そう、私にはもう、あまり時間がないから、
伝えて欲しい

  私は、乱れ、渇き、騒がしく
 どこへ行きつくのかしれない、嵐だった
だから 私の生は、私の次の生は、 
穏やかな静寂に満ち ....
細い糸が 雨に洗われている

透明なしずくが 糸にしがみつき ゆれながら

森と空を映している

糸を吐いた蜘蛛は すでに別の場所へ
風に乗って
行ってしまった

水滴の中に 世界 ....
高音の反響は 
悪魔たちを招集する 絶望の神の宴
  生贄の女たちが叫ぶ 歓喜と恐怖の波長

 極低音の響き ゆるんだはらわたをゆするのは
 夜更けの広大な倉庫に集う 怪物たちの排気音

 ....
与えられた感覚のすべて 薄く高く引き伸ばし

やがて訪れるものを 待つ

未熟な 青い静寂の闇に 息をひそめ
 長く 瞑想に似た 忘我の時を経て
  小さく  小さく  微弱な  共鳴が始 ....
できることは 限られている

それでも 私は 
時の種を蒔くことをやめない

すぐ自分の傍に 新しい世界の入口があること
その気付きを促すこと
その出会いの瞬間 

それまで住ん ....
暗闇ににじむ モニターの光が 
風の死んだ 霊廟のような部屋を照らしている

もう長い時間、きしむ椅子に座って ここで過ごしている

深い傷を癒すために

外部から与えられた傷と 
自 ....
古い座り机に ひじをついて
小さな窓から 夕暮れの街を見ていた

私を呼ぶ かすかな声に 振り向くと
薄暗い階段の踊り場に
立ち去ろうとする 小さな姿

それは
幼い我が子の 最後の姿 ....
波立つ湖面は
薄い雲が駆ける空と
雪原が反射する
午後の日差しで
濁った銀色に 染められている

切り立つ山肌は
根雪まで吹き払われ
黒々とした 風の道を見せる

はるか上空 
 ....
さくさくと踏み抜く足跡が
ほとほと燃える命の 居場所を教えている

小さな命が 耐えているのは
山道のけわしさより 母の病

雪原に 山影から
眩しい日差しが 差し込んで
今日半日の  ....
早朝の青空に
ふらり 浮かぶ
 白い満月

しんと 静まり返った
人々の意識の空白を突いて

薄白い筋雲たちが
丸く集まった 作りかけのまゆ玉

風に 解けてしまいそうな
はかな ....
通勤電車の厚い窓に
朝の光が 何層にも折りたたまれている

世界を遮断して 
許されたものだけが 透過してくる

見渡す景色が 放射状の光の道たちに
遠く近く切り分けられて
本当の姿を ....
静かな 夜半のことだ

やせ細った月が 薄く流れる雲を照らして
とぎれとぎれの 心細い街灯を にじませている

昼でも閉まっている商店街には、
野良猫の姿もない

凍える自分の足音だけ ....
世界を締め出して
 かすかに囁く予感に 集中する

繰り返し 自分の正気を痛めつけながら 時間を飛ぶ 
自分だけが熱くこげる

それでも行き着くことができないゴール
ギャンブルの底の底で ....
私のメガネのレンズは いつも薄汚れて 曇っている

ポケットに入れた手が掴んでいる しわくちゃのハンカチでも
はーっと息をかければ 少しは明るくなるのに

足元は 
山深い森の落ち葉
深 ....
鋼鉄の 咆哮が
また 赤い花を咲かせている

手の中に現れる 醜い神の力

確実に人々を滅ぼすために
恐怖から 己を救うために

自分しか見えない 悪と正義
自分だけの恐怖を 覆い隠 ....
灼熱の 一日の重さで うなだれていた 木々の枝が
夕暮れの風を受けて 身震いする 

心地良い木陰が 濃い闇へと変わる わずかな隙間に
見え隠れする 幼子の姿

夕闇の ここ から夜が始ま ....
街灯の光が届かないバス停で
忘れられたように バスを待ちつづける

終バスは すでに出た後かもしれないのに

ここに明日までずっと立っていても 
だれも話し掛けてはこない
 
光を乱反 ....
いくつにも分かれた小さな窓から 朝の光が迷い込み 
吹き抜けの天井に
響き合う

力の入らない魂が 誘いだされては
光の霧の中を 浮遊している

BGMのピアノの音が 
まだ一つに ....
島の西側には 人は住まない

西方浄土に開かれた島

穢れのない 輝く砂浜が 所々に小さく開かれて
海からの精霊たちが 少しの間休むための 青の洞窟

