人は変わる
かなしみか、よろこびか

雲の形が変わるように
誰かの声も変わる
その声で呼ばれても
きっと気が付かないだろう

わたしもまた
変わってしまった
にくしみか、いとおしさ ....
あなたはつづき

かつていた
誰かのように歩き
かつていた
誰かのように迷う

纏っているのは
誰かの悲しみのつづき
そうやって続けていれば
いつかは悲しみ終るかな

いや
 ....
答えは無人駅に

各駅停車ではないから
いつもは拾えない

長いまどろみの後でふと
車窓から外を眺めると
満開の桜並木

目がくらむ

駅の方では知っていた
足が言うことを聞かない

聖地に赴くはずが
とある浜辺に着いてしまった

あの日
地面は大きく揺れて
その日
夜空は異様に瞬いていた

おそらく
人がたくさん流されたからだ
そ ....
知らないうちに
パンがふくらんでいる

予言者が記したごとく
町の胃袋を満たすため

欲望は時に静かで
時に神聖だ
魚の風上にもおけない

言葉なんて
エラはどうした
ヒレはどうなる

どうやら夜は
終わったみたい

陸に上がった輩は
明後日の方向につぶやく

海は素敵だ
歯磨きをするように
詩を書くといい

日に三度
多い人なら五度か六度

前歯や奥歯を
乳歯や親知らずを

そして栄えある
永久歯を

いつくしむように
いましめるように
だらしない悲しみが
寝そべっている

海までの通り道に

誰かほうきで
掃いてくれる人はいませんか

と呼びかけてみるが
返事がない

仕方なくそいつを
折り紙のように折り畳ん ....
宝石は眠っている
と偉い詩人が言った

こんなに美しいものが
眠ったままとはもったいない

起こしてやろう
とハンマーを振り上げ
振り下ろす

宝石は粉々に

いよいよ深く
 ....
海は涙の何滴分か
確かめるには
小さなスポイトが要る
それと吸い上げた
塩水を溜めておくため
海とおんなじ大きさの
容れ物が要る
いのると
いきるは
似ている

とどくとか
とどかないとか
そういうことで
なく

しあわせでも
ふしあわせでも
ないものが

心にあたる
ことがある
貨物列車は
北北東へ

思い出すのは
遠い国のお話

どうしてあのときあんなにも
どうやらこのごろすこしずつ

骸骨になって
自分の中を旅している
好きな色だけでなく
そうでない色も

いつの日かカンバスを
汚すかもしれない

そしてそれがまた
素晴らしい絵に
仕上がってしまうかも

絵を書く技術を
持たない者こそ
画家に ....
海中に降る雪があるなら
海中に降る雨や
海の中の太陽があっても
おかしくはないだろう

いや、やはり
おかしくてたまらない

深海魚が鋭い牙で
笑いを嚙み殺している
心が凪ぐ
のを待つ

青いかなしみ色のペンが
水平線をなぞるまで

名も無きジョンの
ままでいる
あさっての次はしあさって
その次はやのあさって
と言うのだそうだ
その話を聞いたときわたしは
山明後日
と聞き間違えてしまった
なんて素敵な言葉だろう
今日を越え明日を越えたその向こうに ....
もう一度だけ
手紙を渡す機会があるなら

ひかりあれ、と書くだろう

そんな資格も
余裕もないけど
だからこそ
とは言えないか

闇あるところに光が
なんていう噂ではないか

 ....
一生かけて
一枚の自画像を

雨の日も晴れの日も
鉛筆を動かす

長い年月を経て
現れたのは
自分とは似ても似つかぬ
見知らぬ誰かの肖像だった

呆然と立ち尽くす
これはいった ....
ほほえみなさい

ある人に言われた
けれどもそんな気分になれないし
税金は高いし景気は悪いし
そういうことじゃなくて
ほほえみなさい

ある人に言われた
けれどもいろんなことが裏 ....
あなたの前から消えてあげよう

ごめんね
それくらいしか
してあげられなくて

案外難しいのだ

ある種の人には容易なことが
別の人には簡単でない

ただいなくなることが
こん ....
なつかしい感じの家を見かけたので
インターフォンを押してみた
現れたのは見たことある顔
なんだ、わたしじゃないか
あちらはあちらで驚いたよう
とりあえずどうぞ、と
室内へ招かれた
リビン ....
ずっとは続かない
この音楽も
あのため息も

