小詩集【擬人絵図】/千波 一也
 
思いやりさえ
まぼろしと消す
すべての
すべに


こたえることをまずは預けて
ごまかすことに慣れなさい

それほどかたりはたやすくて
すぐにもかたちはいたむのです

ひとごと世ごとに
むずかしく




二、とらわれの蛇


それは髪ではなかった


すがりつけない言葉でも
寄りかかり続けた、
矛盾

まもるわけでもなかった壁が
ひび割れようとしていることに
わけもなく怯えて


臨月は、皮肉


あまりにも目を避けたから
あこがれて
落ちた、のかも知れない


潔白に、
[次のページ]
   グループ"【こころみ詩集】"
   Point(14)