小詩集【レトロな猛毒】side.B/千波 一也
 
からうまれて
もっとも髪をうとむ爪

それは、呼び続ける罠


罪なればこそ暗闇は満ちて
やがては笑みに
晴れ間が集う
あやしくも


したがうあかりを
まずは目に

ふさがぬうちなら
耳にも手にも
口先にも




三、結晶


輝いていたとき、を
かぞえることで
くすみますか
くすくす、



泥にまみれた足もとに
わらう石ころ
紡がれる、
そら

届かないそらだから
甘えていたい、
背中は
青く


おぼえてゆくのは
忘れてしまう音ばかり

つばさも雪も
夕焼けも
朝露も
いつもいつも綺麗です
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