現場のへその緒(3)/Giton
想を納得させるだけの材料が、示されていないのではないか?‥つまり、“詩”としては失敗なのではないか?‥ということでした。
いやいや‥それどころか、作者の【下書稿】では、
「馬車の笛がきこえる、
石版画を持って来る。
それから私のこゝろもちはしづかだし
どうだらうこゝこそ天上ではなからうか
こゝが天上ではない証拠はない
天上の証拠はたくさんあるのだ」
という・印刷までに削除された部分があって、この後に、「鷹」「からまつ」「人馬」が続きます。
つまり、【下書稿】では、作者は、スイスどころか「天上」を歩んでいるのです!
「天上の証拠」としては、どれもこれ
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