自由詩
透明な月がのぼる場所/るるりら
 
忘れられないのです
満月の夜に
海面が砂金のようでした
星々は だまって それを見守ってました

海蛍です

しずかに群れはじめ
そっと
この足首を
群れの真ん中に沈め
かるく あたりを掻き回すと
またたいていた海蛍は 
一瞬 闇に身を潜め
おしゃべりを やめるかのように
こちらの 様子をうかがっていました

けれども 次の瞬間
一番星が見つかるみたいに
こちらの目が 闇の中で光を見つけやすくなったのか
それとも 満月の時間を 海蛍達が 惜しむあまりなのか 
一番最初に 砂粒みたいな光が 
ちらついたかと 思うと

やがて
あたり一面の海面が
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