世界の真実(三)/朧月夜
その時であった。一行の伴である、オーマルが言った。
「我に従え。戦士よ、騎士よ、魔導士よ。今から、お前たちはわたしの僕(=しもべ)となる……」
その声音は、女性のものではなく、男のものだった。
ヨランは驚愕する。
「あなたは何者ですか? オーマル様! オーマル様?」
取り乱すヨランを横目に見ながら、アイソニアの騎士とエイミノアとは、
余裕の表情を崩さないでいた。
彼らが挑むのは戦いの世界である。一方で、ヨランが挑むのは策謀の世界であった。
かつて、一人の男が世界を滅ぼした。……いや、実際にはそうではない。
世界は滅ぶべくして滅んだのだが、その首謀者と目された男がいた。
その名は、エランドル・エゴリス。最強の魔導士(ウィザム)である。彼は、多くの希望を犠牲にして、
その罪とともに人生を終えた。──だが、彼は、死んだのではない。
この幽冥界において、永劫の時を生きることにしたのである。その厳かな声を、
オーマルが代理として発している。「心して聞くが良い、お前たち……」
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