林檎くらいしかない
君に渡せるものといったら
それは詩でできていて
内側を列車が走っている
よく見れば車窓には
いつかの君と
いつかの誰か
そしてみんながカムパネルラだ
一人の夜に光を ....
冥王星に別荘を買ったんだ
有名なハート模様の
ちょうど真ん中あたり
部屋の床下の
階段を下りてゆき
扉を開けると別世界
別荘といっても小さな平屋で
あるものといえば
テーブルとソファだ ....
ひらべったい男がいた
ひらべったい顔
ひらべったい躰
ひらべったいネクタイ
ひらべったい挨拶
ひらべったい犬を飼い
ひらべったい車に乗る
ひらべったい紙幣を数え
ひらべったい歌をうたう ....
電灯の下にいる

善でも
悪でもなく

ただ
音楽を聞いている

愛しも
愛されもしないで

電灯のはるか上方に
木星がある
わたしのなかから
遠い声がする

ふるさとよりも
遠いところから

その声にさそわれて
わたしはどこかへ
帰りたくなる

子供の姿に戻って
犬の姿に戻って
蝶の姿に戻って
そ ....
まだ充分につよくない
まだ充分にやさしくない

わたしらの権利は
朝な夕なに
東と西に
一枚の大きな絵を眺めること
それくらい許してもらおう
あるいは風の音楽を聞いたり
幼い者の言葉 ....
真夜中に目を覚ますと
キッチンのテーブルに誰か座っている
見れば自分ではないか
寝ないのか、と問うと、寝るのか、と答える
最近どう、と問うと、知ってるくせに、と答える
仕方がないので向かい側 ....
この石の中では
絶えず雨が降っている

そう言って一粒の小石を
娘の手のひらに載せた
その人は叔父だった
いつでも青いマントを着ていた

血の繋がりはないけれど
とある出来事があって ....
ドーナツの穴に住み
植物や動物と会話する
周りを囲んだドーナツに
扉が開くことがあり
人が訪ねて来たりする
右手を上げて少しあいさつ
「おはよう」だったか
「おやすみ」だったか
どちら ....
同僚は羊
羊のくせに出席を取り
羊のくせに宿題を出す
羊なりにはものを考え
羊なりには会議で発言
羊なのに給料をもらい
羊なのにネクタイをしている
あるとき
夕暮れの屋上で呟いた
羊 ....
羊のいない街などに
住みたくはない

眠れない夜に
数えるものがなにもない

夜中まで起きていて
地球でたった一人になって
季節の星座に笑われる

地上に貼りついているものの
そ ....
教えてください
あなたの一番優しいところを
教えてください
あなたの一番疚しいところを
教えてください
あなたの一番嬉しいところを
教えてください
あなたの一番寂しいところを
  
 ....
   わたしもそれなりに
   大きな別れを経験したことがあるけれど
   それらすべてに共通しているのは
   ライオンがいた、ということだ

   動物園が舞台であるわけでも
    ....
あれは
だれかを
思わせる夕焼け

非常口から
眺めていたっけ
ベランダからも
眺めていたっけ
心の窓が
開いていたっけ
絵の具がこぼれて
しまっていたっけ

わたしらを造っ ....
信者が姿を消した
あんなに何かを祈っていたのに
礼拝堂はもぬけの殻
村の人たちは捜索を始めた
くもり空の下
くだものの飴と傘をたずさえ
情報はなにひとつない
あっぱれな行方のくらまし
 ....
ふたりが離れてゆくときは
理由はなにも言わなくていい

ただ一冊の青い本を
ふたりの間に置けばいい

ページをめくれば顔を出すだろう
散歩していた黒猫や
わずかな値段で売られたスズメ
 ....
サキソフォンが夜の道を歩いていた
あたり一帯高級な黒の絵の具を塗りたくったようで
サキソフォンだけが金色に輝いていた
暗闇は光を理解しなかった
途方に暮れかけたころ
黒くて大きな人がどこから ....
仕事をさぼって美術館
展示室をうろついていると
赤いワンピースの女がついて来る
立ち止り絵を眺める横で
ぼそぼそと蘊蓄を語るのだ
頼んでもいないのに不躾な
学芸員にしてはずいぶん
粗野で ....
教会で信者らが祈りを捧げていると
その中に猫が混ざっている
猫は両手を合わせ
皆と同じ祈りの姿勢
神父がわけを尋ねると
猫は見上げて答えた
「ねこのきょうかいは
 こちらではないですか? ....
おはようございません

