ってしまったら

優しい時間しか流れない


痛んでゆく時間に触れていてほしかった
白い箱は空っぽで
その白を
空白だと思ったから
たくさんの穴を見つけた

その穴から眺める空は
いつも穏やかで
時々水色の風が吹いていた

水色の扉を開けると
そこは穴の中によく似 ....
セピアにかすむ水色に

静かな灯りはともるのに

そこにいたはずの私だけが

消えました

いえ

去りました

失ったものなどないのです

ふと

求めることやめたの ....
水色の石けんの香りがした

炭酸水の底で
一瞬にしてはじける
小さな苦痛

はじけて溶けて
はじけて溶けて


水色の石けんの香りがした

消えるということ
研ぎすまされた感 ....
悲しき回復力

自然治癒と人は呼ぶ

免疫力が高くなり

三日ともたない苦しみに

大切な存在を知るのです
それは好奇心に近かった

手放した風船は
その場で浮いていた

固く握りしめ続けていたてのひら
ゆっくり開いてみる

冷たい空気が渦を巻き
静かな呼吸が始まった

それでも好奇心 ....
mayaco(81)
タイトル カテゴリ Point 日付
欠けない人自由詩219/9/18 18:44
菜の花自由詩115/3/9 0:37
氷砂糖自由詩314/10/25 11:58
miss自由詩210/2/21 19:59
箱の音自由詩209/8/28 0:00
雨の日自由詩208/12/17 23:58
不在という明かり自由詩008/12/12 23:53
ブラウン自由詩108/12/7 22:57
幻の花自由詩008/9/30 23:27
自由詩208/8/7 22:40
白いりぼん自由詩408/7/27 23:13
自由詩108/4/27 23:08
自由詩0*08/3/31 23:48
ポケット自由詩008/3/2 22:07
水色の風自由詩108/1/24 22:01
フェイク自由詩1*08/1/20 20:45
自由詩308/1/13 23:43
一つの夜自由詩508/1/7 1:11
救いのかけら自由詩007/11/18 0:12
流動する記憶未詩・独白3*07/10/12 0:29
レンズ未詩・独白107/9/4 0:56
本心未詩・独白107/8/22 21:36
永遠未詩・独白107/7/25 0:00
水中回帰未詩・独白407/6/10 21:54
優しい箱未詩・独白107/6/3 22:31
夕陽未詩・独白307/5/13 22:10
セピアにかすむ水色に未詩・独白107/4/22 0:50
炭酸水未詩・独白207/2/22 22:46
回復力未詩・独白106/11/26 22:26
てのひら自由詩206/11/21 22:57

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