冷たい水をあげましょう
嫌な記号が消えますように
何もないこの星で
唯一の宝物
冷たい水をあげましょう
昔の歌を歌えるように
君を単なるいきものに
戻すのが僕の夢
虫た ....
おもしろい形の石
おもしろい形の石
子供の世界は続いているか
子供の世界は続いているか
おかしな声で騒ぐ鳥
おかしな声で騒ぐ鳥
子供の世界は続いているか
子供の世界は続いてい ....
タネもしかけもありません
(私は嘘をつく)
どうです
何の変哲もないハンカチでしょう
(ありふれたものが一番あやしい)
なんなら手にとってご覧ください
(私は視力を信用しない)
そうでし ....
天国が火事
放火魔は長い足で
山脈を跨ぎ逃走した
雲の上が赤々と燃えて
天使らはなすすべもなく
もだえている
白い裸体から
滴り落ちる汗、汗
まるでとろける
蝋のように
地上から空 ....
人質は天使
銃で脅して
無理やりコートの
ポケットに押し込んだ
鰐皮が冷たいと泣くので
真っ赤な頬を平手打ちした
頭上に浮かぶ輪っかは
使用期限の切れそうな
蛍光灯のようだった
つま ....
内ポケットから手帳を取り出し
暗号を記録する
一晩かかって嗅ぎつけたのだ
約束の時間まであと五分
場所はいつものX埠頭
ここ数週間奥歯が痛む
しかめ面はそのせいもある
トレンチコートの内 ....
豆腐を買いに行ったきり
帰らぬ夫に見切りつけて
妻は子供を兵隊に仕立てた。
子供は戦場で人を殺した。
戻らぬ父と待たぬ母のかわりに
何人も殺した。
そして勲章をもらった。
家に持 ....
サナギサヨナラ夏の庭
あだなをつけに飛び立った僕の蝶
声の遊びが続くなら
伝えよう
おはよう
終わらない円の上では
神様も仲間はずれになるという
愛の踊りが煮え立つ前に
....
ついに完成させよう
今宵のオブジェ
どのようにでも
変わるだろ
柔らかい土
虫歯の亭主
もう少し必要
無意味なティシュー
どんなお化けにも
どんなお花にも
おしべの唄
めしべの唄 ....
誰でも
それぐらいもっている
そんなのは
犬小屋の奥にでも
押し込んでおけ
近所のポチの
許可を得て
真夜中
あたりが深海に
変わる頃
手が何本も
ぶらさがっているような
巨大 ....
家に帰ると
娘らが星を食べている
お椀にいくつか
飴玉ほどの小さな星屑を入れ
テレビの教育番組など見ながら
気軽に口に運んでいる
おいおい、いいのか
と思ったが
今日日やってはいけない ....
右と左に
別れても大丈夫
それぞれしっかり生きていくから
夕焼け雲の下
二つの影がまっすぐに伸びていく
それぞれ信じた方角へ
そして生き延びる
不完全な生き物として
何千回も
夕焼け ....
窓を開けると
知らない動物がいる
手を伸ばして触れてみると
案外やわっこい
あんなところにまで
毛が生えていて
意外ときれいな瞳をしている
どんな声で鳴くのだろうか
孔雀の羽根で撫でて ....
まよなかにめざめて
カーテンを開けると
青白い馬が
庭をうろついている
少しだけ窓を開け
ライフルをかまえる
胸のあたりを撃ち抜いて
何事もなかったようにベッドへ
そんな夜には
眠れ ....
朝もやに煙る街中を
人影が通り過ぎる
一晩稼いで
これから逃走するところ
昨夜あの娘は
盗まれた
二本の指で滴って
絡み付き
トランプの散らばった
部屋の ....
女が買ってきた猫は
目を覚ますことがない
エサも食べず水も呑まず
常に丸まって眠っている
置物ではないかと
怪しんで触れてみると
確かに呼吸をしている
手触りも生き物のそれである
何し ....
一羽の鳥が
世界の果てを見に行った
そして
泣きながら帰ってきた
飼い主は訳を尋ねたが
何も言わなかった
いや
言えなかったのだ
そのかわり
鳥の羽毛は青く変わっていた
日 ....
想像の青い馬
高速道路を駆けていく
午前二時
夜の風に乗り
どこまでも行けそう
思春期の
次は氷河期
ほどけないのは
輪廻のリボン
だから待たねばならない
氷でできた
僕の駄 ....
悲しまないか
青いマントにくるまって
月明かりを頼りに
この世から逸れていかないか
喜びなんぞ
どこかのだれかにくれてやる
悲しみの中でこそ
きみはすっかり美しい
ぼくのことばもぎらり ....
眠れない
夜の遊びは一つだけ
寂しい沼地
孤独な塔
幸せ探し
夜更かし
ここは海の底
アパートのすぐ傍を
誰か横切るよ
とても大きなもの
じゃらじゃらと
宝石 ....
夜 地球の上を這う 目的地は 一軒の家屋 家畜のように 這いつくばった 小さな平屋
爪が土を削り しっぽが草花をなぎ倒す 下着をすっかり 汚してしまう 何でも捨てる まだまだ捨てる 俺は一番 固 ....
悲しみをとぼとぼ辿っていくと、駅のホームに辿り着いていた。なんだ、もう一度出発なんだ。そう気付いた時には、もう旅人の顔をしている。ホームには、自分以外の人影は見えない。柱に繋がれた雑種犬と、自愛に余 ....
素敵な比喩が思いついたと
受話器にむかってささやこう
部屋を出る
大義名分ができた
僕たちは不自由な生き物
理由がないと
自由に街を歩けない
街は雨
雲からワインが ....
今宵も
インスタントラーメン
大家さんから分けてもらった
鍋から直接すすっていると
ぼろアパートの上空に流れ星
星を見上げる権利は誰にでも
☆
出発を思い立つ
トラ ....
都市の背中に
星の刺青
何処かに
自分の星座があるだろう
誰そ彼は
笑い泣き
彼は誰か
泣き笑い
内ポケットに
タバコと明日
遠ざかる黒い猫
何時かは
他人の星座と会うだろう
....
晴れた空なので
青いTシャツを干した。
隣には鳥がやってきて
聞いたことない声で笑った。
通りかかった音楽家は
交響曲を完成させた。
僕はお礼を言われた。
翌日青いシャツを着て歩いている ....
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