優しくして
おかなくていい
一番
嫌いな虫に
優しくして
おかなくていい
月の
きれいな晩に
優しくして
おかなくていい
月曜日と
雨の日には
優しくして
おかなくていい
 ....
私の心に一匹の
ジョン・コルトレーンが棲みついて
ジャズを聴かないときも
詩を書かないときも
離れることがない
雲がわくわく湧く
体の外にはみ出して
空に入道雲が
その中に腕を突っ込ん ....
さて
明日は何を出そうかと
深夜の四角い部屋の中
奇術師は思案した

天井からはオレンジ色の電灯が
ぶらり、ぶら下がっている

旗を引っ張り出そうか
鳩を飛び立たせようか
刃を飲み ....
天使が死んで
水辺の醜い小動物に
生まれ変わったとしたら
誰も天使を愛さないだろう
天使はそんなこと考えて
がちゃんと壊れてしまう
なぜならその想像は
おそらく外れていないから
氷の海 ....
別の星で暮らそう
別の星の幸せは素晴らしいだろう
別の星の風は爽やかだろう
別の星の天気雨はすぐに止むだろう
別の星の図書館は快適だろう
別の星の電車は順調に運行中だろう
別の星のコーヒー ....
一行先になにがある
   
埋もれたものを
掘り出すために
ペンはノートをすべる

時に動きを止め
時にくるくる回り

なさけなくも
いさましく
次の一行へ

インクが尽きた ....
部屋に魚がいる
いつの頃からか住み着いたのだ
水槽に水を入れ勧めてみたが
お気遣いなく、と辞退する
空気の中を平気で泳ぎ
窓から外を眺めたり
ソファーにちょこんと座ったり
いつしか気心が ....
真夜中の真ん中あたり
帰宅した千鳥足に
コツンとぶつかった
ものがある
   
jorro
   
やあ久しぶり
すっかり忘れていたよ
 
世界にそういうものが
あるなんていうこ ....
ドーナツの穴に
魅せられた男がいる

さまざまな方面から
その穴について研究した

ドーナツの穴の経済的効果
ドーナツの穴の審美的価値
ドーナツの穴の歴史的変遷
ドーナツの穴の道義的 ....
洗濯物を畳んだ後で
しを
仲直りしないまま
しを
いたずら電話の後で
しを
ヘイトスピーチの後で
しを
首脳会談の後で
しを
弾劾裁判の後で
しを
燃えないゴミの日に
しを
 ....
私の庭にかなしみが咲きました
淡い色したムラサキの花です
隣人たちは噂をします
「咲くときには咲くものだ」
その花を抜いてしまおうと
何度も試してみたけれど
かなしすぎて
抜くことができ ....
ひとつだけ伝えるなら
あなたに何を

朝のまぶしさか
夜のしずけさか
日曜のあきらめと
やすらぎか

風のつめたさか
空のはるかさか
言葉のたよりなさと
たのもしさか

大切 ....
鈴木課長の席に
アリクイが座っていた

同僚たちは
あれ、と思ったが

それが課長の本心なのかな、と
それぞれの仕事に戻る

仕事は終わらない
 
窓の外では
初春の風が
ビ ....
朝起きると
キッチンテーブルに
   
黄色いボタンが
みっつ置いてある
   
下の娘が
さいほうに
使うのだという
   
黄色いボタンは
まん丸い目と口で
ひよこみたいに ....
私の足はすぐに疲れる
私の口は嘘ばかりつく
私の瞳は真実を見ない
私の指はペンを持たない

ノートはいつも白紙のままで
作品が完成しない

壊れた天使を抱いている
という詩を書こうと ....
その店は
聖なるものを売っている
行けばすぐわかる
店の奥から
神々しい光が溢れているから
価格は無料
望むなら誰でも
聖なるものを
受け取ることができる
けれども開店以来
買い手 ....
疑問符を売っている店がある
品揃えはなかなか豊富
大小さまざまな?が
所狭し、と並べられている
用途はさまざま
小さいものはカバンにつけたり
部屋のインテリアにもよい
摺り下ろしてスープ ....
リョコウバトはハト目ハト科の渡り鳥である。鳥類史上最も多く生息していたとされ、一時の個体数は、五〇億羽に上ったといわれる。

