遠く 朝の空に カラスが 鳴いた
空に向かって投げられた 一筋の石のように
深く青い空の中 大きな羽影が音も無く遠ざかる
夜に満ちた寒気が 弱い光にわずかにゆるみ
首を縮めたくな ....
さびた車輪が 降り積もった時間を振り払い
重くきしむ
巨大な動輪が レールの上をわずかに揺れて
危険な過去の岩石たちを粉々に砕く
車軸に浴びせられる 熱いオイルの飛沫が
すでに ....
ぼくの胸の中 モーターは
滑らかに 回ってる
プロペラを付ければ
きっと青い空へ 駆け上がる
ぼくの胸の中 モーターは
軽やかなビートで 回ってる
スピーカーをつなげば
きっと ....
降りそそぐ5月の光が せせらぎの上を転がり 溶けて
自らの背に光を受ける 小さな魚の群れが
黄金色の川底の砂に 等間隔の影を落とす
若草の緑が流れを縁取り
木々のざわめきが ....
乾いた あまりにも乾いた 土の臭い
おまえの骸は 葬られていく
墓を埋め戻す 赤い土は 大半を風が持ち去る
乾いた あまりにも乾いた 風が
一人残された 息子の髪を かき混ぜてい ....
夜半の犬よ
おまえは 闇にまぎれて 旅を続ける
人々が 自分を演じることに 疲れ
一人 目を見開いて
静寂の闇を 探っている時
蒼い星空と黒い山脈の境界から にじみ出すように
....
この秋のあまりの美しさに 歩みを止めてしまった友よ
色づいたけやきの葉を透かして やさしい光が
おまえの大きなからだをつつみ
少し眉を寄せて 落ち葉に埋まった足先を見つめながら
一人思いを ....
嵐は 過ぎ去ったようだ
水しぶきを上げて 遠ざかる 深夜トラック
小さな町の バイパス沿いの店で
だれも来ない夜を 過ごしている
数台分の駐車場は 埋まったこともない
看 ....
甘いラムの香りに 誘われて
南の孤島 サトウキビ畑に 来てしまった
青い空は 深く澄み渡って
そのまま 星が瞬く暗い青へと 落下している
背丈よりはるかに高く ....
世界の中心が まだ 定まらない
早朝の あいまいな時
コーヒーの香りの中で過ごす
周囲のテーブルは まだ
みんな 自分の殻から 抜け出す途中
無防備な現れが 互いを ....
狭い廊下の両側に
小さく仕切られた病室が
葡萄の房にようにしがみついている
病室は 使い古された機械たちで埋まり
その中に 忘れられた老人たちが 横たわっている
薄い ....
嵐が近づく空に 何層もの薄いすじ雲
重なり合い 競い合って 東へと速度を上げている
早朝の太陽は、雲の向こう側で白い輪郭を見せて
ときおり 周囲の雲を 白銀に輝かせては また隠れ ....
朝になっても 降りつづいて
白を重ねる 都市の眠り
音を埋められた通勤電車は カーブを滑る
列車の窓は 薄明るく曇って
吹雪に閉じ込められた ....
死者を鎮めるものよ
死者を取り巻く 生きる者たちから
死者を解き放ち
残された者たちを死者から 開放する
それは 古い森の中で あのシャーマンたちが行っていた ....
まだ 朝のやさしい光が
町にあふれるまでには 時間がある
薄闇の中で 白い呼気が
のろしを上げている
白いのろしは まだ街灯が灯る 細い路地を抜け
古びた木造アパートの鉄階段 ....
どこまでもまっすぐな道が
枯れた牧草の なだらかな丘を超え
ふと消えていく その向こう
金色の輝きが 青い空からあふれ出している
あまりに荒々しい 産声
私の体は 透過さ ....
異国の食べ物から立ち昇る
由来も行方も知らぬ物語
リズムがつかみきれない 不可思議な音楽に跳ねながら、
細密な砂嵐のように 体を包み込む芳香
風土と血に練りこまれ ....
オリーブの高い枝に取り残した実に
真冬の鳥たちが 激しい羽音をたてて
秋の収穫期の黒い実に 鳥たちは関心がなかった
寒さで 苦味が和らいでいるのか
銀白色のオリーブの葉影に 鳥たちが集 ....
冬の夜 布団にもぐりこんできた君
冷たい肉球を 体の内側に折り込んで 目を閉じて なんの挨拶もない
真っ黒の顔に白いひげだけが ほうき星のように流れている
今夜はあまりに寒いから ....
硬質ガラスのような 壊れない心
ひびも入らない 透明な分厚いガラス
そんな心が欲しいですか?
粉々になりそうな気持ちをなんとか抱きしめているあなた
大丈夫
たくさんの心の ....
薄暗いガード下を
みかん色の
悲しい色の
人肌色の街灯が
ぼんやり照らしているんです
ここでぼんやり 飲んでる連中は
頭のネジがゆるんでいるようで
じつは案外 切羽詰まってい ....
冬枯れた庭に 緑を残すオリーブの銀葉がそよぎ
その枝にはまだ 黒く縮んだ実がしがみついている
シクラメンの強い赤が 庭が生きていることを教えている
私たちは ここで 同じ ....
気持ちがゆるんでいた午後
街は 私から距離を置いて 忙しい
ひざがゆるんでいる ゆっくり歩く
軒先から覗いてる 猫と目が合う
頭のねじがゆるんでいる しらふ ....
お祭り騒ぎは終わった
路上のツリーたちの つぶやき
澄んだ夜気が 満ちてくる頃
薄雲の切れ間から 星々の視線を感じて
今夜 本当の儀式が始まる
司祭は、浅い路肩の溝の中 ....
雨に濡れたアスファルトに ネオンが照り返す
オイルが漏れ出したギラつく夜道に 薄汚れたハトが小さな影を落とす
乾いた安全な巣は 古いビルと一緒に粉々さ
さ迷ううちに 連れ合いも死んでしま ....
夕暮れが 古い白壁の影を刻み
小さな町の家たちは 街灯に身を寄せ合う
息をひそめた町へ
男は にじむように戻って来た
夕餉のしたくの手を止める女たち
薄暗い窓から光る目が見 ....
木々が泣き叫び身をよじる 嵐の夜
蛇行する高速道路を はるかな高度でよぎる陸橋から
車たちのにじむ光を見ている
濡れて顔を覆う髪が 体温と最後の強がりを奪い去る
雷鳴に冴える記憶 ....
ブルーブラックのインク
闇の色に一番近く
夜空の星の にじむ輪郭を描く
深宇宙の色彩
ブルーブラックのインクが着いた指先の染みに
不器用な恋と発熱の記憶がうずく
大学ノ ....
飽きちゃったな 私
この暮らしに
だから 窓からスルリと抜け出して
気ままな旅に出たのです
とにかく風がきもちいい
なにも持ってない
むき出しで 投げ出しで ....
たくさんの人が住むほど たくさんの木々が茂る
そんな世界にしたいね
人生の終末が近づくほど 朝の光や鳥の声が輝き 日々を丁寧に生きる
そんな人生を送りたいね
休日に汗を流すほ ....
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