世界の真実(一)/朧月夜
その者の名を、今は言おう。エランドル・エゴリス──
世界の「再創造者」の名前である。しかし、こう言ったところで、
この言を聞く者には何も伝わるまい。だから、言おう。
エランドル・エゴリスとは、神なる存在であると。
いや、正確には神ではない。「神殺し」の存在であると言ったほうが、
正確であるのかもしれない。この、ヨランたち一行の前に立ちはだかっている者とは、
この世(ヨースマルテ)そのものにも等しい、巨大な存在なのだった。
ヨランは、(当初恐れていた疑念が本当になった)と思う。
魔術を知りさえしなかった自分が、本の一頁を破ることで、魔術が使えてしまう。
それは、世界の崩壊だ。エインスベル様がどう……と、言っている場合でもない。
(もしかしたら、わたし自身が世界を滅ぼしてしまうかもしれない……)
そう考えて、ヨランは怖気を振るった。(ああ、神様、
ヨースマルテにおわす二十五の神よ、なかでも最高神たるヨースアルナ、
どうか、わたしが誤っておりませんように……)ヨランは、ひたすら祈るのだった。
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