――あなたは、聴くだろう。
日々の深層の穴へ
ひとすじの{ルビ釣瓶=つるべ}が…下降する、あの音 ....
途中雨が降ってきた。傘をさすのも買うのもめんどくさくてそのまま歩いた。
昭和通りの路地に店を探 ....
ぼくは師匠にうでを見込まれて、理髪店を一軒任されるようになった。へたくそが髪を切ると、髪が伸びると ....
和夫くんはさすがだった。秋が深まるころにはいじめられなくなっていた。
和夫くんのお父さんが無実 ....
藤の花が咲いています
あなたの知らないところで
藤の花が咲いています
あなたの見えない ....
体温を桜にわけている女
夕桜同じ目線の君と居る
姐さんのチャック開けたら朝桜
巨大災害に備えて何かするのは
結局運よく助かった場合の
事後対応のためだ
被害に遭わなかっ ....
我が身にはこれからも
あまりゆかりのない言葉
新学期
なぜだかわからないが
断固とし ....
ねぇ…
真実も偽りも
本当も嘘も
現実も理想も
全てを見たあなたに
今何を映してるの?
このあおい夜を切り取って縫い付けた右腿は
ぐずぐずと黒く膿んでしまったから
風通しの良い ....
どうしてまた
と 問う度に空瓶はふえ
瓶の立つ数とおなじだけ
言葉を見失う
不運 ....
花びらが散って
緑が眩しい輝く気持ち
身体中で吸い込む
新しい季節のはじまり
いい匂い
鮮 ....
鍵を右に回したなら
右の扉の錠が回って
鍵を左に回したなら
左の扉の錠前が回る
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