巨大な群れをつくるのが特徴で、二二億三〇〇〇万羽以上が推計された記録も ....
ドーナツ一つあれば
生きていける

午前に半分
午後に半分
   
真夜中に
真ん中を
   
あることと
ないことは
何がちがう

考えているうちに
眠ってしまった
ペンのインクが切れた
詩人は詩が書けなくなった
けれども書けない本当の理由は
それではないことを知っていた
切れたのは
ペンのインクではなかった
仕方がないので
詩人は庭に木を植えた
 ....
おたんじょうびのこどもたち
テーブルに花を咲かせる
壁に掛かった絵を変える
少しだけいい服を着る
あの日もこんな朝だった
ガラス細工のようだった
とてもちいさな新参者が
どこからかやって ....
角を曲がると
恐竜がいた

なんだかとても
しょんぼりしている

どうしたんだい、
と声をかけると
絶滅しちゃった…
と声を詰まらせる

仕方ないじゃないか
詳しい事情は知らな ....
見えないものを買うことにした
店舗に行き店員にそう告げると
奥の方から適当に見繕ってくる
見えないものは目には見えない
価格を尋ねると全財産だという
ゆたかなものもまずしきものも
すこやか ....
季節がページを
めくろうとしている

たくさん笑ったり
たくさん間違えた
日々のあと

何をしていたかなど
誰にもわかるはずがない

星だって
知らないうちに
夜に星座を描いて ....
一角獣が来ないかなあ、と思っている
全部解決するのになあ、と思っている
さっきから突っ立って待っている
一向に来ないので待ちくたびれている
乙女じゃなきゃだめかな、と思っている
確かに年を取 ....
次の面接は
猫の事務所

氷河期だから
買い手市場だ

面接官は三匹

目つきの鋭い黒猫と
まだら模様の虎猫
そしてスラリとスタイルのいい
ペルシャ猫

お土産のつもりで持参 ....
なんかちょっと
目が覚めるだけ

なんかちょっと
想い出すだけ

なんかちょっと
声がするだけ

なんかちょっと
ものういだけ

なんかちょっと
やさしいだけ

なんかち ....
押入れを開けて毎朝迷う
今日はどの冠をかぶろう
何もない日はわかんむり
冴えてる時はうかんむり
蒸暑い日はあさかんむり
大事な時はだいかんむり
疲れた時はおいかんむり
勝負の日にはかみが ....
何も説明しなくていいんだよ、
とジャズは言った

何でも説明してごらん、
とジャズは言った

一度忘れてごらん、
とジャズは言った

いつか思い出してごらん、
とジャズは言った
 ....
ペンを持たされた人がいた
親からか神からか
それはわからなかった
そのペンは
インクが尽きることがない
どこにでも落ちているような
ありふれたボールペンなのに
いくら使っても
書けなく ....
やまうちあつし(476)
タイトル カテゴリ Point 日付
優しくして自由詩219/9/5 13:28
supreme自由詩119/8/26 11:19
奇術師の夜自由詩019/8/24 10:21
頌歌自由詩219/5/17 15:43
別の星自由詩2*19/5/6 7:47
信仰自由詩419/3/28 10:23
あなたはさかな自由詩8*19/3/14 16:37
思い出す自由詩3*19/3/9 12:41
ミスタードーナツ自由詩1*19/3/8 15:00
しを自由詩019/3/7 14:41
かなしみ自由詩019/3/3 10:42
猫の教え自由詩419/2/26 12:11
疲れた自由詩4*19/2/23 8:29
大安自由詩219/2/20 11:28
蜜柑星自由詩319/2/19 10:31
聖なるもの自由詩2*19/2/18 15:44
わからずや自由詩119/2/15 14:03
最後の一羽自由詩119/2/11 9:38
ミスタードーナツ自由詩219/2/6 14:37
詩人の木自由詩8*19/2/3 10:09
おたんじょうびのこどもたち自由詩119/1/29 11:36
ユウヤケザウルス自由詩4*19/1/27 11:35
見えないもの自由詩219/1/25 20:22
自画像自由詩3*19/1/22 18:36
一角獣自由詩3*19/1/19 18:53
猫野事務所自由詩3*19/1/17 16:34
なんかちょっと自由詩1*19/1/16 12:43
冠者自由詩019/1/15 13:50
、とジャズは言った自由詩419/1/12 17:53
This is a pen自由詩219/1/11 12:16

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