小詩集【レトロな猛毒】side.B/千波 一也
たかい
塗り込むすべは白のまま
うがつうつつに
渦巻くしるべ、
漆黒をさす
二、篝火
鈴のねむりを風はまもり
ときは
ときさえ
だまして過ぎて
いたずらに揺れて、
きまぐれに泣いて、
鳴らされている
はかない鏡
雨を飲み干すことで
おぼえ続けてきたものを
ほのおがゆるすはずもない
たやすいことほど
むずかしいものなら
ひとつも為しえず果ててしまう
野原に舟を浮かべたら
たじろぐ弓矢に
さかずきを
こおれる川に月夜を沈めて
戸惑うけものを
かんむりに
髪は
髪から
[次のページ]
前 次 グループ"【こころみ詩集】"
編 削 Point(10)