散文(批評随筆小説等)
坂下さん/MOJO
 
る。
 現場に着くと、店は改装中ながら営業していた。広い店内に入ると隅の一角は既に黄色と黒の虎ロープで仕切りがしてあった。ホームセンターの店長と打ち合わせ、その仕切りの内側の床材を剥がし、順次新しいものに張替えることにする。虎ロープを解き、隣のフロアに移動する。虎ロープを張りなおし同じ作業を繰り返す。
 ぼくは山芋を掘るようなごついケレン棒で床剤をバリバリ剥がしてゆく、剥がれた所に坂下さんが接着剤を塗り、そこに新しい床材を黒川さんが張ってゆく。店内の客は疎らだが、時折古い床材を剥がした所にも客がくる。これでは仕事がはかどらないし、第一虎ロープで仕切っている意味がない。それでも店長からの厳命で、
[次のページ]
戻る リロード Point(2)