ペンは
僕自身より大きい

今日一日でひとつでも
いいのが書けたらおなぐさみ

この世の中の怖いこと
ミサイルや放射能
悪い噂や不意のお別れ

どれを取 ....
静かに暮らしたい
   
朝にはパンを焼き
夜には水を飲み

平日は黙って出かけ
休日は車を洗い

あまり欲しがらず
あまりいやがらず

その日あったことはすべて忘れ
一生の終 ....
音もなく
夕暮れがやって来る

偽物の
月が出ている

熱いコーヒーが
冷めているのは
誰かがこっそり
取り代えたから

トランプのカードが
入れ代わるように

駅のホーム ....
俺の天使は壊れている
フリーマーケットで
三千円で買ってきたやつ
今日日
天使の値段は三千円さ
中古で三千円
新品でも五千円しないさ
牛乳を飲むかと尋ねると
首を横に振る
パンを食べ ....
すべての
あどけないものよ
すべての
おとろえたものよ
すべての
あざやかなものよ
すべての
かげりゆくものよ
すべての
にげまどうものよ
すべての
おいかけるものよ
すべての ....
僕は地球の人になる
道路標識をよく見て
交通ルールはしっかり守る
ご贔屓のチームがあって
試合結果に一喜一憂する
ほどほどに勤勉で
ほどほどに怒りを覚え
ほどほどにやさしく
ほどほどに ....
朝を折りたたみ
昼を折りたたみ
犬を折りたたみ
猫を折りたたみ
自宅を折りたたみ
通りを折りたたみ
横断歩道を折りたたみ
バイパスを折りたたみ
街を折りたたみ
都市を折りたたみ
飛 ....
透明な紳士が
君の側にいる

趣味のいいネクタイ
よくみがかれた革靴
透明だから見えないけれど

天使でもなく
守護霊でもない

呪ったりしてない
助けてもくれない

ただ見 ....
団地は
隣人の集合体だ
   
そこには
それぞれのお話
   
それぞれの事情
それぞれの理由
それぞれの歴史
それぞれの食物
それぞれの欲求
それぞれの体位
それぞれの安息 ....
 親しくなった同僚から、自宅に招待された。仕事が終わった後、小一時間ほど電車に揺られていくと、自宅は校外の一軒家である。同居している家族もおらず、気ままな一人暮らしだそうだ。
 飲み物と簡単な手料理 ....
夕焼けを信じます

とても遠くて
あたたかいもの

まいにち見ていても
絶対にさわれないもの

すべての
つくられたものを
だいだい色に
染める絵の具です

女を
男を
 ....
やまうちあつし(483)
タイトル カテゴリ Point 日付
林檎売り自由詩418/2/16 20:31
別の幸せ自由詩6*18/1/28 19:58
たいらな男自由詩318/1/19 15:52
小市民自由詩218/1/17 9:34
遠い声自由詩9*18/1/13 16:38
未完成自由詩117/12/26 20:00
自分ばかり自由詩317/12/16 7:27
アメジスト自由詩517/12/4 21:12
ミスタードーナツ自由詩217/11/26 16:49
羊の同僚自由詩5*17/10/28 17:47
羊の街自由詩317/10/27 12:44
聖教育自由詩017/10/14 13:49
サヨナライオン自由詩3*17/10/7 7:45
you焼け自由詩4*17/10/6 12:16
信者行方不明自由詩3*17/9/9 18:04
青い本自由詩5*17/9/2 10:45
サキソフォンが夜の道を歩いていた自由詩4*17/8/26 21:28
絵心自由詩4*17/8/21 20:07
世界の祈り自由詩017/8/18 17:42
詩人の挨拶自由詩117/8/15 16:48
ねがい自由詩117/8/12 12:33
うそつき自由詩2*17/8/10 17:05
壊れた天使自由詩217/7/31 21:32
ひかりのあいさつ自由詩217/7/30 17:16
地球の人自由詩117/7/23 16:18
折り紙自由詩10*17/7/18 13:48
透明紳士自由詩117/7/17 16:48
隣人愛自由詩117/7/15 12:34
鹿の王自由詩117/7/11 9:07
信者自由詩317/7/8 16:25

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 
0.25sec.