世界の真実(二)/朧月夜
 
「話が分かりにくい? そうでしょうとも」と、ヨランは言う。
彼は、今アイソニアの騎士を始めとした一向の、質問攻めにあっていた。
「おい、ヨラン。さっきのあれは何だ?」
「おい、ヨラン。お前は魔導士ではないのか?」……と。

しかし、ヨランは魔導士ではなかった。そして、魔法も使えなかった。
(この世の理を伝えるためには、この時間軸では十分ではない)と、ヨランは思った。
「おい、ヨラン。俺はお前を見くびっていたぞ。これからも、あのような魔法で、
 俺たちを援護してくれ!」と、アイソニアの騎士は言った。ヨランは苦笑する。

(このお方は、魔術が世界を滅ぼすかもしれない、ということを考えたことがないのだろうか?)
ヨランは、その小さな脳みそのなかで、与えられるべき答えを見つけようする。
だが、彼にとって、その答えはあまりにも大きすぎるように思われた。

「ああ、最高神たるヨースアルナよ。どうか、わたしをお救いくださいませ!」
盗賊ヨランは、ひたすら祈った。それを、冷めた表情で見守る、
オーマル・リケイディア。時は整った。さて、次なるステップへと進もう……。
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