小詩集【レトロな猛毒】side.B/千波 一也
 
たかい


塗り込むすべは白のまま
うがつうつつに
渦巻くしるべ、
漆黒をさす




二、篝火


鈴のねむりを風はまもり


ときは
ときさえ
だまして過ぎて
いたずらに揺れて、
きまぐれに泣いて、

鳴らされている
はかない鏡


雨を飲み干すことで
おぼえ続けてきたものを
ほのおがゆるすはずもない

たやすいことほど
むずかしいものなら
ひとつも為しえず果ててしまう



野原に舟を浮かべたら
たじろぐ弓矢に
さかずきを

こおれる川に月夜を沈めて
戸惑うけものを
かんむりに



髪は
髪から
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