海の底に住む魚は夢の中で
二本脚でアスファルト路を歩き
腕で電車の吊革に掴まり
耳で降りしきる雨の音を聞き
口で愛の言葉を語る
短い睡眠時間の中で
魚は霊の長となり
歩き 掴み 言葉 ....
わたしは
みかんのきせつが
すきだ
ひとがうずまるほどの
おおきなはこに
みかんをいっぱいにつめて
わたしはそのなかによこたわり
おしつぶされたみかんの
あまいかじゅうは
みぎめ ....
午後八時になると
地下の廊下と階段を降りていき
つきあたりの牢にアイオンスはいる
アイオンスは
青い毛皮に
五本の足と三本の尾を持つけど
顔だけは犬に似て整っていて
嘘ばかりしゃべる ....
母さんと夕食を食べている
母さんは
ポテトサラダの味付けはどう? と聞く
僕は
葛藤の群青が冷却される三辺のFM波が機体
を下降気流へと誘惑してステンレスがベニヤ
板へとバク宙する ....
夏
と言ったら
海
ビーチパラソルは無く
海の家も無く
砂だけがある浜を
海水パンツ一丁で
海水に突入していく
はずはなかった
私の出身地は山間で
山から切りだされた木を
....
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