島を縁取るガジュマルの分厚い林が  ....
かすかな音に導かれて

薄暗い防砂林をかき分け 

青い海が 突然開ける

予想もしない光 自分の胸が裂けて 世界が開かれる

幾層もの複雑な青 視界が波に飲み込まれる  
潮風 ....
疾走する風景

旅は 続いている

車窓を流れすぎるのは 人々の暮らしそのものだ

揺れる視界 窓から一瞬香る 早春

行く当てのない旅 

居つこうとする心が 飛びすぎる
 ....
どこまでも透明な 海流の底

光の道が 幾重にも交差して 

青い荘厳な布を 織り上げている 


光は 時折 潮の流れに乱されながら 

遠く 遠く 

まだ予想もできない ....
雪に写すのは 苦しさに ちりじりになった心

雪に移すのは 物陰から覗き見る 豊かな人々への憧れ

雪に映すのは 影絵のような 古びた記憶の中の つらい出来事

雪にうつして 積み重ね ....
素直な言葉で 伝えたい

小さな旅の中で気付いた 僅かなこと

置き忘れられた 小さな輝きを

踏み潰されても 起き上がろうとする健気さ

暗闇の中で 小さくつぶやかれた誓いを

 ....
心の目が開くと
世界を流れる時間が 減速する

親しんでいた散歩道の背景から 
隠れていたものたちが 押し寄せてくる
 
バス停を囲む 豊かな街路樹の葉たちが 
輝く葉脈の意味を 語り始 ....
今の自分を乗り越える

自分の限界に 髪をかきむしって 悩むのは
それは 乗り越えるため だろう

背伸びした自分が そのまま力尽きたら
あとは 奈落へ落ちるだけだ

自分の限界は 自 ....
小さな炎にゆれる人々の影が
夕暮れの草原を 黙々と進む

神に近づく不安が 音と風を封じて
手に捧げ持つ 灯明は 
真っ直ぐに夜空を指している

白い神衣に身を包み
いくつもの儀式 ....
深い森の中
ダンサーは
 
柔らかく しなり
五感を開放して
踊りながら 問いかける

古代の森が醸す 
気高く 
人を受け入れることの無い 
重い気配

人という種の 居場所 ....
世界をリセットしよう
不公平がいつまでも治まる見込みがないから


世界をリセットしよう
いつまでも生きながらえている 
金持ちの年寄りが多すぎるから


世界をリセットしよう
貧 ....
たった一つ 部屋に灯る明かりが
窓ににじんで 流れていきます

一緒に座る人を失った 広すぎるソファで
私は消えてしまいそう

雨音の森で 私はいくつもの過去に迷い込み
やがて 記憶にも ....
いねむり猫(126)
タイトル カテゴリ Point 日付
メッセージ自由詩022/9/25 23:07
森の雨自由詩220/1/24 23:39
地下室の明滅自由詩220/1/11 22:29
共鳴自由詩220/1/6 22:10
時の種を蒔く自由詩120/1/5 9:17
青い炎自由詩220/1/4 1:34
夕暮れ自由詩216/2/11 17:15
一瞬の影として自由詩516/2/7 16:35
雪道自由詩516/2/4 5:19
白い月自由詩716/1/31 22:49
車窓自由詩316/1/30 11:41
静かな夜半のことだ自由詩216/1/24 18:39
俺のゴール自由詩3*16/1/17 17:02
そのような 澄みきった真実自由詩116/1/10 18:31
鋼鉄の神々自由詩316/1/9 22:16
魂の無垢自由詩216/1/7 21:39
バス停自由詩516/1/7 5:26
朝の忘れ物自由詩5*16/1/3 21:37
神の座自由詩2*16/1/3 12:29
自由詩1*16/1/3 5:39
旅は続いている自由詩214/5/7 22:35
月の光の信仰自由詩114/3/30 9:15
窓越しの雪自由詩214/3/23 21:31
言葉に託した自由詩214/3/9 12:23
心の目が開くと自由詩4*14/1/25 12:02
プロフェッショナル自由詩514/1/19 14:26
祭壇へ向かう人々自由詩014/1/3 22:11
ダンサー自由詩114/1/2 23:32
世界をリセットしよう自由詩313/12/29 23:43
冬の雨自由詩313/12/28 8:39

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