不在の生誕日に花を添える
囁いたうたとともに
沈黙がいつまでも響いている
歌声は掻き消されて
漣の向こうには届かない

弾かれないギターは煙に巻かれて
どこまでも静寂のなかにいる
わた ....
指先から立ち昇る
煙の先の
窓際はすでに冬だった
確かすぎるほどの白い気配を
膝をたたんで見ていた
痛みの季節

救いはあるのかと巡らせれば
換気扇はまわりつづける
 ....
すべてゆめだったのよと
言えない朝がきて
わたしたちはまた方舟の残骸を
待つことになる
ひた隠す傷跡をごまかし
あといくつの痛みを抱けば
その海を渡れるのか
 ....
騒めきを静めるように
掻きならす
腕にたくさんの糸をつないだ
はずだった、気づけばほつればかりで
抱かれた幻想に惑う
声すら届きもしないのにこんなにも
頼りない宛てに頼るなんて

美し ....
重たげに踊るきみの
右足と左足とが軌跡を
えがいて
、えがいたらば
わたしたちは呼応する
泣いてしまいそうな波形を
重ねあわせ呼びあう
、わたしたちとして、
ゆるすこともすくうこともで ....
肺にまとわりつく
あらゆる風のにおい
浮遊したまま沁みついて
綯い交ぜの過去が迫りあがる
目を伏せれば目蓋の
こちらにせかいの明滅がみえる
まるで蝋燭を眺めるように

移ろいでいく木の ....
枯らせたくない花ばかり
両の手に溢れる
会いたくて泣けども
抱えきれずにこぼしてしまう
いつも間に合わなくて
いつまでもこの手は無力だ
守りきれない
たくさんのまたたきを
ただ見ている ....
わたしたち、から
あなたたち。へと
いってしまった
わたしが結った白糸も
頼りないまま意味をなさずに

陽射しがまぶしくて目が眩むの
黒い裾が砂を飲むのよ
どうしたってここは昼間で
 ....
そそとゆく
風と風の隙間をぬい
歩く
指先につぼむ
緑色をかざしては影に
うつしとられたわたしの手を
眺める

すべるすべる
なめらかな水面を乞う
浸して、
湖畔のふちをなぞる
 ....
くぐもったひびは
あまりにもやさしすぎるから
こもりきりの球根は
ゆるやかに腐っていく
のこされた温室とそのぬくもりのなか
雨垂れてうなだれる
半端な腕をひくものはいない

生暖かい体 ....
冷えたぼくの喉元に
指の先を押しつけて息を
、結んで括って括って耐えて
また振出しに戻される
ぼくを貫くチャンネルが
合わずに雑音ばかりの波は
、吸って吐いて吐いたら絶えて
なんにも形取 ....
こぼされていくたくさんのあなたを
たくさんのわたしと見ていた
左手を揺らしながら

爪先ですごした日々
吊りさがる足先を眺めていた

不自然な世界のその先端で
ひとつひとつ諦めては
 ....
いつも秋でした
失われていくのは、たしかに
季節のにおいが濃く沁みる
秋の漂うなかでした

かえりみれば
いつだって想いばかりで
目を伏せて語れば
なにごともかなしみを含んでしまう
 ....
おいてきぼりの
わたしたちきみたち
別たれて
いまだにたゆたっている
境界線のうえ爪先がちらつく
ゆめをている

もういいかい
まあだだよ
幾たびも繰りかえす土曜日
手放すことも ....
いつまでも吊りさがっている
きみたちの残像はかたどられて
切り揃えられた爪も
ほどけてしまう
蹴りあげた砂さえ、

不確かならば
つながれない点と線
結べないまま
いまを問いつづけ ....
閉じかけの殻の隙間から
遮断の季節の訪れをきいた
ぼんやりとした不安のなかで
右の肺にいつか埋めた
種は芽吹かないことを知った

美しくも汚れもしなかった
温室は惰性でまもられていて
 ....
うつくしき日に
さざ波のカーテン
それは薄緑の夏のレースで
さらりとした朝の風に似合う

早朝のまどろみに
漂うきみと白いへやは
まるで溶け合っている 調和して
、きみのせかいを垣間見 ....
境界線のない
36度7分にたゆたう
怠惰、
あるいは慣性
そうして21の曖昧なきみ。

0と1との鋏で
切り放された生と死が
点と線とで結びつこうとうごめく
ので

放物線に沿っ ....
すべき約束がどこにもないので
迷い指をさらしている
午前三時前のゆるい空気と
雨ざらしのベランダ
水滴のコップとなまぬるい炭酸水
小指を残したままの右手に
あることとないこととを考えたらば ....
この感情になまえをつけるならば、
メリグノウム
、たとえばの響きで
惰性と真似事のなかで現象するだけの日々を
むやみにかたどるならば。

つぶさには
両の腕はからっぽなのに
なにか持て ....
さらいり、
崩れかけの青い日に
すれ違ったはずの遠い誰か
残された姿はとうに消化されてしまって
その眼の黒さだけが底だまりの事実
雨の温度も忘れ去ったらもうなんにも、
なくなって。
ぜん ....
高瀬(21)
タイトル カテゴリ Point 日付
1月25日自由詩413/2/15 21:42
大丈夫であるように自由詩212/12/31 22:38
方舟自由詩412/12/23 6:29
花に埋もれる自由詩412/12/17 20:09
軌跡自由詩212/12/16 2:35
そのゆくえ自由詩212/12/7 23:44
無題自由詩312/11/30 0:33
海へよせて自由詩312/11/23 18:09
羽根自由詩312/11/10 8:16
疑問符を殺して自由詩112/11/6 23:11
生きる残像自由詩012/11/4 22:49
境界線自由詩112/10/30 10:04
ちいさいあき自由詩112/10/28 22:31
アネモネのスイッチ自由詩012/10/27 22:30
点と線自由詩412/10/26 22:29
自由詩012/10/25 22:27
残夏のあと自由詩312/10/23 23:44
原初自由詩312/10/22 23:42
回帰自由詩212/10/21 23:28
六月のけしき自由詩112/10/20 23:06
メリグノウム自由詩212/10/19 22:27

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