聞きたいのは
君の声なのに
僕の耳には
届かなくて
聞きたいのは
君の声なのに
風の唸りが
響くだけ
木枯らしのふく頃に僕らは出逢い
何度めかの春
永久の別れが ....
赤く ね
実がなったら
もう秋風が ね
襟元を通り過ぎて ね
あなたの腕が ね
恋しいの
雷雨に押し流され
夏が終わる
爪先に染み込む雨水が
一層惨めな気持ちにさせる
選べない選択肢は
捨ててしまいたい衝動に駆られ
捨てきれなくて
また抱き ....
じわりと
広がった
君と言う名の
憎悪に
熱をもって
痛みをもって
戦う
夜明けに眠る猫
寒さを凌げるならどこだっていいの
今夜は誰の軒下
月に啼くウサギ
ぬくもりが欲しくて自分のひざを抱きしめる
明日は誰に夢を売る
うそつきが好きよ
....
私たちはいきているだけで
土を汚し
空を汚し
海や川を汚し
人のせいにして
わらつているのだ
汚した土からは
何も生まれず
汚した空は
汚れた雨を降らせるのだ
....
宵闇に
月待ちきれず
三月の
舞い散る花びら
白き木蓮
明日などないと
二人
一瞬を愛したね
震えながら
二人
一生分を抱き合った
僕より少し年上だけど
僕より幼いあなたの笑顔
一生分の一瞬に
心奪われ ....
ゆっくりと過ぎてゆく
想い出が
憎らしく 哀しい
この濁った空のように
光を遮る雲のように
痛みだけが残ったわけじゃなく
辛さだけがあるわけでもない
ひとしずくのワ ....
ライトに手を翳す
薄ら 透ける手に
ナイフを握ったのは
誰も傷つけたくないから
痛みなら慣れているはずなのに
ねぇ
紫色の傷跡が悲しいの
あの木の下で
そっと見送った
雨の朝
花の香微かに震え
君はもう旅支度
紫の花びら蕾は北を指し
傘も持たず
歩き出す
投げかけた問いは
雨音に ....
誰のせいでもない
雨は
傘をたたき
窓を濡らす
誰のせいでもない
雪は
今夜も屋根を
白く覆う
誰のせいでもない
悲しみは
時と ....
罪悪感と後悔の記憶ごと
召し上がれ
滴る赤に
拳の痛みも混ぜ合わせ
吐き捨てた種に言い訳を含ませて
横たわる証に
土を被せたら
まるで被害者みたいな顔をして
....
都会的な駅の風景に紛れ込んだ
荷かつぎの老婆は
自分は昔からそうしているのだと主張するかのように
背中の荷を左右に揺らしながら
いつもの朝を始めている
満員電車の中
上等な仕立てのスー ....
一雨
あなたの ぬくもり思い出し
ふた雨
あなたの 冷たさ思い出す
録音したままのあなたの声が
私の眠り薬なの
きっといつか薄れてしまう思い出だから
取り出してみては大切に ....
カラダに纏わりつく雨粒の重さが
歩幅を狭め絡みつく
どんよりと厚い雲がまだまだだよと
雨粒を降らす
苦しいのは
おまえだけじゃない
寂しいのは
おまえだけじゃない
けれどもせ ....
私たちは 繋がっている
無意識下で
現実で
私たちは元々ひとつだった
思想 心理を越えたところで
だから
愛しい
恋しい
憎らしい
一日の終わりを影の長さが教えてくれる
ため息捨てて家路を急げば
坂の上に君がいる
ねぇ君
ずっと一緒に居てくれないか
多くの物は望めないけど
君の寝息を数えていたい ....
漣の揺れにまかせ
安らぎを覚えた貴方の腕の中
何時かの過去にこうしていただろうねと貴方は笑った
それだけでいい
それだけでしあわせ
出逢えた縁(えにし)優しさいろに染め
泡 ....
朱に染まれ
種を残せ
口に含む苦さを忘れない
ぎゅ ぎゅ と鳴らす感触を思い出す
朝焼けの色を写し取り
朱く朱く乾いた夢を
灼けた大気に溶かし込み
ほおずき灯 ....
あのときの空は
変わることなく
さえぎる傘は
広げたまま
微笑を交わした頃の
雨の季節はとうに過ぎ
生暖かい風が吹いている
いつか
夏の空の下
見上げた空に虹がかかる ....
あの時感じた風は
今も優しく私の周りにふいて
そっと眠りへ誘います
木々の緑は
太陽光を遮りながら
美しい木漏れ日を描き
夏の花々は
暑さに負けずに太陽に向かって
....
夜毎の囁きも 遠い記憶
触れた手のぬくもりも忘れてしまいそう
あの日と同じタバコのにおい
あの日と同じ雨の音
傘の向こう側
遠い視線を追いかけて
薄い雲の隙間から見 ....
フワフワと漂う意識の 心地よさ
反面 音に敏感な 半分の耳
囁かないで
負けそうになる
毛布を被せ
胎児に戻る
夜の闇に雪が舞う
灯りなどないのに
冷たい光を
放ちながら
風に踊り雪が舞う
風音に混じり
高く悲しく泣く声が私の凍えた耳に届くのだ
しばれた体を
引きずるように
声の主 ....
独り占めしたかった
あの優しい手も
ソフトな声も
まっすぐな眼差しも
柔らかな唇も
私だけに向けられていて欲しかった
誰よりも私を理解して欲しかった
誰よりもあの人を理 ....
光の彼方で
君が手を振る
変わらない微笑みが
愛しくて
あの頃の僕は
自分のことばかりに
精一杯で
君の事を考え ....
分かたれし
絆
寄り合わせども
戻らず
それぞれの糸巡り会いて
結びつきては
縁となる
過ぎ去りし
思い出を
風が運ぶ
急ぎ足の
春を乗せて
‐
斜影に射した
春の日差しが
匂い立つ華の香りを
引き立てる
‐
田の畦に咲く
タンポポの
黄色に
命輝 ....
寄り合わせた糸をほどき
片方を持つ人を失いました
笑い顔で
「またね」と
追うこともせず
見送った
もうすぐ
そっちの世界であいましょう
....
1 2
0.31sec.