つきそこねた手鞠を追う様に
それは穏やかな足取りで
少女は薄闇の向こうへと
消えた
金木犀色の夕暮れは鬼が通るから
はやく帰っておいでなさいと
置き去りにした過去
思い出せば影が伸びてき ....
空は透明に凍てついて
硝子を散りばめ蓋をする
僕らの眼はそれを見ている
凍てつき彩られいく様を
そうして
僕らは手を伸ばす
誰かは高い所まで行って
寒くて寒くて凍えるけど
でも誰かの大 ....
芽吹いたばかりの
彼女の傷を
生まれたばかりの
蛇が舐めている
いつか尾を噛み
不死となるのか
だけどこの利き腕に
円形を描く事はない
かなしき運命の反目だ
飢えつく皮膚に花ひらく
 ....
形を無くそう
手に手を取ったなら
千切ってしまえ
ところで
今日のおまえはやけに笑うね
窓越しに光を含んで
飴色にぼやけだすんだ
そこにいるのか
不安になって
唇をなぞれば
相変わ ....
わたしに
ひとひらの
あかいろをにぎらせて
とおくなっていく
ちいさなはね

ぼんやりと
薄青い影色をみていた
ときたまうねり
わたしはちょっと
こわくなって
拠り所を探す
あ ....
夜の寂寞に
つめたくなった血管を
気紛れに溶かす、ぬるい血流
xxxxxx
押し付けられた
拡声器の声に
日常を遺棄し耽溺する男
羊小屋の傍らに伏す
三つの弾丸で飾られた女
絶え間な ....
風ががなりたてて
俺の顔に針をばら撒いて逃げていく
夜の奥底で
妊婦の腹の中を撫で回して
気狂いが舌を垂らす
側溝を鉛と血が混ざっては
冷たく流れていく
俺はそこに花を落とす
煙草で焼 ....
こころには
触れる事は叶わない
ぼんやりと紺碧に浮かぶ
あの星明かりが
じんわりと
白けゆく空へ
輪郭を溶かしていくように
ごく当たり前に
こころはきっと
触れられる事を拒むだろう
 ....
いたずらにたらした
記憶の糸を
時計の針が巻き取っていく
日をめくる度
からえずき
捩る様にして
喉潰す
時間は止まらず続くから
あとどれくらい
息が続くのか
頭がドクドク
嗤っ ....
おはよう、と世界に挨拶をする
夜を朝が塗り替えている隙に
おはよう、と
返事が無いのは忙しいから
コンクリートを蹴り出す
未明の刹那
口角を歪ませる
少年は裸足のまま
ぶち撒けた
そ ....
それは酷く陰惨な雲が

むくむくと身をおこし

奥にある

痛いくらいの青を

無かったことにする

ディーゼル車の排ガスみたいな顔色をした

不機嫌そうなアスファルトを

 ....
無くしたものを数えていると

入ってきた物盗りが

骨髄を持っていってしまった

寒空の下漁り尽くされた

ワゴンセールの片隅に追いやられて

ひっそりと息を潜めている無力感と
 ....
窓を開け

冷えた空気で

肺満たす

凍えゆくのは

さびしきこころ
冷え切った指を折り数える

何年経ってしまったのだろう

震えてしまうほどあたたかな

思い出は両手からこぼれていく

冬枯れに弱く浮かぶあの星へ

巡り会える所まで

あと幾 ....
紫がかった白い花を幾つか摘んで

古い白い穴のあいた小舟に乗る

湖へゆっくりと漕ぎ出しながら

細切れにした思い出は通った道に浮かべてある

穴のあいたこの舟はちょうど湖の真ん中で沈 ....
北井戸 あや子(45)
タイトル カテゴリ Point 日付
消えた自由詩214/12/23 22:15
碧鈍色の絵空自由詩114/12/20 14:28
蛇は夜を伝う自由詩114/12/19 21:26
定形の愛と非定型の型枠自由詩3*14/12/19 0:21
鬱血自由詩114/12/18 15:54
不明瞭の憂詩自由詩1*14/12/17 23:23
その青銅自由詩214/12/17 16:16
夜の岸自由詩3*14/12/15 6:24
自由詩014/12/12 19:44
挨拶自由詩214/12/11 21:27
イエス自由詩014/12/11 9:53
皮と肉と自由詩114/12/10 17:28
冷たい朝に短歌114/12/10 11:33
冬枯れ自由詩314/12/9 16:16
そこにある町自由詩6*14/12/9 15:24

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