時に染み込む
風の匂いや
夕焼けの橙
着古したパーカーに

ずっとは続かないのだ
そのいたみも
かの光も

どこにも行けない
 ....
あなたについて考えた
雲について考えていた
空について
青について
海はいいなあ
全部忘れて
全部覚えている
いつでも赤ん坊で
いつでも老人だ
親愛なる
深海魚たち
きみらにすべ ....
起床時間を間違える
トーストも焦がしてしまった
通勤路を間違える
いつも通っている道なのに
タイムカードを押し間違え
朝礼中にコーヒーをこぼす
当然のことながら
仕事でも間違いばかり
 ....
永遠のとなりに住む
たわいない話を
気が向いたときにだけ
永遠は永遠だから
こちらのことなど気にもとめない
回覧板を届けに行っても
ゴミ捨て場で挨拶しても
忘れたような顔をしている
あ ....
ミューズとミミズが離れた後に
歌はまだ残されているだろうか

似て非なるものだったのだ
というより
非なるも似たものだったのだ

それゆえに光があった

高い塔に登り
場合によって ....
することもないので
地面に種を蒔く
それは私自身だ
私を地球に埋めてしまって
発芽を待つ
やがて芽が出て茎が伸び
五月の陽射しに葉を広げたり
九月の雨にうたれたり
そして実がなる
ぶ ....
ほんとうに大切なものを探すなら
いらないものを捨て去るのでなく
すべてをきつく抱きよせて
ひときわ腕に食い込む
その痛みの行方
一生見つからないかもな
見つけたときにはもう遅いかも
完全 ....
何も伝わらなくなった
正しくないときに
言葉を費やし過ぎた呪いだ
骸骨になって
自分の中を旅している
まだ寝たくない
だけど寝なくちゃ
明日も仕事に行かねばならない
未来とか希望とか責任とかいう
くだらないもののため
勘違いするなよ
俺は骸骨になって
自分の中を旅しているだけ
だから世 ....
やまうちあつし(476)
タイトル カテゴリ Point 日付
光る虫自由詩223/4/11 15:03
つづき自由詩223/3/27 12:52
こたえ自由詩123/2/17 7:29
かよう自由詩123/2/3 14:53
夜のパン自由詩123/2/1 14:28
魚ごっこ自由詩023/1/30 14:53
歯科詩集自由詩223/1/26 17:07
だらしみ自由詩323/1/23 7:55
宝石の眠り自由詩1*23/1/16 17:59
海牛自由詩023/1/14 11:45
心あたり自由詩1*23/1/10 17:51
GK自由詩423/1/6 15:03
日曜は絵の具を自由詩323/1/4 12:34
深海の笑い自由詩023/1/3 10:31
船長自由詩2*22/12/31 8:41
作り話自由詩4*22/12/21 16:47
ひかりの手紙自由詩122/12/17 15:00
自画像自由詩122/12/11 19:31
ほほえみなさい自由詩122/11/14 15:26
消息自由詩122/11/12 7:40
にせもの自由詩322/11/9 15:41
ずっとは自由詩2*22/10/22 11:35
about you自由詩122/10/21 9:18
間違える人自由詩1*22/10/5 12:15
A炎自由詩022/9/26 8:01
HB自由詩122/9/13 14:12
私の実自由詩222/9/3 8:14
自由詩122/8/21 13:23
詩人の末路自由詩222/8/6 12:36
night is still young自由詩022/8/5 13:02

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