煙草を吸っていると、指先が行方不明になる。あんまりにもやさしい夜だから、ぼくたちはこぞって死のうとする。その先はもっとやさしいよ――冷たい石の壁に腹ばいになって、頭と地面とがふれあうそのときを、微かで .... 水晶を埋め込まれ、
体内で精製する
光の
透過率と、反射率が
基準を満たして、
熾り火に揺れる秋へ
均しく並べられた
ひそかな夜虫の声は
水晶にぶつかり、
散らばり、
敷き詰め ....
六十キロに満たない
体重を受け止めて、
滑らかに沈む砂地が
どこまでも潤ったまま
保存されている、
海だった土地に、
吹きつける風が
旱魃の
硬く、脆い
呆れ返ったような表情の
 ....
ぼくはそろそろ
ぼくという人間には飽きてきた
ぼくのいない世界を。
果てしなく流れ続ける
川の中の水を見たい
きみをぼくと呼ぶことは出来ない
それがわかってからは
どんどんと器が小さくな ....
にんげんは雨が降って来たときだけ
空を見上げるようになった
ぼくたちの知らないうちに
星が落ちるよ、
からからに乾いて
倦んだ陽だまりの中へ

ビバルディは四季の移り変わりに
音楽の調 ....
二度迎える零時には
広く全ての主語を解き放ち
わたし、や、ぼく、を
発音しないように
気をつけながら、
静かな旱魃に横たわって
そっと
息を引き取る

砂丘の青さに
ためらいの ....
飴色に焼き払われた
人々の肌
ぼくはいつでも
散布された老廃物を
呼吸して生きている
あなたも、そうだろうか
弾んだ呼吸で削れていく
女の子は可愛らしく
皆に手を振るけど
その間も瑞 ....
樹上から葉脈だけが
長く垂れて、
神経回路を伝達する
信号みたいな
陽光の、ひと滴が
瞬く
青が広がる
ぼくたちの瞬きも
青くなるから、
この場所はきっと少しだけ、
世界の中心 ....
 ぼくたちは雨を防ぐために、濡れないために、他のものを濡らすしかない。ぼくたちの代わりに濡れるものがあって、ぼくたちは乾いたままでいられる。
 墨を磨ったみたいな色の雨が降る。それは夜の色と同調して ....
hahen(9)
タイトル カテゴリ Point 日付
『秋の夜長』自由詩015/9/23 23:55
『凝結』自由詩015/9/22 19:11
『忘れる』自由詩115/9/20 0:38
外せない連環自由詩014/7/24 8:11
この小さな地上で出会う全ての人たちへ自由詩014/6/16 8:17
旱魃の夜自由詩314/1/26 0:45
あなたは人間です。自由詩1+14/1/25 2:13
目盛の隙間から立ち上る青い炎自由詩314/1/22 23:09
電脳と死の雨自由詩214/1/22 1:17

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